147回運営委員会
2月4日に「関西STS連絡会」第147回運営委員会が、事務局の「NPO日常生活支援ネットワーク」事務所にて6時から8時まで開催されました。
■出席された団体・グループ様は以下の通りです。……(参加:5団体)
NPO法人「日常生活支援ネットワーク」(大阪市) 伊良原淳也(関西STS連絡会)
NPO法人「移動サービスネットワークこうべ」(神戸市) NPO法人「寝屋川市民たすけあいの会」(寝屋川市)
・い~そらネットワーク(大阪市)


■ 資料関係:

①「「地域で支え合う」議論/岐阜・明智地区公共交通活性化会議」2017.2.13 東京交通新聞)
「 明智鉄道沿線地域公共交通活性化協議会は4日、岐阜県恵那市の明智文化センターでシンポジウムを開催した。沿線地域の公共交通について鉄道、バス、タクシーの事業者、団体の関係者がパネルディスカッションを行い、地域で支え合う公共交通のあり方についで議論した。パネルディスカッションの前には福島大学の吉田樹准教授が「豊かなくらしと地域を創る公共交通の戦略的マネジメント」と題し基調講演も行った。
 開会にあたって協議会の小川会長、恵那市の小坂喬峰市長がそれぞれあいさつし、小川会長は「公共交通網の形成は地域の協力がないとできない」、小坂市長は「市の公共交通は高齢化と少子化で深刻な状況となっているが、なくしてはいけない、守っていきたい。地域の皆さまに使っていただけるような仕組みをきちんと提供していくのが使命と考えている」と述べ、シンポジウムの意義を強調した。
 講演を行った吉田准教授はこ地方の公共交通の実態について、路線の廃止や減便といったサービス水準の低下以上に利用者が逸走し衰退が続いていると指摘。自家用車の普及も要因として言われる一方で、若者のクルマ離れなどモータリゼーションが終わった中で「負のスパイラル」を断ち切れていない現状を説明した。
 吉田准教授は、「地域の公共交通網を道具として、まちづくりと連携した交流機会の創出が必要」、「公共交通は事業者任せでは守りきれない時代」とも述べ、市民、行政、事業者のできることの役割分担で課額を解決していく必要性を強調した。
 シンポジウム参加者から「交通空白地と言えない地域ではあるが、自宅からバス停までを自家用有償運送ができないか模索している。どうしたらいいか」との質問が出て、同准教授は「地域でいろいろな主体の人と議論していくことがまずは大前提。その上でどういった合意形成をし、選択していくかではないか」と市民、行政、事業者による議論の重要性を重ねて強調した。
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 パネルディスカッションには、吉田准教授のほか、成瀬洋一東濃鉄道乗合営業部次長、山田幹雄平和コーポレーション社長、伊藤温子明智鉄道庶務広報主任、岐阜県タクシー協会東濃支部の伊藤和夫東鉄タクシー取締役、公共交通空白地有償運送を実施していろ飯地地域自治区運営委員会の後藤次哉委員長が登壇。コーディネーターを名古屋大学大学院の加藤博和准教授が務めた。
 討論を前に加藤准教授は、「公共交通活性化協議会として2018年度に明智鉄道の利用者数50万人を目標にしているが、15年度は40・2万人で全く届かない」と現状を説明。「鉄道事業者は努力され単価を上げているが、地域の利用が減っている。これはとても危険なことで、地域は何もやらなくていい、ということではない」と危機感を示した。
 討論の中で、平和コーポレーションの山田氏は自主運行バスについて「行政の枠組みで仕事をする時、民間としてどこまで意見が言えるのかという思いがあったが、今後は責任を果たさないといけないと実感した」と述べるとともに、「鉄道、路線バス、自主運行バス、タクシーの事業者が連携、タッグを組んで物事に対応していかないと、負のスパイラルになる」と垣根を超えて取り組んでいく姿勢を強調した。
 吉田准教授も「事業者間の連携には目標と目的の共有が必要。目的に向かってそれぞれが何をできるか考えて一歩踏み出せれば、仮に目標に届かなくても新しいつながりができ、次に進めるのではないか」と述べた。
 討論でタクシーの役割について触れた加藤准教授は「デマンド交通はほとんどの地域で“安いタクシー”になっている。あまり乗り合っておらず、補助金でやっている。ならばタクシー(のまま)で昼間は助成があって安く高齢者が乗れる方がいい。タクシーがぜいたく品ではなく、どうしたら地域の移動手段として行政の補助とか、乗り合って使えるかを考え、生かしていく必要がある」と述べた。
 吉田准教授は議論のまとめの中でタクシーについて「鉄道、バスと決定的に違うのは1台いくらの運賃。乗る人数によって利点を生かすことができ、面的な機動力もあるので、バス停までの移動を支える選択肢にタクシーがなる可能性が高い」と指摘した。」


