第81回運営委員会 ■12月5日に「関西STS連絡会」第81回運営委員会が、事務局の「NPO日常生活支援ネットワーク」事務所にて6時から8時半まで開催されました。 ■出席された団体・グループ様は以下の通りです。……(参加:10団体)
【議 案】 ■ 資料関係: @『《国交省設置》「交通基本法」で検討会/制定目指し 来年6月ごろ結論』(東京交通新聞2009.11.16) 「国土交通省は13日、「交通基本法検討会」を設置、初会合を開いた。人の移動の保障と公共交通の維持・再生に向け、バス・タクシーをはじめ陸・海・空の交通体系を包含した法制化に乗り出したもので、来年6月ごろ結論を出し、2011年の通常国会に法案提出の見通し。検討会は年内にもタクシー業界やNPOボランティア有償運送団体をヒアリングする予定。人口減少や地球温暖化などの諸対策も織り込んだ将来像を探っていく。 検討会は辻元清美副大臣と三日月大造政務官が主催し、総合政策、自動車交通、道路など各局課長級で構成。当面、月1〜2回のペースで関係者からヒアリングする。この日は学識者が招かれ、秋山哲男・首都大学東京大学院都市環境科学研究科教授、土居靖範・立命館大学経営学部教授、上岡直見・交通権学会副会長、板谷和也・運輸調査局調査研究センター副主任研究員が見解を述べた。 冒頭、前原誠司国交相があいさつし「法案はわれわれが野党時代に国会に出している。公共交通の経営は厳しく、CO2(二酸化炭素)排出の問題もあり、交通・移動の『基本権』をつくりたい」と意気込みをみせた。」 A『福祉運営協の問題検証/移動ネットがフォーラム』(東京交通新聞2009.11.30) 「NPO法人全国移動サービスネットワーク(中根裕理事長)と移動ネットあいち(渡部勝理事長)は24日、名古屋市内で「福祉有償運送運営協議会を検証するフォーラム」を開催した。パネルディスカッションを前に、嶋田暁文九州大学大学院准教授が「福祉有償運送をめぐる法的問題点と改革展望」と題し基調講演。@運営協議会での合意の議論が「必要性、区域、対価」の3要件に「ローカルルール」が上乗せされている、A合意がされなかった場合などの不服申し立てが困難となっている、B現状の制度運用での地方への権限移譲は責任の所在があいまいになる――などの問題点を指摘した。 パネルディスカッションでは、国土交通省自動車交通局旅客課の廣瀬正順新輸送サービス対策室長や自治体、学識者、タクシー業界の代表が参加。進行役を務めた全国移動サービスネットワークの中根理事長が「今日のテーマの運営協議会を検証するという意味では、ニーズと実際の需要、さらに供給の面から議論が必要ではないか」と指摘。移動ネットあいちの渡部理事長は「供給面で言えば私が運営する団体ではドライバーが1000人に上っている。毎週運転の講習を実施している」と体制整備を強調。加藤博和名古屋大学院准教授は「人が人らしく生きる意味での潜在的なニーズの議論はできていない。自治体にとって福祉有償運営協議会はやらされている、という感覚だ」と述べ、自治体で「福祉交通計画」策定など関係者間の議論が必要との認識を示した。 国の立場からは廣瀬新輸送サービス対策室長が「地域の輸送ニーズ、交通ネットワークの実情に応じて自治体、関係者の合意形成の場として運営協や地域公共交通会議がある」として理解を求めた。タク業界から出席した天野清美名タ協副会長は、ローカルルールについて「問題があれば事後チェックで、と言われるが、問題があってからでは遅いのではないか。入口で一定の要件チェックは必要。地方分権の中でタクシーやNPOがどういったかかわりを持つのか。助成金など自治体による基盤づくりが求められるのではないか」との認識を示した。」 B『《記者の目》「通知」「事務連絡」は無効』(日本経済新聞社・浅川澄一) 「「通知や事務連絡は何ら法的拘束力はありません」「運営協議会のローカルルールは地方自治法違反であり、行政手続きとして強制すれば行政手続き条例にも違反する」――。歯切れのいい言葉が、次から次に飛び出した。話すのは、九州大学准教授の嶋田曉文さん。所は、名古屋市。会場正面には「福祉有償運送を検証するフォーラムinあいち」と大書されている。11月24日、NPO法人全国移動サービスネットワークとNPO法人移動ネットあいちが共催した、移動サービスをテーマにした企画である。「善意のボランティア」あるいは「住民相互の助け合い活動」として移動サービスが、道路運送法の改訂で「福祉有償運送」と位置付けられて3年。全国で約2300の団体がこの枠組みの中で活動している。