《2008年度・報道資料ファイル》 『「移動サービス」希望多く/国交省、過疎地で生活調査 研究会を設置して検討/モデル創出へ来春提言』(東京交通新聞2008.12.22)
「1人暮らしの女性の8割超は車を運転しない」「いざという時に必要なのは緊急通報サービス、通院送迎」――。国土交通省がこのほどまとめた「過疎集落住民の日常生活」結果で、移動サービスを望む声が多く寄せられ、人口減少・高齢化の進行が日々の生活に影響を及ぼしている姿が浮き彫りにされた。同省によるこうした意向調査は初めて。
国交省は並行して、国土計画局を中心に有識者や企業、ボランティアからなる「過疎集落研究会」(座長=小田切徳美・明治大学農学部教授)を設置。来春の中間まとめを経て、集落機能・生活関連サービスの維持や中山間地域の資源活用、ビジネスモデル創出に向けた政策提言を行う。 調査は65歳以上の高齢者人口が半数いる集落を含む地区を対象とし、岩手県岩泉町や岡山県高梁市など20ヵ所を選定、8月から9月にかけて世帯主2642人に実施した。回答率70%。 自動車・公共交通・移動に関する項自は、▽運転する人が同居する世帯は7割、1人暮らし男性は6割が自ら運転する一方、女性は2割に満たない、▽外出手段は車・バイクが多数を占め、最寄りの病院への行き来は公共交通の利用も2割、▽病気などで不自由になったとき最も必要なサービスは定期的な安否確認23%、緊急通報サービス20%、通院などの送迎20%――などの傾向が出た。 高齢者単独世帯は25%、夫婦世帯は29%。収入の第一は公的年金。生活上困っている問題として通院が最多の21%、次いで救急医療、買い物、雇用機会。9割近くが現在地での暮らしを望んでいる。 『有償運送NPO、議員連視野に/民主と初の意見交換』(東京交通新聞2008.12.8)
超党派の議員連盟の設立も視野に、全国のNPOボランティア有償運送団体は3日、参院議員会館で民主党と初めて意見交換会を開催した。
参加団体が意見提示した中、全国移動ネットは市民活動を推進する移動支援サービス単独法、移動の権利を保障する交通基本法やSTS法など新たな法制度づくり、ユニバーサルタクシーの開発などを提起した。年明けにも2回目の会合を開催する。NPO団体側の要望内容を詰める一方、他党への呼びかけも探る。 民主党側は大河原雅子企業団体対策委員長代理を世話役に、前田武志同委員長、小川勝也、高橋千秋、大島九州男、金田誠一、小宮山泰子の衆参両院議員らが出席。NPO側は竹田保日本移送・移動サービス地域ネット連合会(J-NET!)理事長を呼びかけ人に、杉本依子全国移動ネット理事長、長谷川清移動支援フォーラム理事長、越谷秀明青森県移送サービスネットワーク代表、伊藤寿朗移動サービスネットワークみやぎ理事、笹沼和利埼玉県移送サービスネットワーク会長、水谷克博愛知県ハンディキャブ連絡会副代表(日本NPO救急搬送連合会理事長)、伊東弘泰日本アビリティーズ協会会長らが出席した。 要望では「公共交通が十分機能することがSTS移動支援の前提」「公共交通機関に税金を投入してほしい」など公共交通再生の指摘もあった。 竹田理事長は「市民活動の担い手をどう支援するか、また利用者にとってどうなのか。団体内でも議論が必要だ。意見集約し来年2月ごろ2回目を開催できれば」としている。 東京で移動支援フォーラム 「だれでも自由に移動できる社会へ」をテーマに先月29日、移動支援フォーラム2008が東京・文京区で開催された。全国移動ネット、移動支援フォーラム、東京都自閉症協会などが共催。今福義明氏(DPI日本会議)らが「文京区まちあるきバリアトーク」を行い、バリアフリーのための条例制定などを提起した。 前田邦博文京区議らが交通バリアフリー基本構想と自治体の取り組みを報告。