139回運営委員会
2月6日に「関西STS連絡会」第139回運営委員会が、事務局の「NPO日常生活支援ネットワーク」事務所にて6時から8時まで開催されました。
■出席された団体・グループ様は以下の通りです。……(参加:7団体)
NPO法人「日常生活支援ネットワーク」(大阪市) ・伊良原淳也(関西STS連絡会)
NPO法人「自立生活センターやお」(八尾市) NPO法人「自立生活センターFREE」(吹田市)
NPO法人「寝屋川市民たすけあいの会」(寝屋川市) ・大阪大学・交通システム学領域(大阪市)
・い〜そらネットワーク(大阪市)


【議 案】

■ 資料関係:

@―国土交通省通達第298号「NPO等が実施する福祉有償運送…」(2015年12月25日)―
大切にしたい通達の“こころ”「移動困難者の生活を支えている」』2016.5『モヴェーレNo.24』)
2015年12月25日に国土交通省から通達「NPO等が実施する福祉有償運送の対象者、対価の明確化及び運営協議会の運営方法について」(国自旅第298号)が発出された。
 国の「通達文」と言えば、地域で移動サービスに取り組んでいる私たちにとっては、極めて難解な文字が並んで映り、ともすれば日常の活動からは縁遠い存在であった。一方、「通達」のあて先となっている各地方運輸局(支局)においても、その都度、出されてくる通達の“こころ”(趣旨)を充分に斟酌し、各地の運営協議会の場に反映されてきたとは、とても言い難いのが現状と言える。
 しかし、
2006年の「改正道路運送法」施行以来、各運営協議会の“不合理なローカルルール”に苦しめられてきた福祉有償運送団体にとって、大切な方向性の一つが示されている通達であり、今後の福祉有償運送の規制改善につなげていくための糧とするために、ここにレポートするものである。(大阪編集部)

■総務省・九州管区行政評価局が「福祉有償運送に関する実態調査(2015年)」
 総務省の九州管区行政評価局が、2014年8〜11月にかけて福祉有償運送の実態調査を行い、九州運輸局に“福祉有償運送制度の着実な取り組みが促進されるよう”に改善所見を通知した。その後、対応措置状況についてのフォローアップ調査で改善状況をまとめて、九州運輸局と各市町村に連絡している(報道資料:2015.9.29)。
 その報告書によると、
2014年度は「ローカルルール把握29件(うち不合理判定は0件)」となっていたものが、2015年度調査では「ローカルルール把握:112件(うち不合理判定20件)」【前年度の4倍】となっている。そして「運輸支局の把握方法が消極的」であることを指摘し、法令・通達上容認されていることを認めない独自の規程の存在や、不合理を申し出る窓口機能がないことにより、「必要な福祉有償運送が抑制されるおそれがある」と指摘している。
 ※ローカルルール:運営協議会が定めている「関係法令・通達に定められていない独自の基準」のことを指す。
 また運営状況についても、「運営協議会の設置や議事録をホームページ等で公表していない市町村」が
76.9%も存在することを指摘し、「公平公正な協議のために積極的に公表するよう働きかける」としている。

■福祉有償運送運営協議会(関西)のゆゆしき実態
 移動サービスのすそ野を拡げていくための基盤整備として、関西STS連絡会が2007年から取り組んできた「運転協力者認定講習会」の修了者は5,280名(2016年3月末現在)にものぼる。
 一方で、国土交通省がまとめた「自家用有償旅客運送登録団体数(
2015年3月末)」では、全国が計2,550団体で、2014年度の「新規登録:131団体」「抹消:104団体」。近畿運輸局管内は計359団体で、「新規登録:26団体」「抹消:16団体」となっている。つまり登録団体数は微増にとどまり、せっかく福祉有償運送を開始した団体が全国的に「抹消」に直面しており、各団体の悲鳴が聞こえてきそうな重たい現実が続いている。
 大阪では
2014年に運輸支局も参加する北摂地域運営協議会(大阪運輸支局管内)で、「これからはメーターを付けないと、更新を認めない」などの発言が飛び出し、後日、運営協議会事務局から「新しい基準(?)で見直すように」との文書が届けられた。また同年、阪神地区運営協議会(神戸運輸監理部管内)では、登録更新する団体が、運送の対価を「3.0kmまで500円」から「520円」に値上げする申請を出したが、「運送事業者は傍聴人であり、発言は説明を求められた時のみ」と申請者が「退席」を命じられ、「協議は整わず」とされた。
 こうした事態を受け、いずれも関西
STS連絡会として、近畿運輸局に「調査と是正を求める要望書」(2014年10月27日)を提出したにも関わらず、前述の阪神地区運営協議会の事案では、2016年1月に議事録の公開もないまま、「更新申請を却下」する判断が下された。この申請団体は2月に入り、利用者宛の「送迎サービス廃止」のお知らせと同時に、法人理事会にて「福祉有償運送からの撤収」を決議している。

