159回運営委員会
5月5日に「関西STS連絡会」第159回運営委員会が、事務局の「NPO日常生活支援ネットワーク」事務所にて6時から8時まで開催されました。
■出席された団体・グループ様は以下の通りです。……(参加:8団体)
NPO法人「日常生活支援ネットワーク」(大阪市) 伊良原淳也(関西STS連絡会)
NPO法人「自立生活センターやお」(八尾市) NPO法人「自立生活センターFREE」(吹田市)
NPO法人「寝屋川市民たすけあいの会」(寝屋川市) NPO法人いばらき自立生活センター ぽぽんがぽん(茨木市)
なにわ子ども育成会(大阪市) ・い~そらネットワーク(大阪市)


【議 案】

■ 資料関係:

■ 『福祉有償運送の「運送の対価」:「営利に至らない範囲」=「タクシーのおおむね
2分の1」問題』

①資料「タクシー事業者の上限運賃のおおむね1/2を目安」問題」(2018.5.22 NPO法人 全国移動ネット・事務局長 伊藤みどり)
2003年、国交省旅客課「移動サービス団体活動実態のアンケート調査」:
 当時、東京ハンディキャブ連絡会が持っていた団体リストには
2500くらいの団体が載っていて、市町村社協も多く含まれていた。社協の利用料金はかなり安かったし、NPO等も1時間800円の助け合いチケット+ガソリン代という団体が相当数あり、平均の利用料がタクシー運賃1/2くらいだったとしても不思議ではない。
 ただ、当時から、大半は赤字運営でしたが、それでもみなさん頑張って実施されていた。
  ▼福祉有償運送に関する実態調査報告書(全国移動ネット調べ/2008年3月)
    
http://www.zenkoku-ido.net/_action/pdf/080228houkokusho.pdfp23

・登録制度(
2006年)が始まって、認定講習が義務づけられ、法人車両の自動車保険は「業務用」になり、「運送対価:タクシー運賃の概ね1/2」問題が、補助金等がもらえない状況が、各団体を苦しめるようになる。
  ▼「
NPO等によるボランティア有償運送検討小委員会」の報告書(2006年1月)
    
http://www.zenkoku-ido.net/_laws/pdf/060120NPOSHOUIINNKAI(SAISHUU).pdf(p18
NPO等による福祉有償運送は、非営利であるからこそ、自家用自動車を用いて有償で旅客を運送することが認められている。このため、運送の対価は従前より「営利に至らない範囲」として当該地域におけるタクシー事業者の上限運賃のおおむね2分の1を目安に定められてきているところである。これについては、新たな仕組みにおいても、基本的な考え方は踏襲した上で、現場での混乱を避けるため、「営利に至らない範囲」や「おおむね2分の1」といったことについての明確化を図るべきとの意見が多くあった。」
  
▼その前の2004年の80条例外許可の通達時に、運送の対価「1/2」が入る。
    
http://www.zenkoku-ido.net/pdf/0403_01.pdf
「運送の対価については、当該地域における一般乗用旅客自動車運送事業の上限運賃額、公共交通機関の状況等地域の特性等を勘案しつつ、営利に至らない範囲において設定されるものであることを要するものとする。この場合において 「営利に至らない範囲」については、当該地域における一般乗用旅客自動車運送事業の上限運賃額(輸送の実態を踏まえ時間制によるものを含む。)のおおむね
2分の1を目安に、地域の特性等を勘案しつつ定めるものとする。」
  
▼もっと前の2003年の特区事業の概要には以下のように書かれています。
「運送の対価として収受する金額については、当該地域における一般乗用旅客自動車運送事業の上限運賃額、公共交通機関の状況等地域の特性を勘案しつつ、営利に至らない範囲において設定されるものであること。」
2003年の特区事業が始まったときに、「有償ボランティアなので半分程度」というような根拠の説明があったのかもしれません。2004年の通達が出たときに、営利に至らない実費の範囲=タクシー運賃のおおむね1/2の根拠は何か?と質問しても、明確な回答はなかった。
   ということで、非公式のアンケートは
2003年だったのだろうと思います。」


