第133回運営委員会 ■6月6日に「関西STS連絡会」第133回運営委員会が、事務局の「NPO日常生活支援ネットワーク」事務所にて6時から8時半まで開催されました。 ■出席された団体・グループ様は以下の通りです。……(参加:5団体)
【議 案】 ■ 資料関係: @『移動送迎活動をめぐる制度の大変動!! 現場で、どう捉えて、どう取り組む……』(2015.6『モヴェーレ』) ■今、改めてふり返る私たちの活動 1970年代の東京でのボランタリーな移動制約者の“外出支援”活動が出発点といわれる移動サービス。1998年「NPO法」、2000年「交通バリアフリー法」、同年「介護保険法」等により、“移動のニーズ”が顕在化し、厚生労働省・国土交通省の「中間整理(2004年)」を経て、同年に「80条ガイドライン(例外許可制)」、そして2006年「道路運送法」改正によって“自家用有償旅客運送(登録制)”として位置づけられ、現在に至っている。 しかしながら福祉有償運送の現場では、収益性の改善には程遠い状況が続き、各自治体主宰の運営協議会での“ローカルルール(法の基準〔省令〕を上回る過度な運営協議会の基準設定)”などもあり、実施団体数は2007年以降、3000余団体で横ばい状態が続く(国交省調べ)。障がい者自立支援事業や介護保険事業の薄い余剰金を、福祉有償運送の運営経費に充てながら、移動制約者の“移動手段の確保”を続けてきた団体も多い。 2006年「道路運送法」改正により福祉有償運送が法的に位置づけされた後も、各団体はネットワークを形成し、裾野を拡げるために“運転協力者講習(国交省認定)”に取り組み、一方で制度的な改善を目指して、研究者の諸先生方と現場をつなげる学習会やセミナーを積み上げてきた。また、日常活動に追われながらも、東日本大震災の被災地に短期と長期の支援を組み合わせて“拠点”維持と、代わるがわる“移動の支援”を続けてきた。 そして2015年。まだまだ制度の輪郭には不確定な部分も見え隠れするが、「自治体等の動向に関与・注視していかないと、せっかくガイドラインに入った“移動支援”が位置付けられない自治体が出る」(遠藤氏報告)ことになるだろう。 ■今後の活動に欠かせない三本の矢 ●法制度の理解を深めよう 2014年3月、国土交通省は「移譲等のあり方に関する検討会」の資料「運用ルールの緩和・運用方法の改善について」の中で、各運輸支局における“ローカルルールの検証”の結果、“不合理と判断されるもの”が142件(うち27件が改善済み)と報告された。そういう状況下での「自家用有償旅客運送の事務・権限移譲」であり、しっかりと法律と施行規則を理解し、地域でのよりよい活動を確保・前進させたいものだ。 ●行政に対する働きかけを 2014年度のセミナーでは、@「権限移譲」と、A「地域公共交通活性化・再生法」改正による「地域公共交通網形成計画」、B「介護保険制度」改正に伴う2017年「総合事業完全移行」(訪問型サービスD〔移動支援〕)が、各自治体において合流され、そこに福祉有償運送が位置付けられなければならないことが指摘されている。 期せずして、国交省の福祉交通施策も、介護保険の「介護予防・日常生活支援総合事業」も、これから市町村に判断を促すという流れになっている。縦割りで、介護保険と地域交通とは重なりにくいのかもしれないが、“生活を支える地域公共交通”と“交流を支える地域公共交通”は合致しなければならない。 各セミナーを通して、上記の@ABの合流点が、やる気のあるいくつかの行政報告で出てきた(例:佐賀県の「地域公共交通会議」、横浜市の「地域交通サポート事業」「地域公共交通会議」、神奈川県大和市の「地域公共交通連絡協議会」、栃木県大田原市の「地域公共交通総合連携計画」など)。 しかし、福祉有償運送そのものへの理解は、まだまだ進んでいないのが現状のようだ。市町村の職員の方と、法の知識だけではなく、移動の役割なども、フランクに話せる機会が大切との指摘もあった。 ●広域のネットワークを日常(平時)の活動から いうまでもなく急激な人口減少と超高齢化の同時進行は、社会全体が抱える課題である。そして“移動・外出の確保”の重要性は、東日本大震災の被災地支援の取り組みの中でも、大きな課題となってきた。国交省、厚労省も、ともに改善の施策を講じざるを得ない状況を迎えている。 各講師の皆さんが、ともに指摘されていた点は、地域の福祉交通についての日常的な“地域”“行政”“運行主体”等の積極的な対話が必要ということで、地域を大切にする研究者や、NPOの人、地域の人、学生や、元職員を含む行政の人などによる、広域のネットワークが重要ということだ。 そして、日常(平時)の活動のなかで、“移動・外出支援のネットワーク”を強化していきたいものだ。」 