■問われる国交省通達(2015年12月25日)の「広く登録が行われ、地域の移動困難者の生活を支える」の“こころ”
 2015年12月の国交省通達「NPO等が実施する福祉有償運送の対象者、対価の明確化及び運営協議会の運営方法について」には、9年間に発出された6つの通達等により「広く登録が行われ、地域の移動困難者の生活を支えているところである」と書かれている。2014年の九州管区行政評価局からの指摘にも触れながら、運営協議会における不合理なローカルルール等の取扱いについて、内閣府の規制改革会議において「規制改革実施計画」(2015年6月30日閣議決定)には「福祉有償運送の規制改善に係る指摘」が盛り込まれたとしている。
 そして「今後の福祉有償運送の実施にあたっては、市町村と連携を図り、取扱いの地域差により(福祉有償運送の)実施が妨げられることがないよう努められたい」とされている。

■通達298号を構成員全員で読もう!
 この通達の1項目では旅客の範囲について、「福祉有償運送による運送を必要とする者であると認められるならば、障害者手帳等を持たない者であっても対象者とすることは可能である」と明言。また収受する対価について、「ガソリン代等の他、輸送に係る適切な範囲内であれば、予約事務を行うオペレーターの人件費等も実費の範囲として可能」、とも明記されている。

【国土交通省通達第298 号(「1」「2」の一部抜粋)】
1.市町村担当者及び運営協議会構成員に対する周知徹底について
 以下の点についての取扱いを市町村担当者及び運営協議会構成員に対し周知徹底することとする。
(
1)運送する旅客の範囲については、運営協議会等において、福祉有償運送による運送を必要とする者であると認められるならば、障害者手帳等を持たない者であっても対象者とすることは可能である。
2)旅客から収受する対価については、「実費の範囲内」であることが求められ、ガソリン代等の他、輸送に係る適切な範囲内であると認められるのであれば、予約事務を行うオペレーターの人件費等も実費の範囲として含むことは可能である。
(
3)また「タクシーの上限運賃の概ね1/2の範囲内であること」は、あくまでも目安であり、上限として定められているものではない。
2.福祉有償運送の運営協議会の実態把握について
 運輸支局等においては、毎年
3月末時点の各管轄区域の地方公共団体における福祉有償運送の運営協議会の設置状況について調査を行うとともに、運営協議会が設置されていない地方公共団体に対しては、@設置をしていない理由、A今後の運営協議会設置の予定、Bその他地域の特殊事情等について調査を行うものとする。

 しかし、「運営協議会において認められれば」という条件付きでもある。運営協議会では構成員によって認識が異なり、登録のハードルを上げている地域が多い。「実施が妨げられることがないように」「構成員に対し周知徹底すること」が不可欠である。

 自家用有償旅客運送の法律上の位置づけが明確化されて
10年目を迎える。今こそ2006年の「急速な高齢化と少子化が同時進行し、ドア・ツー・ドアの移動を提供するSTSの普及促進が緊急の政策課題である」(国土交通省)とした原点にある“こころ”を呼び起こす一つのきっかけにしたいという想いを込めて、このレポートを締めたい」。


A『白杖・補助犬・障がい者割引配慮を/差別解消法/障がい者差別の事例提示
国交省担当官が解説/タクシーも対応/全タク連ケア輸送委』2016年4月18日東京交通新聞)

