第122回運営委員会
2月1日に「関西STS連絡会」第122回運営委員会が、事務局の「NPO日常生活支援ネットワーク」事務所にて6時から8時半まで開催されました。
■出席された団体・グループ様は以下の通りです。……(参加:5団体)
_NPO法人「日常生活支援ネットワーク」(大阪市) _伊良原淳也(関西STS連絡会)
_NPO法人「自立生活センターFREE」(吹田市) _NPO法人「寝屋川市民たすけあいの会」(寝屋川市)
_い〜そらネットワーク(大阪市)


【議 案】

■ 資料関係:

@『2014年1月24日 復興庁協議 報告(全国移動ネットへのDPI日本会議・報告より)
■NPO側参加者:東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)、日本NPOセンター、中間支援組織・シーズ、難民を助ける会(AAR)、岩手の1団体、NPO法人 DPI(障害者インターナショナル)日本会議
(第3回東日本大震災の復旧・復興に関する関係省庁・NPO等定期協議:3月開催)

■全国移動サービスネットワークから要望項目 ―被災地における障がい者や高齢者の移動支援―

1.「被災自治体の住民のための移動の権利を守る包括支援策」
 被災自治体の住民の、移動に関する支援の「アンバランス」を解消あるいは軽減するために、公的な資金援助等を行うべきです。
 住民バスやデマンドタクシーの通る大規模な仮設住宅の住民は、市街地や病院まで安価に移動できるが、多数の仮設住宅では利用できないという状況があります。身体的にこれらの交通手段を利用できない人もいます。
 こうした「アンバランス」を解消するために、たとえば全域に乗合タクシーを走らせて「アンバランス解消」分の差額を国が補償する、またはNPO等による支援活動が行われている場合は、そこに従事する者の人件費や活動維持費を保障する等の措置を求めます。

●【国土交通省 回答】(公共交通政策部交通支援課・企画係長 M氏)
 被災地域の生活交通の確保は、重要な課題であると認識しております。
 このため、2001年度から特定被災地域公共交通調査事業により、仮設住宅等の住民向けに乗合タクシー等の確保・維持を図り、病院・商店・公的機関の間の移動等の支援を行っているところです。
 本事業については、2013年度末で期限を迎えることとなりますが、被災地の復旧・復興状況を勘案すると、引き続き支援が必要であると考えております。
 そこで、2014年度予算概算決定では、有償運行の場合に、仮設住宅等の箇所数に応じた上限額の設定を行い、地域の実情に合わせたよりきめ細やかな運用を図るとともに、集中復興期間に合わせ、2015年度まで事業期間を2ヵ年延長して支援を継続することが盛り込まれたところです。
 国土交通省としては、今後も地元自治体と連携し、地域の声をよくお聴きしながら、適切に対応してまいりたいと考えております。

※対コメント(DPI)
「地域の実情に合わせたよりきめ細やかな運用」とあるが、NPOによる移動支援の需要は高い状況が続いている。自治体としても、運用に際してNPOとの情報共有・意見交換と活動に見合う支援を検討してもらいたい。(上記事業においては、NPO予算なし)

●【厚生労働省 回答】(老健局振興課(地域支え合い体制づくり事業 担当課))
(※資料『2014年度においてNPO等が活用可能な政府の財政支援について』P27)
 仮設住宅の高齢者等については、地域支え合い体制づくり事業により、被災地のサポート拠点において、日常生活を支えるため、地域の実情に応じ相談支援、生活支援サービス、地域交流等の取り組みを行っており、ご要望にあるようなニーズについても必要な機能であると考える。
 なお、当事業は、基金が設置されている被災県が実施主体となっており、「介護基盤緊急整備等臨時特例基金管理運営要領」に基づき実施しているところ。従って、ご要望の内容に関する事業実施に当たっては、被災自治体と相談されたい
 また、当基金管理運営要領では、・都道府県又は市町村が独自に個人に金銭給付を行い、又は利用者負担を直接的に軽減する事業などについては補助対象外としているのでご留意願いたい。