「曲がり角の福祉有償運送と運転ボランティア」についてパネル討論が行われ、秋山哲男首都大学東京教授がコメントした。パネリストは柿久保浩次(関西STS連絡会)、杉本依子(全国移動ネット)、藤井亘(生活サポートセンターこっとん)、竹田保(ホップ障害者地域生活支援センター)、小林幸治(市民がつくる政策調査会)の各氏。 『《大阪》運営協のあり方軸に/福祉有償運送でセミナー』(東京交通新聞2008.11.24) 関西STS連絡会、全国移動サービスネットワーク、移動送迎支援活動情報センターは15、16の両日、茨木市の大阪府立介護情報・研修センターで「福祉有償運送セミナー」を開催した。国土交通省の奥田哲也・自動車交通局旅客課長が「福祉有償運送の現状と課題」をテーマに講演したほか、「登録制」移行後の「運営協議会」のあり方、運行管理・運転者研修の現状などでディスカッションした。セミナーでは「移動送迎」に対するタクシー事業者との認識ギャップが改めて浮き彫りになった。全国各地のNPO団体などから約100人が出席した。 初日の15日は奥田課長のほか、近畿運輸局の立花博美自動車交通部旅客二課専門官が「関西における有償運送運行管理の実際」、関西STS連絡会の柿久保浩次事務局長が「運転協力者研修の課題」と題し講演。「運転協力者研修と運行管理者の役割」をテーマにパネルディスカッションを行った。 奥田課長は有償運送事業に対する国交省の考え方、2年前の道路運送法改正による有償運送事業の「登録制」移行など経緯を概括した上で「少子高齢社会が進展する中で様々な移動ニーズに応えていかなければならない」とし、安全と利用者保護を基軸に移動制約者のSTS(スペシャル・トランスポート・サービス)を普及していく姿勢を改めて表明した。 「登録制」の下での「運営協議会」のあり方に言及した中では「利害調整の場ではなく、地域の輸送をどう担うのかというのが運営協の趣旨。タクシーとの役割分担をどうするのか、合理的な形を考えていきたい」と述べた。 国交省有償運送フォローアップ検討会ワーキンググループ(WG)の中間まとめに触れた中では、「運送区域や旅客の範囲など“上乗せ基準”(ローカルルール)は運営協の場での自主的な協議によるものであればOKと思うが、NPO等に過度な制限を加えるものでは困る。個別事例を一律にしてはいけない」と見解を示した。 このあと「運営協」の権限などをめぐり質疑応答が行われた。 □ □ □ □ □
2日目の16日は九州大学法学研究院の嶋田暁文准教授が「有償運送制度の問題点と改革への方向」、大阪大学大学院の猪井博登助教授が「有償運送の対価設定と利用者評価」、全国移動サービスネットワークの鬼塚正徳理事が「有償運送利用者の全国実態調査」と題し、それぞれ講演。最後に近畿大学理工学部の三星昭宏教授が、有償運送の現状を踏まえ、今後の展望を語った。福祉有償1980社2785台 近畿運輸局がまとめた福祉輸送サービス事業者数は今年3月末現在で1980社2785台となっている。内訳は一般許可が132社329台、限定許可が1341社1893台、特定許可が507社737台。このうち特定、限定事業者は軽福祉車両の導入が多く、一般も含め1709台で全体の61・4%を占めている。
『調査モデル地域選定急ぐ/国交省・福祉輸送あり方委』(東京交通新聞2008.11.3)