「障がいを持つ人への不当な差別を禁じた「障害者差別解消法」が4月1日施行され、タクシー業界でも乗車場面などで意識や行動が問われている。12日、東京・市ヶ谷の自動車会館で開かれた全国ハイヤー・タクシー連合会のケア輸送委員会で、差別的取扱いに当たる事例が示された。国土交通省の奈良和美・総合政策局安心生活政策課企画官が解説した。
 奈良氏は差別に該当する例として、白杖に気づくと空車でも無視して通り過ぎる▽補助犬の帯同を拒否する▽障がい者割引を断る――などを挙げた。補助犬に関し「金沢で乗車拒否があったが、そもそも身体障がい者補助犬法で断ってはいけない」と注意喚起した。障がい者割引では「乗務員負担がなくなれば、改善されるのでは」との見解を示した。一方で差別に当たらないケースには、聴覚障がい者に筆談を求めたり、車いすでの乗車を、固定装置やスロープがないために断ったりする場合を提示し、「丁寧に説明することが大切」と話した。
 冒頭あいさつした漢委員長は、福祉・介護輸送限定事業者でつくる日本福祉医療輸送機構(
JWMTO=ジェウント)に言及。3月、旧民主党の議員連盟立ち上げを働きかけ、会長に野田佳彦前首相が就いたことに「ある意味で脅威。JWMTOに加盟する事業者はしっかり取組んでいると思うが、非会員事業者は運賃を守っていない」と警戒感をあらわにした。

精神障がい者にも割引運賃適用を/家族会が国会請願へ
 公共交通機関の障がい者向け割引運賃を精神障がいにもー層広げるよう、精神障がい者の家族でつくる全国精神保健福祉会連合会などが、5月13日に国会へ請願する準備を進めている。「障害者差別解消法」の施行も追い風に、50万人の署名をそろえる考え。
 国土交通省の標準運送約款で、バスは身体と療育、精神、タクシーは身体と療育の障がい者に対し、手帳を掲示することで割り引くことが可能。事業者が割引分を負担するため、バスでも精神障がいに適用しない場合があり、タクシーも精神は各社の裁量となっている」。


■ 報告ならびに今後の課題討議:

(
1)《2015福祉有償運送セミナー》「新“介護予防・日常生活支援総合事業”における移動の確保を考える」
■日 時:2016年3月6日(日)、13:30〜16:00
■会 場:大阪市総合生涯学習センター第一研修室(大阪駅前第2ビル5階)
■主 催:関西STS連絡会
■共 催:NPO法人 全国移動サービスネットワーク
     NPO法人 移動送迎支援活動情報センター
■セミナー次第:
 ●来賓あいさつ:
   ・近畿運輸局自動車交通部旅客2
   ・大阪府福祉部高齢介護室介護支援課 地域支援グループ
 
●問題提起T:「総合事業フル活用で地域の移動送迎支援活動の充実を目指す!」
   ・報告:遠藤 準司
NPO法人アクティブネットワーク・代表)
 ●問題提起U:「岡山県における取組みの現状を通して、今後の課題を探る」
   ・報告:横山 和廣さん
NPO法人移動ネットおかやま)
 ●まとめ:
   ・まとめ:三星 昭宏さん(近畿大学・名誉教授
   ・行動提起:柿久保 浩次さん
(関西STS連絡会・事務局)


2)「= 阪神淡路震災から21年・東北震災から5年・茨城県常総市豪雨水害から6ヵ月 =
2015水害被災地・常総市の移動支援を通して、災害時の移動送迎活動を考える」
■日 時:2016年3月6日(日)、10:00〜12:00
■会 場:大阪市総合生涯学習センター第一研修室(大阪駅前第2ビル5階)
■参加費:無料
■主催:被災地における障がい者、移動制約者への移動送迎支援活動基金(略称:ももくり送迎基金)
■後援:NPO法人 ゆめ風基金
    
NPO法人 全国移動サービスネットワーク
    関西
STS連絡会
    
NPO法人 移動送迎支援活動情報センター
■報告会構成:
 ●被災現地からの報告:

  ●水害被災現地からの報告:
  「水害被災地・常総市における移動支援の現状と課題・解決の視点を探る」
   ・現場から報告:横田能洋さん
    
(茨城NPOセンター・コモンズ代表理事/常総市水害対応NPO連絡会議呼びかけ人)
 ●被災地支援活動報告:
  「水害被災地・常総市への移動支援活動の教訓から、今後の貴重な課題を探る」
   ・報告:柿久保 浩次
(関西STS連絡会/ももくり送迎基金・委員長)
 ●まとめ(行動提起):
   ・まとめ:三星昭宏さん(近畿大学・名誉教授)>


(3)2月度〜の「運転者認定講習会」の開催
 ◎ 2月15、16日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
3月14、15日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
4月18、19日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
5月16、17日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎ 6月20、21日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
7月18、19日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
8月22、23日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
9月12、13日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)


■次回運営委員会:5月7日(土)pm6:00〜8:00
於:
NPO法人 日常生活支援ネットワーク事務所