第89回運営委員会
11月6日に「関西STS連絡会」第89回運営委員会が、事務局の「NPO日常生活支援ネットワーク」事務所にて6時から8時半まで開催されました。

■出席された団体・グループ様は以下の通りです。……(参加:9団体)
_自立支援センターOSAKA(大阪市) _NPO法人 障害者生活支援センター「ステップ21」(茨木市)
_NPO法人「自立生活センターやお」(八尾市) _NPO法人「寝屋川市民たすけあいの会」(寝屋川市)
_NPO法人「守口送迎」(守口市) _NPO法人いばらき自立支援センター ぽぽんがぽん(茨木市)
_NPO法人「サポートセンターわかくさ」(大阪市) _い〜そらネットワーク(大阪市)
/_大阪大学・交通システム学領域(大阪市)


【議 案】

■ 資料関係:

@『《視点》不備多い有償運送を「適材適所」で改善へ 名古屋大学准教授 加藤 博和』(東京交通新聞2010.10.11)
「有償運送運営協議会は、緑ナンバー事業者のみが有償運送を許されるという大原則の中で、NPO等が有償ボランティア活動の一環として人を輸送することを合法化するために生み出された。道路運送法79条の4にあるように「緑ナンバー事業者では困難」、しかし「地域として必要」な輸送について、協議会における関係者の合意を前提に認めることとしたのである。
 私が名古屋市の協議会会長を拝命して半年間で、協議会や運送のあり方について4回の会議で様々な議論を行ったが、最も争点となったのは運送の対価の設定であった。国は「実費の範囲内」「合理的で旅客にとって明確」「営利目的でない」という基準を示した上で、「タクシー上限運賃のおおむね2分の1という「目安」を示し、さらにこれは「上限」ではないという解釈まで示している。
 私は次のように理解している。国は地方分権の観点から、対価についても協議会で決めてもらいたいが、協議会がいきなりその妥当性を判断するのは無理かもしれない。そこで、利潤が発生しえない水準であろう「おおむね2分の1」を「目安」という注釈をつけて示した。しかし、中央集権が抜けきらない運輸業界ではそれがやはり金科玉条となり、それゆえに「おおむね」の範囲がどこまでかでもめるケースも出てきた。これは極めてナンセンスであって、あくまで対価は先の3つの基準にのっとって決めるべきである。
 そこで名古屋市では、2分の1以下の申請は無条件で認め、それを越える場合には実費の範囲内であることを示す理由書を提出し吟味するルールとした。運営団体にとって運送はごく一部の事業なので、その経費のみを切り出して示すことは大変である。しかし「おおむね2分の1」では実費がまかなえないと主張したいのであれば、理由書を出して納得してもううほかない。
 今回、それにチャレンジした団体が1つあった。1度目の理由書は根拠不十分であったため、より詳細な理由書を出していただき、経費算定の妥当性については委員各位のご理解が得られた。しかし、大幅値上げは利用者にとって容認しがたいという意見もあったため、妥協案として、将来の再値上げも視野に入れつつ、今回は実の半分程度の値上げとしてはどうかと提案した。これを申請団体に受け入れていただき、協議会委員各位の合意も得るに至った。時間はかかったが、法秩序を守りつつ利用者など各関係者に大きな不利益を与えることのない結論が得られたと自負している。
 そもそも、福祉有償運送は「緑ナンバー事業者では困難」な運送であって、タクシーとの競合はあり得ない(あるとしたら認めてはいけない!)。一方、公的補助がなければ経費に見合った対価を利用者から徴収する必要があるが、「おおむね2分の1」に縛られるとそれができない可能性がある。加えて、登録に至るまでの諸手続の面倒さもあって、福祉有償運送の数は減りつつあるその分は安心安全が保障されない「謝礼」運送に取って代わるか、運送自体がなくなって利用者が困るかのいずれかであると考えられるが、それでよいのだろうか?
 運送の対価の設定のみならず、現行の制度は不備が多い。移動権保障を掲げる交通基本法への流れを踏まえ、地域として必要な福祉輸送を「適材適所」で供給する方法を利用者・現場目線で「走りながら」考え、制度の改善につなげていくことこそ、今後、協議会が果たすペき役割であると私は考えている。(投稿)」