国土交通省はタクシー・自家用車の福祉輸送調査モデル地域の選定を急いでいる。先の「福祉輸送あり方調査委員会」(委員長=秋山哲男・首都大学東京大学院教授)の初会合で、移動サービスの需要・供給量の推計と有償運送運営協議会の実態把握をモデル地域で展開する方針を決めたが、地域選びをめぐっては、全国乗用自動車連合会(全国ハイヤー・タクシー連合会)が独自の候補地案を提起するなど持ち越しとなっている。 モデルは都市部、地方部・過疎各1ヵ所を予定。来年3月に結論を出す作業工程となっている。国交省は東京都町田市など、全タク連は札幌市などを希望。同省は協議体の連携の良さやデータ取得の容易さを重視している。 【国交省案】東京都町田市・日野市・八王子市・多摩市・世田谷区・檜原村、神奈川県大和市・横浜市、千葉県酒々井町、埼玉県ときがわ町、栃木県芳賀町、長野県上田市・飯田市・富士見町・須坂市、青森県佐井村、兵庫県淡路市 【全タク連案】札幌市、東京都区部・町日市・日野市、仙台市、名古屋市、長野県上田市、大阪府枚方市、岐阜県多治見市、三重県尾鷲地区2市町・紀南地区3市町 福祉輸送あり方調査委のメンバーは次の各氏(行政側除く)。 委員長=秋山哲男(首都大学東京大学院都市環境科学研究科観光科学専修教授)▽委員=島津淳(桜美林大学健康福祉学群社会福祉専修コース教授)、佐藤雅一(全国福祉輸送サービス協会副会長、日立自動車交通第二社長)、岡本八重子(全タク連理事)、杉本依子(全国移動サービスネットワーク理事長)、笹沼和利(日本移送・移動サービス地域ネット連合会理事)、山崎育子(神奈川県保健福祉部地域保健福祉課長代理)、角来富美枝(市川市福祉部地域福祉支援課長)、岡田誠(大田区交通事業本部交通事業課長)、山下晴樹(全自交東京地連書記次長) 『《地域交通》生活者の足 どう確保/山形 支援の充実へシンポ「過疎地有償運送、広げよう」「利用者自身が声出すべき」』(山形新聞2008.10.29)
地域交通シンポジウムが26日、山形市の市民活動支援センターで開かれ、高齢者や障害者らを支援する移動サービスについての事例発表や、パネルディスカッションが行われ、高齢化や過疎地に対応した取り組みとして、移動支援の充実を求める意見が出された。
2006年10月の道路運送法改正に伴い、民間団体が自家用車を使い、要介護者らを病院などに有料で送迎する移動サービスが制度化された。シンポジウムは、移動サービスを行っている県内の団体で組織する「やまがた福祉移動サービスネットワーク」(川越代表)が、より良いサービスの在り方探ろうとNPO法人 全国移動サービスネットワーク(杉本理事長)との共催で開き、約40人が参加した。 パネルディスカッションでは、杉本理事長、やまがた福祉移動サービスネットワークの斎藤副代表、要介護者や障害者らを対象とした「福祉有償運送」の利用者らがパネリストとなり、「生活者の足をいかに確保するか」をテーマに意見を交わした。「山間地域での過疎地有償運送も広げる必要がある」「生活をより良くするため、利用者自身が声を出すべきだ」などの指摘のほか、登録基準など移動サービスの規制緩和を求める声が出た。 また、佐賀県の地域交通支援モデル事業が紹介され、自治会が住民からの予約に応じて貸し切りバスを運行している例などが報告された。今後の課題として、利用しやすい運行ダイヤの設定、行政からの財政支援の必要性が指摘された。 『全国移動ネット、東京で初の「研修サミット」』(東京交通新聞2008.10.27)
全国移動ネット(杉本依子理事長)は18、19の両日、東京・日本財団ビルで同財団の支援により、初の「全国研修サミット」を開催した。 有償旅客運送サービスの運転者に対する国土交通省認定講習制度が導入されて2年が経過し、9月末で講習受講の猶予期間が切れたのを機に、移動サービス団体の運行管理責任者や認定講習の講師が一堂に会し、実践的な講習のあり方や問題点を討論した。 接遇・介助、車両、リスクマネジメントの3分科会に加え、当日の意見で急きょ、過疎地分科会を設置し討論。伊藤みどり事務局長の基調報告によると、9月8日現在の認定講習機関は144あり、428回の講習実施で1万850人が受講した。伊藤事務局長は「すそ野を広げたい思いがある一方、安全意識と知識を講習で担保すべきとの相反する意見が混在していた」としている。 萩野陽一東京ハンディキャブ連絡会事務局長の司会でパネル討論。パネリストに竹田保氏(Jネット)、越谷秀昭氏(同)、山本憲司氏(全国移動ネット)、杉本理事長、伊良原淳也氏(関西STS連絡会)、柿久保浩次氏(同)、江口陽介氏(さが福祉移動ネット)らが参加した。 『来月15、16日に福祉有償セミナー/国交省旅客課長が講演』(東京交通新聞2008.10.20)