資料「名古屋市運営協議会の場合」2018.5.21 NPO法人移動ネットあいち 遠山)
・運営協議会「運送の対価ルール」の明記。
 ◎タクシーの上限運賃の概ね1/2範囲 : 協議不要。
 ◎タクシーの上限運賃の概ね1/2を超える対価 : 協議を要する。
・現在の運営協議会の運送の対価
 ※運送対価:1キロ210円、以降1キロ毎に170円を加算。
 ※迎車回送料:100円。
 ※タクシーの運賃(名古屋圏)普通車初乗り運賃:1.05㌔まで450円、加算料金80円(0.235㌔毎)。
・タクシーの上限運賃の概ね1/2を超える対価の団体は2団体。
1)「NPO法人」(2014年2月運営会議で承認)
・運送対価:2㌔460円 以降1キロ毎に230円。
・迎車回送料:100円/回。
・運送の対価以外対価:乗降介助300円/回。
・ケアプランの乗降介助が算定出来る様「訪問介護事業所」。
・ドライバーへの支払は運送対価+迎車回送料の1/2出来高払い。
2)「協同組合法による法人」(2017年2月運営会議で承認)
・運送対価:2㌔400円 以降1キロ毎に200円。
・迎車回送料:100円/回。
・運送の対価以外対価:待機料金10分~30分500円 以降30分毎500円。
・車イスでの乗車:500円/回。
・介助料:500円/回。
・付き添い料:1,500円/1時間。
・車イス貸出料:100円/1日。
・ドライバーは非常勤職員の雇用契約 時間給:最低賃金875円。
※法人では「有償ボランティア」活動はなく、ボランティア活動は全て無償。


③資料「新潟市福祉有償運送運営協議会2018年2月6日」(新潟市福祉有償運送運営協議会2018.2.6:新潟市HP資料より)

1
)新潟市福祉有償運送運営協議会 2018年2月6日「議事録(対価に係る協議のあり方について)」
【協議の概要】
(ハイヤー・タクシー協会:
H・S委員)上限を設定していない市について、単価にばらつきはあるか。
(事務局)調査項目にないため不明。
H・S委員)現在、格安で運送を行っているため、事業の継続が大変ではないか心配で、前回協議会でも対価の話がでた。何か疑義があってこの話が出ているわけではないという前提で、意見を出してほしい。
(太陽交通(株)代表取締役:S委員)福祉有償運送の登録のために、運送の対価等を協議して認める協議会であるにもかかわらず、事業所がただ他社を参考に対価設定をするのではコスト意識がなく、正しい形ではない。実際の経費を算出することでコスト意識を持ち、見合った対価を初期の段階で設定してほしい。
 「資料
4」をより簡素化したものをフォーマットとして協議会が作成し、事業所に提供できれば、事業所の事務負担も少なく済むのではないか。
(福祉有償運送代表:M・S委員)協議会が上限金額を明文化し、その金額以下で各事業所がコスト計算にもとづいて初期の対価設定をできれば、経費算出資料は省けると思う。事業所ごとに利用者層が異なるため、上限金額の範囲内で、各事業所の判断で対価を設定するという形がよいのではないか。
(新潟運輸支局:T委員)県内他市でも、対価設定が適切でないために継続が困難となる事業所がみられており、今回、積算根拠を示して妥当な対価を設定することは非常によい。しかし、そこで過重な負担を強いることで協議が進まなくなる事態は避けなければならないため、それを踏まえて協議が必要。
(事務局)「資料4」について補足。「資料4」は協議会で申請されている対価が運営指針に照らして妥当であるかを判断する資料。実費の範囲内であるかを確認するもの。この資料で算出された経費を対価として設定するものではない
S委員)「資料4」については曖昧な項目も多く、また事業所によって金額は異なるだろう。タクシー料金の1/2については、新潟の場合、中型車で最初の1kmが240円、以降1km毎に156円加算ぐらいになる。
(新潟ボランティア連絡会:I委員)コストを算出することはとてもよいと思うが、事業所ごとに事情が異なるため、協議会としての基準はタクシー料金の1/2ということのみで、あとは事業所判断でいいのではないか。
(全新潟タクシー労働組合:T委員)石井委員と同意見。タクシー料金の1/2が実際にいくらなのかを示し、それ以下で事業所ごとに対価を設定すればよい。その際、協議会としては利用者がその対価について納得していることを確認できれば、認めざるを得ないと考える。運送事業を主体とする事業所はないため、詳細な積算資料の提出は過重な負担をかけることになる。
S委員)対価設定はいくらでもよいが、現状として値上げの申請が出てきており、またコスト管理ができていない事業所もある。「資料4」は各事業所のコスト管理に使えばよい。管理せずに有償運送の登録は間違っている。
H・S委員)これまではタクシーの1/2の額を意識する必要もないほどの低価格だったが、経費を積上げていくと上限を超えることもある。そのため上限を確にし、その中でこのような経費がかかるからこの対価なのだと、事業が納得して設定できる方法をとるのがよいと思う。
※今回の協議を踏まえ、以下の
2点の資料を作成した上で、再度次回協議会に諮ることとする。
 ・新潟のタクシー上限運賃資料。
 ・「資料
4」を精査し、それに対する各事業所からの意見をまとめた資料。

