第70回運営委員会
10月4日に「関西STS連絡会」第70回運営委員会が、事務局の「NPO日常生活支援ネットワーク」事務所にて6時から8時半まで開催されました。
■出席された団体・グループ様は以下の通りです。……(参加:10団体)
_自立支援センターOSAKA(大阪市) ・NPO法人「アクティブ ネットワーク」(茨木市)
_NPO法人 障害者生活支援センター「ステップ21」(茨木市) _NPO法人「自立生活センターやお」(八尾市)
_NPO法人「自立生活センターFREE」(吹田市) _NPO法人「寝屋川市民たすけあいの会地域ケアセンター」(寝屋川市)
・NPO法人「いばらき自立支援センターぽぽんがぽん」(茨木市) _い〜そらネットワーク(大阪市)
/・大阪大学・交通システム学領域(猪井) _兵庫県立福祉のまちづくり工学研究所(柳原)


【議 案】

■ 資料関係:

@「《最前線》福祉移送サービス(下) 農協母体NPO「過疎地の足」担う」(読売新聞2008.10.1)
「通院や買い物など生活のための移動手段は、公共交通サービスの限られた過疎地ほど深刻になっている。埼玉県唯一の村、東秩父村では、JAが母体となった非営利組織(NPO)による移送と、村の補助金で成り立つバス路線をどう共存させるか模索が続いている。
■タクシーより格安
 埼玉県西部の山あいに位置する東秩父村では、平日朝8時半ごろから、村内外の病院や老人保健施設などへ向かう65歳以上のお年寄りを送迎する福祉車両が行き交う。運営しているのは、JA埼玉中央・東秩父支店2階に事務所を置くNPO法人ふれあいやまびこ会。設立から今年で9年目になる。主婦や定年退職した男性ら16人が、6台の福祉車両を使い、県の最低賃金並みの時給で運営を支えている。入会金1000円と年会費1000円を払った会員は、初乗りが1`までで280円、以後1`ごとに55円という、タクシーに比べて割安の料金で利用できる。JA組合員を中心に730人が登録し、1日平均20人が利用する。
 移送サービスは、交通手段がない地域の「過疎地有償運送」として認められているが、障害児・者を対象とする埼玉県独自の生活サポート事業を使った「福祉有償運送」が、収入の大きな柱となっている。同会ではこのほか、配食サービス、村の委託を受けたミニデイサービス事業なども実施している。村の住民は共働き世帯が多く、運転できないお年寄りが病院や買い物に行くためには、バス停まで坂道を何`も歩くか、隣町からタクシーを呼ぶしかない。このため、移送サービスの需要は、年々高まっているという。農協の組合長だった田中則夫代表理事(71)は、「最初は、老人クラブや年金を農協で受け取る年金友の会の会員に利用を呼びかけたりしていた。利用者から大変喜ばれており、この組織を作って本当によかった」と強調する。
■利用者確保に躍起
 やまびこ会の利用者が増えるのとは対照的に、村内のバス路線は利用者の確保に躍起となっている。現在二つのバス路線が運行しており、1路線は民間会社に年間約430万円の補助金を出し、別の路線は、県の補助金などに加え、村の一般会計から約1000万円を繰り入れて村営バスを走らせている。2007年10月に施行された「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」により、市町村は「地域交通のプロデューサー」としての役割を担うこととなり、村でも今年度から地域公共交通会議を設け、活性化策の検討を始めている。村内には「和紙の望」などの観光資源があることから、休日にバスを増便して観光客の誘致を図るアイデアや、基幹バス路線まで住民を送迎するサービスの導入案などもあるが、簡単に結論が出る話ではない。国土交通省も全国各地の事例を集めて公表を始めたが、村総務課で交通政策を担当する宮崎士朗主査は「成功事例を村に導入しようとしても事情が異なり苦慮している。利用者のことを第一に考えても、何かを変えるとどこかにしわ寄せが出てくる」と話し、夏に実施した村民アンケートの分析を急いでいる。
■税金投入の展望
 村地域公共交通会議の会長を務める埼玉県移送サービスネットワークの笹沼和利会長は「過疎地は乗客の金だけでは絶対成り立たず、交通に対してどのように税金を投入していくかという大きなビジョンが必要だ。例えば移送費を負担して通院の足を確保できれば入院が減り、結果として村の医療費が安くすむことだってある。外出支援は健康のもとという発想も大切だ」と強調する。近隣の自治体でも、高齢者の移送問題は大きな政策課題になっているといい、笹沼会長も「有償運送事業と路線バ事業の住み分けについて、住民を交えて関係者がきちんと話し合いをすることが必要だ」と話す。」

