171回運営委員会
9月7日に「関西STS連絡会」第171回運営委員会が、事務局の「NPO日常生活支援ネットワーク」事務所にて6時から8時まで開催されました。
■出席された団体・グループ様は以下の通りです。……(参加:8団体)
NPO法人「日常生活支援ネットワーク」(大阪市) 伊良原淳也(関西STS連絡会)
NPO法人「自立生活センターやお」(八尾市) NPO法人「自立生活センターFREE」(吹田市)
NPO法人「寝屋川市民たすけあいの会」(寝屋川市) NPO法人いばらき自立生活センター」(茨木市)
なにわ子ども育成会(大阪市) い~そらネットワーク(大阪市)


【議 案】

■ 資料関係:

①「道路運送法改正に伴う自家用旅客有償運送制度改正に向けた要請書(案)」(
NPO法人全国移動ネット2019.9.24
 国土交通大臣 赤羽一嘉 殿                     2019年10月●●日
                                          特定非営利活動法人 全国移動サービスネットワーク
                                                                 理事長 中根 裕
~自家用有償運送における「合意の場」(運営協議会)の撤廃を求めます~

 要介護高齢者や身体障害者等は増え続ける一方です。介護保険受給者数は、道路運送法で自家用有償運送が整備された2006年度では429.5万人に対して、2017年度は604.1万人(対比140.6%)。身体障害者数は、2006年度348.3万人に対して2017年度436.0万人(対比125.2%)と増加の一途を辿っています。 また、高齢者の免許返納が推進されるとともに、さらに移動困難者が増えていくことが予想されます。地域における移動のニーズは、今後も高まり続けることは間違いありません。
 しかし、自家用有償旅客運送の登録数を2006年度からみると、2006年度末の登録数は3,073団体に対して、2017年度末の登録数は3,134団体(対比102.0%)となり、11年間で61団体しか増えていません。割合にすると、たった2 増です。ニーズの高さと比較してみると団体数が全く伸びていません。また、車両数(特にセダン車両)も増加しておらず、むしろ減少が顕著な地域が複数見られます。四国運輸局内は4県の合計で登録数わずかに7団体、大分運輸支局は登録団体ゼロといった地域偏在も激しく、制度設計に大きな問題があると言えます。
 道路運送法は自家用有償運送に対して、地域における公共交通機関の補完的な役割を求めていますが、移動困難者の視点で考えると、介助者の確保、住生活環境におけるバリアフリー化、生活困窮等の経済的要因など、公共交通機関が対応できない要因は多々あります。
公共交通機関における福祉分野での充実した対応や、交通空白地での飛躍的な整備が望めない現状を踏まえると、多様な移動のニーズに応えるため自家用有償運送の制度設計を見直すべきです。補完的な役割ではなく、市民が多様な選択肢の中で交通手段を選べるよう法的な位置づけを見直すべきです。

 このような観点に基づき、
2020年での道路運送法改正に向けて、福祉有償運送と交通空白地有償運送の合意の場である運営協議会の廃止を要望します
 自家用有償旅客運送は、「地域住民の生活に必要な旅客輸送を確保するため、一般旅客自動車運送事業者によることが困難であり、地域の関係者が必要であると合意した場合」に実施できると位置づけられており、福祉有償運送と公共交通空白地有償運送の合意の場が「運営協議会」となっています。しかし、
移動のニーズは多様であり、公共交通機関で解決できるものではありません。つまり、どのような地域においても「必要」です。また、今後10年先、20年先を見据えても存在価値は高まります。運営協議会の本質的な存在意義は崩壊したと言っても過言ではありません
 
運営協議会での法的合意事項は、「必要性」「対価」「運送の区域」の3つです。この中で「必要性」の論議に意味がないことは前述の通りです。残る「対価」「運送の区域」については事務的なことであり、運営協議会を開催しなくても確認できる事項です。このような観点から、運営協議会での論議は不要であり、廃止すべきです。
 なお、各自治体で開催されている運営協議会によっては、法的合意事項だけでなく地域福祉を鑑みた交通の議論を行っているところもあります。このような
論議は地域公共交通会議や介護保険法・総合事業の中で整備が進められている協議体等に移行することも検討すべきです。
 なお、冒頭にも述べたように、自家用有償運送団体は法整備されて以降、ほとんど増えていません。この要因として挙げられるのは「運営協議会」の存在です。自治体によっては、法の定める基準以上に規制を強化し
新規参入を妨げる「ローカルルール」を設けているところもあり、市民や移動困難者の視点に立った交通政策とは程遠い現実が存在します。
 また、今後は
運転者不足がますます深刻化します。これは自家用有償運送だけでなく交通機関・運送事業者含めた共通の懸念事項です。この中で、自家用有償運送団体の役割はさらに求められます。実施団体の整備を進めるために、団体が負担する事務作業の軽減化を図ることが重要です。更新期間の延長(3年から5年)、更新手続き書類の削減や簡素化も合わせて求めます。
以上
※介護保険受給者数は厚生労働省「介護給付費等実態調査の概況」より、身体障害者数は厚生労働省「身体障害児・者実態調査結果」及び内閣府「障害者白書」より、自家用有償運送団体数は国土交通省自動車交通局旅客課発表データより掲載。」


