160回運営委員会
6月2日に「関西STS連絡会」第160回運営委員会が、事務局の「NPO日常生活支援ネットワーク」事務所にて6時から8時まで開催されました。
■出席された団体・グループ様は以下の通りです。……(参加:7団体)
NPO法人「日常生活支援ネットワーク」(大阪市) 伊良原淳也(関西STS連絡会)
NPO法人「寝屋川市民たすけあいの会」(寝屋川市) NPO法人「自立生活センターFREE」(吹田市)
NPO法人いばらき自立生活センター ぽぽんがぽん(茨木市) ・なにわ子ども育成会(大阪市)
・い~そらネットワーク(大阪市)


【議 案】

■ 資料関係:

①「国土交通省「高齢者の移動手段の確保に関する検討会」をめぐる大阪での福祉有償運送運営協議会の現状」(関西STS連絡会・事務局)

1.通達「運営協議会に関する国土交通省としての考え方について」(国自旅第332号/2018年3月30日)

 社会全体で高齢者の生活を支える体制の整備に向けて、国土交通省に「高齢者の移動手段の確保に関する検討会」を設置(2017.3~)。「検討会」中間とりまとめの公表(2017.6)を経て、「自家用有償運送の活用(市町村有償運送の活用の円滑化)」を軸にした上記通達(国自旅第332号/2018.3.30)が各地方運輸局宛に発出された。

運営協議会の設置及び運営に関するガイドライン―「6.運営協議会において定められた独自の基準に対する考え方」(国自旅第332号/2018年3月30日)
6.運営協議会において定められた独自の基準に対する考え方
 運営協議会において、関係法令・通達に定められていない独自の基準(以下「ローカルルール」という。)に対する考え方については、当該地域における移動制約者の状況、タクシー等の公共交通機関の整備状況等を踏まえ、自家用有償旅客運送について十分な検討が行われ、合理的な理由に基づいて合意され設けられたローカルルールについては、自家用有償旅客運送に過度な制限を加えるものでない限り、排除されるものではない。
 他方、一度定められたローカルルールについて、その前提となる状況が変化しているにもかかわらず長期間見直しを行っていないことや、個別の事例につき適用された取扱いを他の事例との違いを吟味せず地域で一律のローカルルールとして適用するといった取扱いは適当ではない
 このため、運営協議会ごとに主宰者である市町村が自家用有償旅客運送の運営実態等を踏まえながら適切性について改めて検証を行い、これらに基づいて定められていないと判断されたローカルルール(以下「不合理なローカルルール」という。)については、適時適切に見直しを行う
 毎年度、見直しの進捗状況について、①ローカルルールの内容、②ローカルルール設定の経緯、③判定結果、④判定理由、⑤今後の対応方針、⑥対応結果等をローカルルール検証結果報告書(様式第1号)により、毎年3月末現在における検証の推進状況を報告することとする。それら報告を集計した上で、不合理なローカルルールの見直しが遅れている市町村においては速やかに見直しを行うものとする。」

「高齢者の移動手段の確保に関する検討会」第5回検討会(2018年4月25日)
・加藤教授:
自家用有償旅客運送をテーマにしたセミナーを、国交省が主催して開催する必要がある。返納した人の数字が増えているかどうかだけでなく、その人たちのモビリティが返納後どのようになっているのか、「生活の質(QOL)」をきちんと調査してほしい。外出できないと体も心も健康を阻害され、医療や介護に響くということまで考えた調査が必要である。
・三星昭宏氏:
「バリアフリー新法では、マスタープランも策定されている。地方運輸局の旧パーソントリップ調査も、もっと高齢者の要素を増やすべき。福祉交通についての位置づけが必要である。大事なのは住民がどのようなニーズを持ち、どういう方針を持つか。登録不要の運送の通達はたいへん細かくて、ボランティアをやり易くするという趣旨に沿っていない。
 交通事業者の輸送と、福祉有償運送や住民による助け合いの送迎は、直接ではなく並行して実施する必要がある。


2.大阪府内の福祉有償運送の実施状況等について

大阪府内の移動制約者数
 ・2006.3.31773,019
 ・2015.3.311,089,75129%増!!
  (要支援・要介護認定、身体障がい者手帳、療養手帳、精神障がい者手帳、指定難病受給者証)

タクシー車両数(身体障害、寝台)
 ・2006.3.3119,315台( 788台)
 ・2015.3.3117,234台(1,327台)

福祉有償運送・事業者数
 ・2006.9.30158団体
 ・2017.3.31151団体

福祉有償運送・車両数(セダンを含む)
 ・2014.7. 1613
 ・2017.3.31562台(51台減!!

3.《資料》「北摂ブロック」「箕面市」の運営協議会「協議基準」の比較

大阪府北摂ブロック福祉有償運送運営協議会「協議基準」(2014年10月9日)
6 運転者等
(1) 運転者は、自動車事故対策機構等が実施する適性診断を受診し、運転に関し特に支障がないと認められる者であり、かつ、以下に掲げるいずれかの要件を備える者でなければならない。
・第2種運転免許を有しており、その効力が停止されていない者
・第1種運転免許を有しており、その効力が2年以内において停止されていない者であって、国土交通大臣が認定する講習を修了している者
(2) セダン車を使用する場合には、(1)に加え、運転者又は同乗者のいずれかが次に掲げる要件を備えた者でなければならない。
・介護福祉士の登録を受けていること。
・介護保険法におけるヘルパー研修又は障害者自立支援法に基づく障害ヘルパー研修の修了証明書の交付を受けていること。
・国土交通大臣が認定する「セダン等運転者講習」を修了していること。
・社団法人全国乗用自動車連合会等が行う「ケア輸送サービス従事者研修」を修了した者であること。
(3) 運転者の追加については、協議会において協議が必要であるが、緊急の場合、協議会委員への意見照会の持ち回りにより合意を得ることも可能とする。

