158回運営委員会
3月3日に「関西STS連絡会」第158回運営委員会が、事務局の「NPO日常生活支援ネットワーク」事務所にて6時から8時まで開催されました。
■出席された団体・グループ様は以下の通りです。……(参加:6団体)
NPO法人「日常生活支援ネットワーク」(大阪市) 伊良原淳也(関西STS連絡会)
NPO法人「自立生活センターFREE」(吹田市) NPO法人「寝屋川市民たすけあいの会」(寝屋川市)
なにわ子ども育成会(大阪市) ・い~そらネットワーク(大阪市)


【議 案】

■ 資料関係:


①『国交省「高齢者の移動手段の確保に関する検討会」への意見ならびに質問』(2018年4月25日 NPO法人 全国移動サービスネットワーク副理事長・河崎 民子
                                                                   20184月25
 高齢者の移動手段の確保に関する検討会・座長 鎌田 実 様
NPO法人全国移動サービスネットワーク副理事長 河崎 民子

意見ならびに質問

 「中間とりまとめ」を受けたこの間の通達等(特に項目
3~6関連)について、事前に意見と質問を提出します。

3.自家用有償運送の活用
1)検討プロセスのガイドライン化
 
【意見1地域公共交通会議における検討プロセスのガイドラインは、交通事業者を優先するプロセスになっている。地域公共交通会議は、ほんらい市町村が地域のあり方や交通モードを決定する場であり、交通事業者はあくまでサービスを提供する側である
 
「中間とりまとめ」6.では「高齢者の移動手段の確保については、地方公共団体が創意工夫を行いながら主体的な役割を果たす必要があり」とされており、まず市町村が地域の移動手段の確保に対する方針や計画案を示したうえで、それに沿った提案を受けるべきである。方針等が住民のニーズに即して策定され、事業者からそれに沿った提案があった場合は、当然採用されるべきだが、国から事業者優先の検討プロセスを示すのはいかがなものか
 このガイドライン化により、地域公共交通会議を設置している市町村において、新たな混乱が生じるのではないかと危惧する。今後の推移を注視したい。
 
【意見2運営協議会における交通空白地有償運送の検討プロセスについては、協議が調うまで半年から1年以上を要するケースが多々あることから、期限明示により地域交通の確保がよりスムーズになる可能性があると一定の評価をする
 しかし、福祉有償運送の検討プロセスのガイドライン化はすべきではない。各地で反発と懸念の声が上がっている
 
2017年3月末現在、2,465の福祉有償登録団体が活動している。運送の必要性についての協議を経て登録を受けているにもかかわらず、福祉有償運送の登録申請や更新登録時にこのプロセスを踏むことは疑問である。加えて、福祉有償運送は、団体数は微増傾向だが(小規模団体の申請がある)車両数は前年同月比300両規模で激減している。ボランティアのすそ野が広がっていない。ガイドライン化により、その傾向が加速することが懸念される。高齢者の移動手段を多様に確保していくことを目的とした検討会の趣旨にも反する
 そもそも、福祉有償運送の運営協議会は形骸化している、もしくは利用者利益を無視して制度以上の規制をかける場になっている地域も依然としてあり、運営協議会自体を見直すときである。
運営協議会は廃止して、運送の必要性、運送の範囲、運送の対価については、行政判断とすべきとの声が地域では高い
 
【質問1福祉有償運送の更新登録においてもこのガイドラインを適用するのか。(自家用有償旅客運送の更新登録は新規登録と同様に行われているので確認したい。)登録団体の更新時にこのプロセスを適用することは、絶対に避けるべきだと考えるが、国の考えを聞きたい。

2)市町村が主体となる自家用有償運送の活用の円滑化
【意見
3交通空白地輸送において、区域運行も可能となったことで、長年の課題を解決できた地域があり(透析に通う病院が町外にある等)、喜びの声を聞いている
 市町村運営有償の場合も、持ち込み車両の使用が可能となったが、これも円滑化に資するものである。

3)地方公共団体等に対する制度の周知徹底
【意見
4自家用有償運送のハンドブックは、中間とりまとめにある「検討プロセスに係るガイドラインや運営協議会の運営方法等」からは、このようになるのかも知れないが、福祉部局には理解しづらい。サービスモードの序列を解説するだけならば、ハンドブックではなくポンチ絵と通達だけで十分ではないか。
 別途作成するのであれば、どのようなケースや地域状況において自家用有償運送を活用すればよいかを示す必要がある。

4.許可・登録を要しない輸送(「互助」による輸送)の明確化
1)ルールの明確化
 
【意見
5】8月発出の事務連絡「営利を目的としない互助による輸送のためにNPOが市区町村の自動車を利用する場合等の取扱いについて」は、これにより運営や継続が苦しい互助団体の活動課題の1つが解決されたと評価をしている。
 
【質問2事務連絡は、「NPO又は社会福祉協議会が、…当該サービスのために市区町村の自動車を利用するとき」となっている。この場合のNPOは、NPO法人に限定されないことが重要であると考えるが、ある地方運輸局から「この事務連絡はNPO法人と社会福祉協議会のみを対象にしている」との解釈が示されたとの相談があった。この解釈は間違っていると考えるがどうか。
 