2)新潟市福祉有償運送運営協議会 2018年2月6日「配付資料(資料2)」

○対価に係る協議のあり方について(比較表)

区分 経費の積算資料なし 対価の上限を設定 経費の積算資料提出
協議方法 タクシー運賃の概ね1/2以内と
 認められれば可
協議会が上限金額を設定し、その
 範囲内であれば可(タクシー上
 限運賃の概ね
1/2
使用車両に係る必要経費(燃料
 費、車両整備費、保険料、自動
 車税、減価償却費、人件費等)の
 積算資料提出を求める
メリット ・事業所の事務負担が少ない ・事業所の事務負担が少ない
・協議会での協議基準が明確
・協議会での協議基準が明確
デメリット ・事業所の適正な対価設定が困難
・協議会での協議基準が不明確
・事業所の対価設定が上限金額
 まで上がることによる、利用者
 の負担増。
・事業所の事務負担が大きい
政令市状況 14 4市:名古屋、岡山、北九州、熊本 2市:さいたま、新潟
 ※いずれも必要に応じて

3
)新潟市福祉有償運送運営協議会 2018年2月6日「配付資料(資料3)」

○上限金額設定市の状況まとめ

【対価設定方法】
①名古屋市
      


 ・タクシー料金と協議会合意ラインの比較
       

②岡山市、北九州市、熊本市
      

【上限設定による各市対価誘導割合】
           
※協議会が設定する上限金額に変更があったが、変更前の上限金額を適用したままの事業所あり。それらも上限設定としてカウント。


4)新潟市福祉有償運送運営協議会 2018年2月6日「配付資料(資料4)」

○対価設定に係る積算資料案

  
  ●福祉有償運送経費(車両経費分) = (車両経費合計(
) × 按分割合()) ÷ 福祉有償走行距離()
                         =   
2,660,000円   ×    10.5%  ÷     4,330km
                         =
64円/km】()
  
  ●福祉有償運送経費(人件費分) = 福祉有償分人件費(
) ÷ 福祉有償走行距離()
                        =     
450,000円     ÷   4,330km
                        = 
104円/km】()
  
福祉有償運送経費       =  64円/km()  +  104円/km()  =  168円/km  ≧  設定対価


今後の取り組み等の討議:

(1)5月度~の「運転者認定講習会」の開催
 ◎ 5月21、22日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
5月31日、6月1日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:和歌山県橋本市)
 ◎
6月18、19日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
7月16、17日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
8月20、21日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
9月17、18日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)

■次回運営委員会:2018年6月2日(土)pm6:00~8:00
於:NPO法人 日常生活支援ネットワーク事務所