NPO全国移動サービスネットワーク、関西STS連絡会は来月15、16の両日、茨木市の大阪府立介護情報・研修センターで「福祉有償運送セミナー」を開催する。道路運送法の改正により有償運送が「登録制」に移行し丸2年が経過、輸送現場や利用者の実態、運行管理、運転者講習の現状などを勉強する。 初日の15日は国土交通省の奥田哲也自動車交通局旅客課長が「改正道運法と福祉有償運送の現状と課題」をテーマに特別講演する予定。同省は現在、「有償運送フォローアップ検討会」の場で福祉輸送サービスの拡大に向け制度見直しなどの議論を進めており、今後の「運営協議会」の役割などの論点を説明するものとみられる。 『=国土交通省・検討会=有償運送制度見直し“上乗せ基準”適否チェック』(東京交通新聞2008.10.13)
――タクシー・自家用車の福祉輸送サービスの拡大に向け、移動ニーズ調査と有償運送制度の見直しが本格開始される。国土交通省は6日の「有償運送フォローアップ検討会」で、中心的存在となる自治体主宰の運営協議会の現状や登録要件の運用面について課題と方向を整理。特に、国の仕組み以外に運営協が独自に定める“上乗せ基準”(ローカルルール)が着目され、通達・ガイドラインを制定し適否をチェックする方針が示された。これを受け「福祉輸送のあり方調査委員会」が21日に発足、タクシーを含む先進エリアのモデル抽出やニーズの数量把握に乗り出す。バリアフリー車両の技術開発と並行して政策目標に向かう。――
国交省の福祉輸送あり方調査委の設置は2008年度新規予算事業。各地で有償運送運営協の未開催・運営手法に懸念が出ていることが発端。道路運送法・有償運送登録制やバリアフリー新法の精神を踏まえ、福祉タクシーの活用方策を再検討するとともに、タクシー・NPOボランティア間の協働態勢など好事例となる運営協を選定し、指針の作成や情報発信するのが基本テーマ。 委員長には首都大学東京の秋山哲男教授が就任予定。学識者はほかに桜美林大学の島津淳教授。タクシー業界労使、NPO、自治体は全国福祉輸送サービス協会の佐藤雅一副会長、全国移動サービスネットワークの杉本依子理事長、千葉県市川市の冨島淳一福祉部地域福祉支援課主幹らフォローアップ検討会メンバーから多く選抜された。同検討会の課題整理の具体化も担い、年度内に結論が出される。 6日は諸問題を総点検していたワーキンググループ(WG)の中間まとめ=表参照=が提示され了承。上乗せ基準の取り扱いが焦点となったほか、運送区域、旅客の範囲、対価(料金)などの要件に対し現制度の趣旨・仕組みの周知、理解度が共通課題に浮かんだ。 上乗せ基準をめぐっては、NPO側は国のルールに地域差が生じていることに抵抗感が強く、運用強化でサービスの退出につながっていると主張。タクシーにとっては安全確保を主眼に、地方で競合関係にある実態を重視、できるだけハードルを高めたいスタンス。上乗せ基準判断ガイドラインによって各地で項目ごと適否が判断されることになる。 WG中間まとめで「範囲を狭め、排除する方向は良くない」 「現場では上乗せすべき背景がある」「地域のみんなで決めたことならいい」など見方が分かれた。移動制約者の数や福祉タクシーの供給量といった状況変化などをとらえて合理性を適時検証すべきとの考え方が提起された。 運送区域に関しては、福祉・介護限定タクシーと同じ都道府県単位は困難とされた。一方、全県運営協や自治体同士の連携により現行でも広域化が可能な運用を周知させ、提出書類の合理化・簡素化を講じる。内部・知的・精神障害など外形的に判別しにくい旅客の範囲・判定では、好事例を集め情報提供する。妊産婦や幼児の送迎は有償運送の対象外と位置づけた。