●【厚生労働省 回答】(社会・援護局地域福祉課(地域福祉等推進特別支援事業 担当課))
(※資料『2014年度においてNPO等が活用可能な政府の財政支援について』P30〜32)
 地域住民の孤立を防ぐという観点から、地域における孤立者の把握や買い物支援等の生活支援、サロン等の居場所作り等を行う安心生活創造推進事業を2013年度から実施している。(2013年度より、従来の地域福祉等推進特別支援事業の内容を見直し、安心生活創造推進事業を創設したところ。)
 当事業は、ご要望の買い物などの生活支援、通院の付き添いなどの移動支援なども補助対象としている。実施主体は各都道府県、市町村となっているが、地域の実情に応じて適切な事業運営が確保できると認められる社会福祉法人等に事業の一部を委託できることとされているため、ご要望の内容に関する事業実施に当たっては、各自治体と相談されたい。

※対質問&コメント(DPI)
 上記事業については、現障害・介保制度下の「移動支援」とは違う、現在被災地で行われている「移動に関する支援」も対象となると考えて良いか
○厚労省2者
 良い。制度下の事業ではないので申請に際して、事業所の資格要件なども無い。仮設支援の事業として申請してもらえれば可能。
○老健局振興課
 移動に関する事業は、現在2事業ほどある。予算は少ないけれど、自治体と相談してもらいたい。

2.道路運送法の緩和特例の実施
 仮設住宅が解消されるまでの「復興特例期間」を設け、自家用有償旅客運送(福祉有償運送)の対象者を、介護や障害の認定を受けた者のみでなく、「経済的、地理的に移動困難と認められる住民」に広げるべきです。
 具体的には、道路運送法第5章第78条の『一、災害のため緊急を要するとき。』および『三、公共の福祉を確保するためやむを得ない場合において、国土交通大臣の許可を受けて地域又は期間を限定して運送の用に供するとき。』を適用した判断として行われるべきです。
 被災地では、徒歩や家族の送迎による買い物や通院が困難な障がい者を含む移動制約者が、数多くいます。買い物を支援するバス等も運行されていますが、それを利用できない人にとっては、家族による送迎と同じような、生活支援型、あるいは介護サービスと連動した移動サービスが必要です。「公共交通全般」に関する施策では、ニーズに応えきれないからです。
 このようなサービスの実施は、生活支援の拡充、被災住民の安心感、精神的なケア、コミュニティの形成・維持も期待できます。
 しかし現状では、住民参加による移動サービスであっても道路運送法などの規制が厳しく、しかも財政的に実施継続が難しい状況にあります。
 また、復興半ばの自治体は、自治体の交通に関する意識や優先順位、財源等が追いつかないため、実際の活動団体への支援に結び付きにくいのが現状です。国による条件整備や予算措置が必要です。

●【国土交通省 回答】(自動車局旅客課)
 自家用有償旅客運送は、バス、タクシーの公共交通機関によっては十分な輸送サービスが提供されず、地域の交通や移動制約者の輸送の確保が困難であると認められる場合に、これらを補完するための運送として地元自治体が主宰する運営協議会の合意を得た上で、国土交通大臣の登録を受けることで、例外的に、自家用自動車による有償運送を認めている制度です。
 自家用有償旅客運送の制度のうちの福祉有償運送については、原則としてドア・ツー・ドアの個別輸送サービスを行うものであって、他人の介助によらずに移動することが困難であると認められ、かつ、単独でタクシーその他の公共交通機関を利用することが困難な者であって当該運送者が作成する名簿に記載されている者及びその付添人の方が運送の対象となります。
 他方、同じく自家用有償旅客運送のうちの過疎地有償運送の制度においては、当該地域内の住民、その親族その他当該地域内において日常生活に必要な用務を反復継続して行う者であって、当該運送者が作成する名簿に記載されている者及びその同伴者の方が運送の対象となっています。
 福祉有償運送においては運送する旅客の範囲が限定されているところですが、要望にあります「経済的、地理的に移動困難と認められる住民」、「被災地で運行されている買い物を支援するバス等も利用できない移動制約者」の移動サービスにつきましては、運送しようとする旅客として運営協議会において合意が得られ、運送者が作成する名簿に記載されることにより、過疎地有償運送において提供することが可能です
 このように、現行においても制度上対応可能でありますので、具体的な計画に即して東北運輸局又は運輸支局にご相談いただければと思います。
 また、国土交通省における予算措置については、地域公共交通確保維持改善事業による特例措置として、自家用有償旅客運送を行うNPO等についても対象としており、申請手続き等については、具体的な計画に即して東北運輸局又は運輸支局がご相談に応じたり、助言をする体制をとっています。