大阪府箕面市福祉有償運送運営協議会「協議基準」(2016年11月8日)
2 運転者の要件
 運転者は、自動車の種類に応じて次の要件のいずれかを備える者であることを要する。
(1)福祉自動車(寝台車、車いす車、兼用車、回転シート車)の運転者は、道路交通法に規定する第2種免許を受けており、かつ、その効力が停止されていない者又は同法に規定する第1種免許を受けており、かつ、その効力が過去2年以内において停止されていない者であって、次に掲げる要件のいずれかを備えるものとする。
①国土交通大臣が認定する「福祉有償運送運転者講習」(※)を修了していること。
 (※)道路運送法施行規則第51条の16第4項の規定に基づき認定を受けた講習実施機関が実施する講習
② ①に準ずるものとして国土交通大臣が認める要件を備えていること。」

4.《資料》タクシー運転手の高齢化問題について(週刊ポスト2017年2月17日号、2月10日号、毎日新聞2017年2月11日)
実際に70歳以上の法人タクシー運転手は、東京に8,130人(東京タクシーセンター登録)、大阪には5,241人(大阪タクシーセンター登録)となっている(週刊ポスト)。
 大阪地区(大阪タクシーセンター登録)は、75歳以上が1,416人(80歳以上を含む。法人1,080人、個人336人)で、個人タクシー運転手の1割以上が75歳オーバーとなっている。
 タクシー運転手は、国の機関「自動車事故対策機構(NASVA)」で視聴覚機能や判断力などのテストとカウンセラーの指導を受ける。ただし、どちらも診断結果が悪くても免許が剥奪されることはない。運転能力が低下しているか否かを判断するのは運転手自身で、能力低下があっても、制度として“免許召し上げ”のルールはない(週刊ポスト)。
2015年のタクシー運転手の平均年齢は59.0歳と、2005年より4.1歳上昇した。全産業平均では10年で1.5歳しか上昇しておらず、タクシー業界の高齢化が際立つ。過去最低だった64年の33.4歳より、25歳以上、上昇している。
 個人タクシーはより高齢化が進んでおり、全国個人タクシー協会によると、個人タクシーの運転手は2015年3月末現在、「65歳以上」が52.6%を占め、平均年齢は63.6歳。法人タクシーの場合、65~74歳の運転手には3年ごと、75歳以上は年1回、運転シミュレーターなどによる適性診断が義務づけられている(毎日新聞)。

5.75歳以上の運転者「認知機能検査」:2,105,000
(警視庁まとめ:2017年3月12日施行~2018年3月末/朝日新聞2018.6.8
 「認知機能検査」2,105,000人→「認知症の恐れ」57,000人。
 →再検査指示:「認知機能低下の恐れがない」と判定された人を除く41,000人が、医師の診断。
 →認知症と診断(免許停止)1,892人。
 (この過程で、免許を自主返納16,000人。失効させた人4,500人。)


「《全国移動ネット》地域実情で登録不要も ―総会 新理事に下川原、永井両氏―」2018年7月2日 東京交通新聞)
 
「 全国移動サービスネットワーク(中根裕理事長、181会員)は6月23日、港区・友愛会館で第12回通常総会を開催、2018年度の重点に、①自家用有償運送の実態把握と国や自治体への提言、②訪問型サービスDの普及と地域実情に合わせた登録不要の運送「地域支え合い型移動サービス」の推進、③自家用有償と登録不要の活動推進のための地域ネットワークの支援、④運転研修を通じた担い手づくり――の四つを揚げた。
 国土交通省の金指和彦自動車局旅客課長が出席し、高齢者の移動手段確保の中間とりまとめを受けた対応と、今後の見通しについて講演した。
 中根理事長の司会で、金指課長、川崎民子、柿久保浩次の両副理事長が参加して、トークセッションも行われた。新理事に下川原清美・さっぽろ福祉支援ネットあいなび理事長、永井美保・地域サポートの会さわやか高知事務局員の2人が選任された。
 法制度の課題解決に向けた国土交通分野での働きかけとして、トヨタ・モビリティ基金と協働し、市町村や公共交通空白地有償運送の普及推進を図る。
 事業報告では、「福祉有償運送は2017年度末現在2,465団体で、5年前と比べ127団体(5.6%)の伸びにとどまり、多くの団体が運転者不足に悩んでいる」とし、昨年(2017年)夏の訪問型サービスDに関する意識調査によると29.4%の団体が「手いっぱいで担い手になれない」と答えている。」



今後の取り組み等の討議:

(1)5月度~の「運転者認定講習会」の開催
 ◎ 6月 7日/生野区社会福祉協議会「大阪ええまちプロジェクト」① (於:生野区社会福祉協議会)
 ◎
6月 9日/滋賀県蒲生郡日野町「出張講座」 (於:日野公民館)
 ◎
6月13日/生野区社会福祉協議会「大阪ええまちプロジェクト」② (於:生野区巽会館・老人憩の家)
 ◎
6月18、19日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
6月23日/NPO全国移動ネット「理事会・総会」(於:東京・友愛会館)
 ◎
6月29日/四万十町移動サービス「研修会」(於:四国・四万十町十和地域振興局ホール)
 ◎
7月16、17日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
7月21日/九州地区移動サービスネットワーク「交流会」(於:鹿児島県社会福祉センター)
 ◎
8月20、21日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
9月17、18日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)

■次回運営委員会:2018年7月7日(土)pm6:00~8:00
於:NPO法人 日常生活支援ネットワーク事務所