『《発信箱》ミヨさんの足/磯崎 由美(生活報道センター)』(毎日新聞2008.9.10) 新潟県上越市の上川谷地区は冬になれば3bを超す雪に閉ざされる限界集落だ。1人暮らしのミヨさん(76)は自分が食べる分の野菜を作りに、毎日畑へ出る。
要介護ではないが手足がしびれ、腰も痛い。通院の足はNPO法人の移動サービスだった。車で40分、タクシーなら1万円を超えるところを安く送迎してもらえた。なのに2年前、中止に追い込まれた。 背景はこうだ。生活のために移動サービスを利用したい高齢者は増えた。一方で地方のバス会社は規制緩和で競争が激化し、赤事路線が廃止される。NPOなどは細々とサービスを続けてきたが、運賃を取ると違法になってしまう。そこで合法化したのが2006年の道路運送法改正だった。 ところがやはり規制緩和で経営難に陥ったタクシー業界が強く反発した。国はNPOの事業からミヨさんのように要介護でない人を外すなど、条件を付けた。そのため収益が悪化したNPOが撤退に追い込まれているのだ。 ミヨさんは今、1日4便の地域バスが頼りだが、それも通学に利用する子がいなくなれば、どうなるか分からない。全国移動サービスネットワークの杉本依子理事長は「外出が減れば寝たきりになるリスクは増す。病院に行けず、1日3回の薬を1回に減らす人もいる」と嘆く。 国は高齢になっても自宅で暮らせる社会づくりを進める。ならばまず、地域の足を確保すべきではないか。人が移動することは元気に生きることと直結している。 ミヨさんは息子の家に来いと言われても断っている。「東京には、むしる草もねえ」 『NPO&タクシー情報一元化/かながわ福祉移動ネットがHP』(東京交通新聞2008.9.1) 神奈川県内で福祉輸送サービスを行うNPO、タクシーの情報を一元化して提供するホームページがこのほど開設された。NPO法人かながわ福祉移動サービスネットワークと県の協働事業によるもの。電話相談口と併せ7月17日スタートして1ヵ月余たった。
NPO118団体、タクシー89事業者(一般・限定)の計207団体・事業者を市町村別に掲載。さらに個々の詳しいサービス内容(利用できる人、福祉車両の種類や台数、車いすなど介護用具の装備、活動時間や利用方法)も確認できる。一般タクシー関係は県が神タ協に情報提供を依頼、各事業者が自主対応した。 電話相談窓口は移動制約者の外出に関する問い合わせに対応、移動サービス実施団体などの紹介業務を過2回行なう。開設後1ヵ月に10数件あり、利用に関する内容のほか、地域でボランティアによる輸送サービスを立ち上げたいとの相談もあった。 移動サービスネットは「5年計画の協働事業の2年目。現場レベルで利用者利便を図るため、NPOとタクシーが地域で何ができるか今後、勉強会も開きたい」(石山典代事務局長)と話している。 ホームページアドレス/http://www.npo-taxi.net/ 相談窓口(毎週月曜日・木曜日午前10時〜午後5時。祝日も業務) 連絡先=045・973・6341 『交通弱者の「福祉有償運送」経営は厳しく』(読売新聞2008.8.20)
《ガソリン価格高騰で走るほど赤字》