A「第4回自家用有償旅客運送フォローアップ検討会(10月6日、於:国土交通省)(報告:全国移動サービスネットワーク)
「2006年の道路運送法改正後、半年に一度開催されてきたフォローアップ検討会の4回目が開催されました。今回は、3月24日から9月25日まで7回開催されたフォローアップ検討会ワーキンググループ(以下WG)の中間とりまとめを、国土交通省が以下の事項に分けて説明し、その後意見交換を行いました。
1.上乗せ基準(オーバールール)
 国交省からは「運営協議会において十分な検討が行われ、合理的な理由に基づいて合意され設けられたローカルルールについては、過度な制限を加えるこものではない限り、排除されない。但し、長期間見直しされていない、個別の事例に基づくものを吟味せず他の事例にも適用しているもの、旧制度からそのまま適用されているものは現行制度に照らして見直す」といった方向性が示された(通達発出予定)。NPO側から、運営協議会の位置付けが中途半端なため市区町村の権限と責任が不明確となっている制度上の問題点を指摘し、協議を正常なものとするため不服申立制度と情報公開が必要なことを指摘した。これについて、国交省側からは「検討する」とだけで具体的な回答は無し。
2.現行制度内での見直し#5555ff
 見直しをせず現行のまま対応可能とされた項目も複数あったため、解釈の確認が行われた。WGで出された「運営協議会の構成員の見直し」、特に、本質的な協議を促進するためにNPOの事業者団体(全国移動ネットや地域のネットワーク)を構成員にすべきとの意見について、国交省からは「NPOの事業者団体が構成員となることは制度として否定されていない」との回答があった。また、運営協議会という特殊な場に不慣れなため十分説明できない申請団体の代わりにNPOの事業者団体(全国移動ネットや地域のネットワーク)が出席することについても、「代理は認められないかもしれないが補助者ならば認められる」との回答があった。
3.WGでの継続協議
1)運送の対価

 国交省は「タクシー運賃の概ね1/2とは、実費の範囲内であること、営利を目的としていると認められない妥当な範囲内であることの目安であり、“上限として設定されているものではない”」という解釈を示した。NPO側からは、7回のWGの中で、1/2の記述の削除を提案するとともに、別にWGを設け現場のヒアリング等時間をかけて丁寧に協議すべきことを主張してきたが、国交省からはヒアリングも含めて継続協議していくことは、検討事項として用意があるが、別のWG設置についての具体的な回答はなかった。
2)運転者の要件
 「2008年9月末までの猶予期間が終わったことがすでに規制強化となっている、運転者の確保も難しくなりつつある状況を踏まえ、“みなし講習”を認める等、安全・安心を確保しつつ運転者の増加を促進する取り組みが必要」との意見がNPO側から出された。これについて国交省からは「安全・安心のためには“みなし講習(新任者の認定講習受講の猶予)”を認めるのは難しい、ただし運転者講習の受講者がこれからは減るだろうから認定講習の実施団体が連携する等これまでとは異なる取り組みが講習団体に求められると考えている」との発言にとどまった。
3)複数乗車
 国交省からは、個別輸送が原則との考え方が示された。NPO側からは、「複数乗車の制度が現状とは乖離しているのでは、現行の解釈では複数乗車を申請する意味がない」、「どのような運送形態が複数乗車とみなされるのか」、「ワリ勘は複数乗車とみなされるのか」等の意見と指摘も出されたが、具体的な回答は示されなかった。
4.その他
1)アンダールール