②「交通政策審議会交通体系分科会 第16回地域公共交通部会(2019.9.27)」(NPO法人全国移動ネット・河崎民子さんの報告より
=【資料】加藤博和委員(名古屋大学)提出資料より抜粋=
6.自家用有償運送

・「
運営協議会のあり方検討会」「高齢者の移動手段の確保に関する検討会」でまとまった方針が、現場で全く実感できない普及啓発イベントも皆無)。これら方針を再整理し、現場で徹底するだけで、ずいぶん改善するはず。
そのためにも、運営協議会の再編(過去のいきさつのゼロクリア)をすべき。そもそも運営協議会という言葉が意味不明。
福祉有償運送運営協議会は、活性化再生協議会との連携を念頭としつつ、タク・市町村福祉輸送・許可登録不要輸送も含めた福祉輸送全般を協議する「福祉交通会議」に再編してはどうか? 自分で動けない高齢者は福祉交通会議、動ける高齢者は活性化協議会という分担がよい。これらは地域包括ケア
との関係にも留意して進めることが重要。
 
7.協議組織
各種協議組織の乱立については、要綱・規約で合同会議と規定すれば一本化できる。国としては、“活性化再生法の協議会”と“道路運送法の地域公
共交通会議(公共交通空白地有償運送の運営協議会を含む)”の一本化を強く推奨してはどうか?

➢“実行機関(計画推進本部)”という色彩を強めるべき。「協議会」「会議」という言葉がよくない?
➢タク事業者による自家用有償の運行管理を協議会で認める仕組みにすべき(わざわざ国家戦略特区である必要はない〈協議会がむだに増えるだけ〉)


傍聴者:河崎民子さん(全国移動ネット)の感想。
 昨日、交通政策審議会交通体系分科会「第2回 地域公共交通部会」を傍聴しました。
 乱暴に言うなら、この会議は地方部における交通事業者(鉄道・バス・タクシー)が生き残るための制度や補助の仕組みを議論するために設置され、
道路運送法の改正はそのためであり、私たちの課題(地域の高齢者など移動困難者の実情)は蚊帳の外という感想を持ちました。杉本・福井県知事がプ
レゼン(10分)のなかで「住民主体の移動支援」について触れましたが、それに反応する委員は皆無。加藤名大教授提出の、たくさんの資料のなかで自
家用有償運送に関する考えを述べた部分を紹介します。
 全国移動ネットの「意見書」が委員の目に触れることを期待するのであれば、10月のなるべく早い時期の提出が必要になりますね。」


③「《国交省概算要求》タクシー・有償運送連携 配車/福祉・過疎地輪送充実へ」(東京交通新聞2019.9.2
「国土交通省は830日、2020年度予算の概算要求を財務省に提出した。バス・タクシー関係の新規・拡充施策として、過疎地でのデマンド型運送の立ち上げや、タクシーと自家用有償旅客運送の連携配車など「自動車旅客運送モデル構築事業」(6000万円の内数)を打ち出した。地域の既存の資源を活用し、多様なニーズに応える有償運送モデルを設計する。「日本版MaaS」(マース=モビリティ・アズ・ア・サービス、移動サービスの連携・統合)の実現に向け、10億円を計上。各地の実証実験や基盤づくりを引き続き支える。