A『=《クロスワードおおさか》箕面 障がい者ら移動サービス5か月 =安心で割安利用着々 ――採算課題 稼働増へ広報強化』(2015年5月25日『読売新聞』) ■乗り降り誘導 「目が見えず不安だから本当に助かります」。運転手に支えられ、オレンジ色のミニバンに乗り込んだ箕面市瀬川の女性(82)は笑みを浮かべた。女性は全盲で月に2回、通院でオレンジゆずるタクシーを利用。自宅前の道が狭く、運転手に玄関先から車まで約50bを誘導してもらっている。 料金は距離に関係なく30分以内1200円で、30分を超えれば15分ごとに600円が加算される。女性は「体の状態を知る運転手が来てくれて安心。料金も割安でうれしい」と話す。 ■需要増から導入 同事業は、市シルバー人材センターが市の補助金を受けて運営している。補助金は2017年3月までで計約1億5000万円。車いすのまま乗車できる専用車12台を配備し、運転手が乗り降りの介助も行う。市はこれまで、障がい者らを対象にした送迎事業を行ってきたが、事業の規模に対して利用登録者は約570人と多く、予約が取りづらい状況だったという。 市は、有効な移動手段がないため、外出を控える障がい者や高齢者らが潜在的におり、今後も需要は高まると判断。対象を広げ、福祉有償運送を活用した事業を始めることにした。対象は、介護保険の要介護や要支援認定を受けた高齢者や、身体障がい者ら。また「単独で公共交通機関の利用が困難な人」と認められれば利用でき、市は、市内の対象者は約1万人に上る、と試算する。 ■「外出の契機に」 課題となるのが、採算面だ。常利を目的としない同制度では、運賃はタクシーのおおむね2分の1までとされる。燃料費や人件費をまかないながら事業を継続するのは容易ではない。 大阪運輸支局によると、14年度の府内の福社有償運送の登録数は146団体で、2006年の制度開始時からほぼ横ばいで推移。移動支援活動を行う団体などでつくる「関西STS連絡会」(大阪市)の伊良原淳也代表は「燃料費や人件費などが重くのし掛かり、赤字続きの事業者が大半で、参入の障壁となっている」話す。 オレンジゆずるタクシーの1か月の利用回数は1月の718回から、4月には970回に増加。ただ、採算ラインは1か月約2730回とされる。箕面市は稼働率を上げようと、広報誌を通じて周知するなどしている。市は、2017年3月以降、事業の見直しを行い、独立採算を目指す考えで、倉田哲郎市長は「大々的にPRし、サービスを向上させれば、事業を維持できるはず。家に引きこもりがちな人が、街に出られるきっかけにしたい」と強調する。 近畿大の三星昭宏名誉教授(交通計画)は「福祉有償運送制度は見直すべき課題が多く、事業者は厳しい運営を強いられている。自治体主導による挑戦は意義が大きく、事業が継続できるよう工夫し、成功のモデルになるよう期持したい」と話している。 ◇ ◇ ◇
営業時間は午前7時〜午後6時。発着のどちらかが箕面市内であれば、市外への送迎も可能。会員登録が必要で利用日の3か月前から予約できる。問い合わせは、オレンジゆずるタクシー配車センター(072・720・5565)へ。【注】福祉有償運送:2006年10月に施行された改正「道路運送法」で認められた制度。NPO法人などが国に登録すれば、公共交通機関を利用しづらい高齢者や身体障がい者らを対象に、有償でサービスを提供できる。国土交通省によると、福祉有償運送への登録団体数は、2013年度で2400。制度がスタートした2006年度に比べて5・5%増にとどまっている。」 ■ 報告ならびに今後の課題討議: (1)5月度〜の「運転者認定講習会」の開催 ◎ 5月18、19日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市) ◎ 6月15、16日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市) ◎ 7月20、21日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市) ◎ 8月17、18日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市) (2)5月度〜の「セミナー」「報告会」の開催 ◎ 5月29日/「自家用有償旅客運送の事務・権限に関するセミナーin中部 〜愛知県の福祉有償運送・福祉運送を考える〜」(於:南生協病院) ◎ 5月31日/「移動支援Rera活動報告会」(石巻専修大学) ■次回運営委員会:6月6日(土)pm6:00〜8:00
於:NPO法人 日常生活支援ネットワーク事務所 |