※対質問&コメント(DPI)
 要望にあるものは「提供可能」という回答だが、実際に活動を行っているNPOは、そのように理解しておらず、「被災地特例が必要ではないか」という声がある。「提供可能」と国交省が考えているのであれば、実現できるように東北運輸局・運輸支局に対し働きかけ、現地NPOとの協議を行っていただきたい

※対質問(AAR)
 有料ではなく、無料で移動サービスを提供する活動に対する予算措置または制度というものは無いのか。

※コメント(DPI)
 無い。一般助成金や寄付金により活動しているNPOばかり。
 移動に関する支援は、現在もなお非常にニーズが高い。利用者の多くは障害・高齢の移動制約者。利用目的の9割が通院ということを考えれば、仮設住宅が解消し、公共交通の整備が完了するまで、ニーズが解消されるとは考えにくい
 また、福祉有償運送事業を行うには、様々な手続きを踏む必要があるため、被災地の新設NPOが行うにはハードルが高い。また、NPOが事業継続のために福祉有償運送事業へ移行した場合、現行のボランティア送迎よりも、利用者への負担額が大きくなってしまうこともが考えられる。生活費のために数百円を節約して、通院を控える人もいるような状況下では、無料か実燃料費程度の負担で利用でき、NPOが事業継続できる方法を検討していただきたい

○国土交通省 自動車局旅客課
 福祉有償運送は、あくまでも公共交通を補完するものなので、国交省の事業として「無料」の公共交通を提供するのは難しい。
 現在の利用対象者の性質上、やはり厚労省が検討・対応していく方が良い

○厚労省 老健局振興課:検討する

○国土交通省 自動車局旅客課 新輸送サービス対策室 K氏(以前、東北運輸局在):
 自家用有償旅客運送の制度については、都道府県への移管が検討されていて、自治体が手をあげれば2015年度から都道府県裁量により簡素化が可能となる…?

【DPI・S氏メール2014.2.3】
「AARが「無償の移動支援をサポートする予算は無いんですか?」と、省庁側が避けてきた内容の質問を投げてくれたおかげで、国交省まかせで今まで逃げ回っていた厚労省を、議論の俎上に載せることができたというのが1つ成果かなと思います。少なくとも、現行事業で「対応可」と言った以上、この回答は交渉ツールになるはず」。


■ 報告ならびに今後の課題討議:

(1)「《2014 被災地の移動送迎支援活動セミナー》
 ■名称:「大災害時における障がい者・移動制約者の実態と取り組みの課題 ――必要な移動送迎支援活動」
 ■日時:2014年3月30日(日)13:30〜17:00
 ■会場:たかつガーデン(大阪府教育会館)
 ■主催:認定NPO法人 ゆめ風基金 / 関西STS連絡会
 ■セミナー次第:
  ●【講演】「災害時における障がい者・移動制約者の実態と必要な移動送迎支援活動」:
       ・講師:吉田 樹さん(福島大学 経済経営学類 准教授)福祉送迎調査研究者
  ●【パネルディスカッション】「災害時の移動支援の現状と3年になっての取り組みと課題」:
       ・コーディネーター:八幡 隆司さん(認定NPO法人 ゆめかぜ基金 理事)
    ・報告と課題の提起
       @村島 弘子さん(NPO法人 移動支援レラ 代表/石巻市大街道東)
       A竹下 敦子さん(NPO法人 ハックの家 代表/岩手県下閉伊郡田野畑村菅窪)
       B小山 貴さん(日本障害フォーラム いわて支援センター/岩手県陸前高田市気仙町)
    ・助言者 吉田 樹さん(福島大学 経済経営学類 准教授)
  ●【行動提起〜まとめに代えて】柿久保 浩次さん(関西STS連絡会 事務局)

(2)2月度〜の「運転者認定講習会」の開催
 ◎ 2月17、18日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎ 3月17、18日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎ 4月21、22日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎ 5月19、20日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市))

■次回運営委員会:3月1日(土)pm6:00〜8:00
於:NPO日常生活支援ネットワーク事務所