さらに2011年度には、登録権限が国から都道府県に移譲する。これを機会に、現行の運営協議会の在り方を基本から考えなおしては、という狙いで開かれた。 基調講演者として登壇したのが嶋田さん。行政学の専門家から見た福祉有償運送の在り方を述べたが、その内容は、実に驚愕すべきものだった。移動ネットあいちの渡部理事長は「愛知県下のタクシー業界の年商が800億円。NPO事業者の移動サービス収入はたかだか1億円」と述べた。タクシー事業者が率先して、社会的な移動困難者に対し自身の本来の顧客でもあるとして接し、それなりの仕組みを行政に提案し、円滑な移動を手助けする意欲があれば、事態は様変わりしていただろう。自身の姿勢を反省もせずに、業界として「見捨ててしまった」移動困難者をたまたまサポートし始めたNPO事業者を攻撃する構図はなんとも悲しく、哀れでもある。そうしたタクシー事業者に配慮する役所、国交省による福祉有償運送方式であろう。「セダン型車は全く認めない大阪市」「福祉運送者の表示パネルをペンキで書けと強制した滋賀県○○市」「違法運転で1点でも減点された運転手はだめという○○市」――。嶋田さんが挙げた事例である。いずれも運営協議会の決定だという。 これは移動サービスだけの問題ではないと思った。介護保険の運用でも同様の問題は山のようにある。「ヘルパーの散歩同行」「家族介護者がいるときの生活援助禁止」がその代表例だろう。厚労省の単なる「通知」「通達」に振り回されていないか。法的拘束力がないにもかかわらず「適正化」という市町村からの指導で、ケアプランを書き直されたケアマネジャーはあらためてその根拠を法手続きに照らして再検討すべきだろう。「デイサービス後の宿泊」は自治体のローカルルールで禁止されているのはどうか。法的根拠は何なのか。 嶋田さんの締めの言葉がよかった。「市民やNPOは、しっかり勉強して、論理的かつ説得的な理屈を身につけておく必要がある」。「行政=お上」と崇めたてまつっている間は、一歩も前進しないと叱咤する。いい言葉だった。」 ■ 報告ならびに今後の課題討議:
(1)大阪市福祉有償運送運営協議会・事務局への「要望書(案)」の検討
1)2009年5月14日付:@大阪運輸支局対応「協議は継続」、A大阪市運営協議会対応「協議が整わなかった」以降のチェック。 2)2009年5月21日付:国土交通省・通達第34号「運営協議会において定められた独自の基準に対する考え方について」への検討内容の開示。 3)2009年11月13日:NPO法人 日常生活支援ネットワークを排除した大阪市運営協議会「福祉有償運送 事業者アンケートに伴う意見交換会」開催への問題提起。) (2)「福祉有償運送及び過疎地有償運送に関する道路運送法改正への要請書」を提出(国土交通大臣・前原誠司宛、12月中に提出予定) 1)移動制約者の移動の保障に対する財政的な支援と自治体の責任の明記 2)登録要件である「運営協議会の合意」の撤廃と役割変更 3)制度運用における第三者機関の設置 4)対価基準の撤廃を含めたルールの見直しと簡素化 5)多様化の促進:福祉有償運送の利用者条件に生活環境要因を (3)全国移動ネット「交通基本法検討会ヒアリングに向けた意見交換会」(2009年11月28日、於:世田谷区総合福祉センター、伊良原代表が参加) 【意見と論点】 @理念法ゆえにどこまで言及できるのか A権限委譲について B交通基本計画と対象とする範囲 C従来の移動サービス提供に対する影響 D道路運送法等の扱い (4)12月度〜の「福祉有償運送(及びセダン等)運転者認定講習会」 ◎12月 7、 8日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市) ◎12月 7日/NPO全国移動ネット「過疎地有償運転者認定講習会」(大阪市) ◎ 1月11、12日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市) ◎ 2月 8、 9日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市) ◎ 3月 6、7日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市) (5)「福祉有償運送セミナーin高槻」開催の件 ■日時:2010年3月14日、於:高槻現代劇場 ■主催:NPO全国移動ネット/関西STS連絡会 ■講師:辻元清美氏(国土交通副大臣) ■パネルディスカッションなど |