②「熊本学園大が独自に避難所 障害者らを受け入れ」(2016.5.2 福祉新聞)
「 4月14日以降、大きな揺れが続いている熊本地震で、熊本学園大学(熊本市)は独自に避難所を開設した。社会福祉学部の教授を中心とした60人態勢で、地域の高齢者や障がい者などを受け入れている。発災直後から医療体制も整備し、学生ボランティアも配置。避難所運営を想定していなかった中での迅速な対応に、避難者からは感謝の声が上がっていた。
 14日午後9時26分に起きた震度7の地震。発災直後から地域住民や学生が、同大のグラウンドに集まってきたという。そのうち住民からは、寒さを訴える声も聞こえてきた。そのため、同大にいた教授らは理事長や学長に相談。校門そばの「60周年記念会館」の教室を開放することが決まったという。
 「最初は熊本市内の被害は大きくないと思い、教授同士で震源地の熊本県益城町へ学生ボランティアをどう送るかを話し合っていた」と花田昌宣・同大水俣学研究センター長は振り返る。
 
 ところが、16日午前1時25分に本震が発生。熊本市内でも多くの地域で断水などの被害が出る事態に。
 そこで同大に助けを求めたのが在宅で暮らす障がい者たちだ。避難の経緯について、車いすユーザーの日隈辰彦・ヒューマンネットワーク熊本代表は「余震もあり、ヘルパーも被災した可能性を考え、これまでつながりのあった同大に避難を要請した」と話す。
 避難所となった会館は大学の創立60周年を記念して、2007年に建てられた。施設内はバリアフリーで、多目的トイレもある。
 同大は、障がい者を対象にした避難所として講堂を開放。舞台に近い部分にスペースを設け、男女を分ける仕切りも作った。16日から滞在した植田洋平さんは「住民を平等に扱う通常の避難所では、長期滞在が厳しかったと思う」と感謝する。
 16日時点では、同大に避難した人は約700人。うち、障がい者は30人に上った。花田教授は「もともと大学が避難所になることは想定していなかった。しかし社会福祉学部の教授と協議し、16日時点で避難所としてきっちり運営すると覚悟を決めた」と話す。

 避難所を運営する上で、一番問題になるのが避難者の健康管理だ。そこで、医師免許を持つ下地明友・同大教授や看護師など7人で、医療チームを結成。定期的に避難者への声掛けを行った。「避難所運営では弱者へのサポートが何より大切。医療機関へ何人かつなぐこともでき、非常時にしてはうまく機能した」と下地教授は語る。
 一方、人材不足も課題となった。14日に同大へ避難した学生の中には、そのまま避難所の運営側に回り、帰宅しなかった人も少なくないという。当然、学生にも疲労の色が見えてくる。
 被災当日からボランティアとして活動していた同大院生は「16日は余震に備え、学生は誰も寝ずに見守りを行った。プールの水をくんだり、釜で米を炊いたり、みんな必死だった」と証言した。
 その後、同大は18日に学生5,500人以上にボランティアを呼び掛けるメールを発信。300人が応じたことから、1日に30人ずつローテーションを組む態勢が取れるようになったという。専門職の応援もあり、本震から1週間の時点で、1日60
人での支援態勢が固まった。
 同大の避難所は、発災から10日たっても運営は続く。多くのメディアも取り上げたことから、「自分も入れてほしい」という障がい者や、「断水が続いており施設から移動させたい」という福祉関係者からの要請が相次いでいるという。
 宮北隆志・同大社会福祉学部長は「大学には、これまで水俣病の研究などを通じ住民に寄り添う風土があった。また、医療体制の確保や多くのボランティア志願者など、さまざまな要因が重なったからこそ生まれた避難所。地域の大学としての使命感を持ち、最後まで責任を持って運営したい」と語った。