【意見6今回の通達「道路運送法における許可又は登録を要しない運送の態様について」の改正部分は、「規制改革実施計画」への対応が「中間とりまとめ」の趣旨より優先されており、「高齢者の移動手段の確保」を「地域の助け合い活動で促進する」という立場からは、非常に残念である。
 少子高齢化と過疎化が進行するなかで、団塊世代で介護状態となる者が増加する
2025年は迫っており、移動ニーズ充足への助走が必要だが、今回の改正内容では運転ボランティアのすそ野は広がらないかつ継続性も担保できない
 通達の末尾に「今後、地域における実情等を踏まえ、必要に応じて適宜見直しを行うこととする」とされているので、
今後も地域の実情等について情報提供や意見具申を行っていきたい

2)実施にあたっての条件整備
【意見
7互助による輸送は、自治体の財政力からも持ち込み車両の活用が欠かせない。持ち込み車両の使用拡大は歓迎するものの、事故の際の保障については課題が多い。新たな保険商品の開発に期待している。

5.福祉行政との連携6.地域における取組に対する支援
 
【質問
3地方運輸局の役割や助言、調整、情報提供等による支援が縷々方針化されているが、地域において福祉行政が混乱する元は地方運輸局から発せられる現状がある。福祉が理解されていない今後、どのような教育プログラムで意識改革や啓発等を進めるのか。」


②『福祉と交通 人事交流を/かながわ福祉移動ネットがセミナー』(2018.4.16 東京交通新聞)
 かながわ福祉移動サービスネットワークは12日、横浜市健康福祉総合センターで「福祉と交通」の連携をテーマに高齢者・障がい者の移動手段の確保を考えるセミナーを開催した。全国移動サービスネットワークが共催。
 東京大学大学院の鎌田実教授、国交省総合政策局交通政策部の金子正志課長、医療経済研究機構総務部の服部真治次長の基調講演の後、パネルディスカッションを行った。
 鎌田教授は地方・交通空白地では将来的に公共交通の維持が事業性などを考えると難しくなることから「自動運転への期待が大きい」とした。移動の改善だけでは意味がなく「魅力があって行きたくなるよう街全体を考えねばならない」とした。
 金子課長は「法律は公共交通事業者の既得権益を守るためではなく利用者の安全性確保のため」と説明。許可・登録などを必要とせず行われるボランティア運送は、「どこまでが無償と認められるか」の基準が作られたことも解説。訪問型サービスD型(付き添いや送迎)の進展が遅いことも解説。理由として「移動手段確保の必要性の認識が薄い」など、交通と福祉の分野の認識の違いもあるとした。
 服部次長は地域包括ケアシステムの構築の重要性を説き、「既存の公共交通をどう利用するかが前提。しかし、すべてを公共交通で賄えない地域もある」「住民や支援を受ける人・担い手が主体となって行動しないと」などと述べた。ただ交通を用意するだけではなく、地域住民を巻き込んだ取り組みがないと成功しないと指摘した。
 パネルディスカッションではパネリストで横浜市都市整備局企画部の松井恵太企画課長、健康福祉局高齢健康福祉部の喜多麻子地域包括ケア推進課長、川崎市宮前区社会福祉協議会の奥山慶三事務局長、たすけあいワーカーズ大空の依田久司理事が登壇。コーディネーターをかながわ福祉移動サービスネットワークの清水弘子理事長、コメンテーターを鎌田教授が務めた。
 福祉と交通の各分野から発表・質問などが行われ「地域住民が意識して担い手となることが重要」などの意見もあった。鎌田教授は「福祉と交通の分野で人事交流をしてもらいたい。いろんな経験を積んだ人がやると、見えてくるものがある」と話し、交通と福祉双方を見る目が必要とした。」



③『助け合い送迎不可欠/「移動支援Rera」村島代表』2018.4.9 東京交通新聞)
 一連の地域公共交通関連制度の改正を、現場はどう受け止めているのか。東日本大震災の被災地、宮城県石巻市で、通院や外出など住民の生活を支えるNPO法人「移動支援Rera(れら)」の村島弘子代表に話を開いた。
 住民による助け合い送迎の役割が、重要視されるようになってきたと感じる。これからは住民である私たちも、行政に任せきりにせず、「自分ごと」として地域の移動を一緒に考える時代になっていくのだと思う。
 移動の担い手としての役割を背負う一方で、有償であれ、無償であれ、助け合い送迎を継続することは、制度として非常に難しいと感じる。実際に必要となる経費のごく一部のほかは、住民の善意のみに頼る仕組みのままでは、全国の移動の課題解決に結びつけることは、困難なのではないか。
 人口減少や運転免許の返納が課題となってきている昨今、暮らしにもなかなか余裕がない中で、公共交通や助け合い送迎などの移動手段の確保は、経済や住民の健康維持に必要不可欠なものとして、社会全体で守っていくという認識が広まってほしいと思う。」



今後の取り組み等の討議:

(1)4月度~の「運転者認定講習会」の開催
 ◎ 4月16、17日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎ 4月22日/「交通空白地有償運送運転者認定講習会」(於:福岡県豊前市)
 ◎
5月21、22日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
5月31日、6月1日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:和歌山県橋本市)
 ◎
6月18、19日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
7月16、17日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
8月20、21日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
9月17、18日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)

2)『猪井博登さん(元・大阪大学)を囲む懇親会』の開催
■日時:
2018年5月26日(土)17:00~19:00
■会場:ニュートーキョー 第一生命ビル店(梅田・大阪駅前:予約名「馬場」)
■会費:
5,000円(2時間飲み放題)
呼びかけ:交通まちづくり学研究会幹事有志(代表:馬場明男)

■次回運営委員会:2018年5月5日(土)pm6:00~8:00
於:NPO法人 日常生活支援ネットワーク事務所