A『《要望書》大阪市福祉有償運送運営協議会 宛/NPO法人 日常生活支援ネットワーク・関西STS連絡会』(2010.10.18)
「…略… 昨年(2009年)4月30日に貴 大阪市福祉有償運送運営協議会に提起した「NPO法人 日常生活支援ネットワーク」による問題提起も、大阪市のいちNPO法人が単独で行ったものではなく、関西STS連絡会での討議を経たものとしてあり、国土交通省、近畿陸運局も参加された本年(2010年3月)の全国セミナー(於:高槻市)の場でも、「全国各地のローカル・ルール資料集」や「運営協議会における協議に当たっての留意点(2009.5.21国交省通達)」等とともに、大阪市福祉有償運送運営協議会の現状報告として開示させていただいたところです。
 …略… そして2010年4月12日の大阪市福祉有償運送運営協議会の場では、
@事務局の方から、国土交通省通達34号(2009.5.21付)「ローカル・ルール」について「過度な制限を加えることとなっているものは適当ではない」「その合理性について検証を行い、必要な見直しを行うことも必要である」とされている旨が報告され、2009年秋のSTサービス提供者へのアンケート結果も再配布されたところです。
 また、ANPO側委員から「国から出されている運転免許証が、この協議会でなぜ問題にされるのか」「運行上で安全運転を喚起し、健康状態の判断を促すのではなく、組織的に「○○をしなければならない」という規則作りばかりでは疑問を感じる」「もう止めたいと思っている団体も多いと思うが、「利用されている方々がお困りになるのでは」という想いで続けている」という悲痛な発言もなされました。
 大阪市福祉有償運送運営協議会の運営が「福祉有償運送の普及促進が緊急性の高い政策課題」(2006年、国土交通省)とされて久しい今日、大阪府が、2006年「道路運送法改正(登録制)」当初に示した資料「移動制約者総数の現状」と、圧倒的に不足している「福祉交通施策の現状」とに立ち返り、その現状から目を離すことなく地域の移動制約者の移動生活の現状や、STサービス提供の現場の実情に真摯に向き合い、今、全国各地でおこなわれている行政責任による移動の確保へのさまざまな施策、公共交通機関のユニバーサルな交通確保への努力の数々、またNPO等による福祉有償運送の足元での普及促進への実践に、目を向けていただきたいのです。
 地域生活におけるこうした移動制約者の「移動」の確保には、行政を先頭に、公共交通機関、福祉交通事業者、非営利法人、有識者、市民活動などによる協働の成否が問われていることはいうまでもありません。
《要請事項》
1.2010年度の大阪市福祉有償運送運営協議会の立ち上げにあたって、大阪市の「協議の基準」についてどういう討議がなされたのかを、協議内容を含めて開示していただきたい。
2.協議継続中のまま、この1年半の間、放置されたままの状態になっている「NPO法人 日常生活支援ネットワーク」の個別事案について、現状の福祉有償運送運営協議会が第三者機関による「救済・不服申立制度」を設けていないという欠陥に鑑みて、早急に同運営協議会において再協議の場を設定することを強く要請いたします。」


■ 報告ならびに今後の課題討議:

(1)2010年度 各・運営協議会の動向の点検
 ・大阪市運営協議会:(12月中旬予定)     ・北摂ブロック運営協議会:(11月30日)
 ・河北ブロック運営協議会:(12月15日)     ・中部ブロック運営協議会:(2月上旬)
 ・泉州ブロック運営協議会:( 2月予定)     ・枚方運営協議会:(?)
 ※北摂運営協:“迎車回送料金不可”見直しに向けた協議が山場に!!
 ※運営協議会の公開化と議事録の作成・開示を!!

(2)野放し状態のローカル・ルール!!
◎ 篠山市「福祉運営協議会」:
旅客の範囲:市役所本庁舎およびJR篠山口駅から概ね半径5kmを越える地域に居住する者とする。
◎ 奈良市「市町村有償運送」:
代車による有償運送は不可」(奈良交通←運輸支局)

(3)12月度〜の「運転者認定講習会」「運行管理者及びインストラクター研修」の開催
 ◎12月13、14日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎1月31、2月1日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎1月21日/関西STS連絡会「運行管理者&インストラクター研修」(大阪市)

(4)セミナー及び報告会の開催
 ◎2011年2月 5日(土)/「茨木セミナー」(於:茨木社会福祉協議会)
 ◎2011年3月12日(土)/「アンケート調査報告会」


■次回運営委員会:12月4日(土)pm6:00〜8:00
於:NPO日常生活支援ネットワーク事務所