MaaS構築に10億円
 自動車旅客運送モデル溝築事業に関し、国交省は「地域の関係者による協議会を主体として、ICT(情報通信技術)を活用した自家用有償旅客運送などによる輸送モデルを構築するため、各地域での自主的な旅客運送サービスの立ち上げを支援する」と説明。「構築されたモデルを含め、地域の優良事例を他地域にも横展開できるよう周知する」としている。過疎地の移動手段の確保と福祉輸送の充実を2本柱に据えた。
 過疎地でのデマンド型運送では、通院や買い物を目的とする地域の住民だけでなく、観光客も取り込んだ効率的なモデルを作り上げる。割り勘運賃の計算方法も検討対象に掲げた。
 福祉輸送として、有償運送とタクシーが連携した配車体制の整備に向けては、利用者の障害の程度によって振り分けられるようなイメ一ジを描く。
 バス事業の喫緊の課題は多様な人材の確保。具体的に、処遇改善、給与、運賃のあり方と女性運転者の雇用の確保・活用を挙げ、調査・検討に本格的に乗り出す。乗合バスを対象とした2月のアンケート調査で、「運転者不足を感じている」との回答は80・2%と高かった。
 MaaS関係予算の編成は2年目に入る。
 ①地域の実情に応じたMaaSモデルによる実証実験、②MaaSの普及に必要な基盤づくり、③オープンデータを活用した情報提供の実証実験――が骨格になっている。実験案件の形成から実施までを支援し、高付加価値なモデルの構築を目指す。
◇        ◇        ◇        ◇
 地域公共交通関連予算や安全・運行管理機器関係の補助金は、現行の水準を確保する。
 過疎地のバスやデマンドタクシーの運行などをサポートする「地域主導の交通サービスの確保・充実」予算・補助金は、264億4100万円を編成。ノンステップバス、車いす用リフト付きバス、BRT(バス高速輸送システム)、トヨタ「JAPANタクシー(JPN TAXI)」など福祉・ユニバーサルデザイン(UD)タクシーの車両導入補助を含む。福祉・UD車の補助率は従来同様、3分の1(リフト付き1台上限80万円、スロープ付き60万円)。
 先進安全自動車(ASV)関連装置や過労運転防止機器、ドライブレコーダーなど、バス・タクシー・トラック共通の装置・機器取得費補助の要求額は、例年と同水準の11億1000万円。ASV補助の対象装置に、峠など下り坂でのスピード超過を抑える「可変式速度超過防止装置」を追加する。補助率は、衝突被害軽減ブレーキやドライバー異常時対応システムなどと同じく2分の1。」



今後の取り組み等の討議:

(1)「《2019福祉有償運送学習会》~「道路運送法」改正(2006年)から13年~
                地域生活における“移動・外出手段”の確保における現状と課題を考える」


   ■日 時:2019年 12月14日(土)、13:30~17:00
   ■会 場:大阪府社会福祉会館 
503号室(80人部屋)
   ■資料代(カンパ):(
500円)
   ■主 催:
NPO法人 移動送迎支援活動情報センター
   ■後 援:
NPO法人 全国移動サービスネットワーク
          関西STS連絡会

   【別紙参照:
「案内チラシ」】


2)9月度~「運転者認定講習会」等の開催
 ◎ 9月6日/関西STS連絡会「ボランティア運転研修」(於:稲枝北学区まちづくり協議会(彦根市))
 ◎
9月7日(9:30 ~17:30)/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
9月8日(10:00 ~11:30)/関西STS連絡会「運転者認定セダン講習会」(於:大阪市)
 ◎
9月18、25日/高齢者大学「運転協力者現任研修」(於:大阪市)
 ◎
9月26、27日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:滋賀県米原市)
 ◎
9月28日/甲賀市社会福祉協議会「外出支援ボランティア養成講座」(於:滋賀県甲賀市)
 ◎
10月17、24日/大阪府福祉事業団「運転協力者現任研修」(於:豊中市原田、豊中市千里)
 ◎
10月19日(9:30 ~17:30)/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
10月20日(10:00 ~11:30)/関西STS連絡会「運転者認定セダン講習会」(於:大阪市)
 ◎
11月2日(9:30 ~17:30)/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
11月3日(10:00 ~11:30)/関西STS連絡会「運転者認定セダン講習会」(於:大阪市)
 ◎
11月27日/長谷工シニアホールディング「運転者認定講習会」(於:名古屋市)
 ◎
12月7日(9:30 ~17:30)/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
12月8日(10:00 ~11:30)/関西STS連絡会「運転者認定セダン講習会」(於:大阪市)
 ◎
1月18日(9:30 ~17:30)/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
1月19日(10:00 ~11:30)/関西STS連絡会「運転者認定セダン講習会」(於:大阪市)


■次回運営委員会:2019年10月5日(土)pm6:00~8:00
於:NPO法人 日常生活支援ネットワーク事務所