■被災障害者の支援へ、県内20団体でセンター発足へ
 熊本地震で被災した障がい者を支援する「被災地障害者センターくまもと」が4月20日、発足した。県内の障がい者関係約20団体が連携。会長には倉田哲也・くまもと障害者労働センター代表が、事務局長には弁護士の東俊裕・熊本学園大教授が就任した。
 今後センターは、関係団体を通じて被災状況を調査するほか、避難所などで支援ニーズを掘り起こす。支援ボランティアの派遣など生活再建をサポートする。支援物資や寄付金の募集と配分も行う。
 同センターの野尻健司さんは「さまざまな団体と連携し、当事者にとって足りないところを支援していきたい」と話している。」


今後の取り組み等の討議:

(1)「コミュニティに根付いたインクルーシブな
     地区防災を考えるセミナー ―熊本地震の経験に学ぶ―」の開催」

■日時:2017年3月26日(金)14:00~17:00
■会場:大阪大学中之島センター703会議室
■主催:
一般社団法人 日本福祉のまちづくり学会関西支部
      被災地における障がい者、移動制約者への移動送迎支援活動基金(ももくり送迎基金)

■後援:大阪大学未来共生イノベーター博士課程プログラム
■セミナー次第
《セミナー》
 ・開会挨拶:三星昭宏(近畿大学名誉教授)
 ◎基調講演:「被災者の尊厳を守る ―熊本地震避難所『熊本学園モデル』を通して(仮題)」
    講師:花田昌宣氏(はなだまさのり)(熊本学園大学社会福祉学部教授・水俣学研究センター長)
 ◎パネルディスカッション:「地域に根付いたインクルーシブな地区防災とは」
    コーディネーター:柿久保浩次(ももくり送迎基金)
    パネリスト:花田昌宣(熊本学園大学教授)
            中村守勝(
NPO法人 移動ネットおかやま)
            伊藤 豊(
NPO法人 こうべ移動ネット、阪神淡路震災支援経験者)
            西村秀樹(視覚障がい者、守山市
UDまちかどウォッチャー)
■懇親会:
17:30~、於:9階交流サロン(参加費¥3,500


(2)「岡山県福祉移動ネットワーク講座:
     
1部:災害時の移動支援(講師:福田悠介)」
■日時:2017年2月12日(日)
■会場:岡山県運転免許センター


(3)「NPOの災害支援活動を考えるフォーラム」
■日時:2017年2月15日(土)13:30~17:15
■会場:みえ県民交流センター
■主催:三重県
■パネルディスカッション:
 ・渥美公秀さん(大阪大学大学院人間科学研究科教授)
 ・柿久保浩次さん(
NPO日常生活支援ネット・理事長)
 ・筒井美幸さん((公財)三重県国際交流財団・企画総務課長)
 ・中森忠司さん(伊勢市災害ボランティアセンター長)


4)生野区「“移動・外出を多様な生野支援サービスで推進する”福祉有償運送セミナー」の開催
日時:2017年3月2日(木)10:00
会場:生野区役所会議室
講師:
 ・柿久保浩次さん(関西
STS連絡会)
 ・遠藤準司さん(関西
STS連絡会)


5)「移動サービスのつどい2017」の開催
日時:2017年3月5日(日)10:00
会場:東京ボランティア市民活動センター
報告:「関西の福祉有償運送の現状と課題について」(50分)
 ・柿久保浩次さん(関西
STS連絡会)


(6)2月度~の「運転者認定講習会」の開催
 ◎ 2月20、21日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
3月20、21日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
4月17、18日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎ 5月22、23日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
6月19、20日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎ 7月17、18日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)


■次回運営委員会:2017年3月4日(土)pm6:00~8:00
於:NPO法人 日常生活支援ネットワーク事務所