 上乗せ基準とは反対に、通達より緩い“アンダールール”が運営協議会で出来た場合の取扱いについてタクシー側から質問がでた。国交省からは、「アンダールールについては制度・通達に沿わないということになるので、運営協議会の構成メンバーである運輸支局の担当者がアンダールールを指摘するだろう」との回答があった。」


■ 報告ならびに今後の課題討議:

(1)9〜11月度の「福祉有償運送(及びセダン等)運転者認定講習会」
 ◎ 9月 6、7日/和歌山県くるま情報センター/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(和歌山県岩出市)
 ◎ 9月13、14日/高知中央自動車学校/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(高知市)
 ◎ 9月15、16日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎ 9月21日/高知市労働事業協会/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(高知市)
 ◎ 9月27、28日/NPO法人フクシライフ等/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(泉佐野市)
 ◎10月 7日/和歌山県くるま情報センター/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(和歌山県岩出市)
 ◎10月13日/?????/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(高松市)
 ◎10月20、21日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎10月25、26日/NPO法人フクシライフ等/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(泉佐野市)
 ◎11月 4日/和歌山県くるま情報センター/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(和歌山県岩出市)
 ◎11月8、9日/高知中央自動車学校/全国移動ネット「運転者認定講習会」(高知市)
 ◎11月24、25日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎11月11日/和歌山県くるま情報センター/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(和歌山県岩出市)
 ◎11月16日/和歌山県くるま情報センター/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(和歌山県岩出市)
 ◎11月22、23日/NPO法人フクシライフ等/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(泉佐野市)


(2)「移動送迎 福祉有償運送セミナー」の開催
 ■11月15日(土)〜16日(日)、於:大阪府立介護情報・研修センター
 ■共催:全国移動サービスネットワーク/関西STS連絡会/移動送迎支援活動情報センター

 ■内容:
  セ特別講演「改正道路運送法・福祉有償運送の現状と課題」(講師:国土交通省自動車交通局 旅客課 奥田哲也課長)
  ・講演「関西における福祉有償運送の現状と運行管理の実際」
         (講師:国土交通省近畿運輸局 自動車交通部旅客第二課 立花博美専門官)
  ・講演「現行・福祉有償運送制度の問題点と改革への方向性」(講師:九州大学法学研究院 嶋田暁文准教授)
  ・報告「2年間2500人の講習を終えて〜これからの運転協力者研修の課題」(講師:関西STS連絡会 柿久保浩次)
  ・パネルディスカッション「運転協力者研修の今後のあり方と運行管理者の役割」
     関西STS連絡会・柿久保浩次/全国移動サービスネットワーク・山本憲司/移動ネットおかやま・横山和廣
     /東京ハンディキャブ連絡会・荻野陽一/いが移動送迎連絡会・川上善幸
  ・報告「各地の取り組み報告」:さが福祉移動サービスネットワーク/移動ネットあいち/関西STS連絡会
  ・講演「福祉有償運送の対価設定に関する利用者評価と考察」(講師:大阪大学大学院 猪井博登助教)
  ・講演「福祉有償運送利用者の全国実態調査の進捗状況」(講師:全国移動サービスネットワーク 鬼塚正徳理事)
  ・対談「利用者本位の福祉有償運送の可能性を探る」
        (大阪大学大学院 猪井博登助教/全国移動サービスネットワーク 杉本依子理事長)
  ・まとめ「福祉有償運送の現状況を止揚する」(講師:近畿大学理工学部 三星昭宏教授)


(3)「移動送迎支援活動/第4回研究会」の開催(1月24日(土)pm2:00〜、於:自立支援センターOSAKA)
  (1)報告事項  (2)議論研究  (3)取組企画



■次回運営委員会:12月6日(土)pm6:00〜8:00
於:NPO日常生活支援ネットワーク事務所