一人で公共交通機関を利用するのが困難な高齢者や障害者の移動を助ける「福祉有償運送」が2006年10月にスタートして、まもなく2年。利用者には欠かせない存在だが、運営団体の経営は厳しく、昨今のガソリン価格の高騰が追い打ちをかけている。 栃木県日光市の児玉ミツさん(66)は、自宅から約2キロ離れた病院へ週2回、福祉車両で人工透析に通う。その際、同市内で訪問介護サービスなどを行うNPO法人ウエーブの移動サービスを利用する。料金は1km90円。ほかに自宅などに迎えに行く料金が1km30円で、一日(往復)480円、週960円を支払う。以前はタクシー会社のリフト付きタクシーを利用していたが、送迎代金を含め、週4000円以上かかったという。児玉さんの夫(77)は「年金生活で家計は苦しく、車イスなので、乗り合いバスでは無理。このサービスは命綱です」と話す。 だが、ウエーブの運営は厳しいという。67人が利用登録し、2007年度の運送回数は2804回と前年度の2倍だが、ガソリン代の高騰が運営を圧迫している。石油情報センター(東京)によると、栃木県内では7月のレギュラーガソリン平均店頭価格が1g180円と1年前より43円あがっている。ウエーブが法人で所有する福祉車両3台の7月のガソリン使用量は約274gで4万7906円。2007年7月は282gで3万6815円。ガソリンの使用量は減ったが、ガソリン代は、1万1091円も増えた。 ウエーブの福祉有償運送事業は、2008年4〜6月期は収入が97万1760円に対し、支出は97万5161円と赤字だ。役員が事務を無報酬で担当するなどして支えてきたが、ガソリン代の上昇で限界に達している。事務長の芳賀勝夫さんは「値上げをするには運営協議会の許可が必要だが、利用者には所得の低い人も多く、コスト上昇を料金に転嫁できず、運営自体に影響がでかねない」という。 東京都多摩市内で訪問介護などを行うNPO法人ハンディキャブゆづり葉もガソリン代の増加に頭を悩ませる。利用会員は103人で運転手は約30人。料金は1時間1000円が基本で運転手には時給800円を支払う。会の収入は200円で、8台ある福祉車両の駐車場代、ガソリン代も賄う。理事の堤透さんは「移動サービスだけだと1回の出動で1000円を超える赤字」という。ガソリンスタンドで販売するプリペイドカードを買い、5%還元セール期間を活用するなどの節約をしているが、焼け石に水だという。堤さんは「訪問介護など他の事業収入で全体の収支を賄っているが、それも限界だ。自治体や地域で支える仕組みを考えねばならない」と語る。 《支援なく休止の団体も、自治体の補助 検討必要》 国土交通省によると、福祉有償運送への登録団体数は、2008年3月末で2320。制度施行直前の2006年9月末の2136から増加した。2006年10月の制度スタート以前は、福祉団体などがサービスを提供していたが、今では地域で欠かせないサービスとして位置づけられた。しかし、運営の実態は厳しいようだ。 福祉有償運送の全国組織のNPO法人「全国移動サービスネットワーク」(全国移動ネット)が2007年10〜11月に全国の登録団体2300を対象に行ったアンケート調査によると、1団体あたりの利用者数は制度化以前の85・3人が制度化後は94・9人に増加。一方、1団体あたりの運転者数は制度化前の13・0人が、制度化後には12・6人と減少した。また「許可・登録申請で困ったことや活動で困ったこと」(複数回答)については、「市町村・運営協議会・運輸支局への申請・登録・更新などの事務量」(130団体)が最も多く、「運転者要件が厳しい、講習が負担」(同81)、「必要経費が多い、費用を工面できない、赤字事業、単独の事業として成り立たない」(同67)が続いた。このアンケートに合わせて「移動ネットあいち」(名古屋市)が行った調査では、福祉有償運送以外に介護保険や障害者自立支援事業を実施していない登録団体は月額平均9・1万円の赤字が出ていることがわかった。 多くの団体の状況が厳しいにもかかわらず、補助金などで支援する自治体は少ない。それどころか、財政難の自治体ではこれまでにあった福祉タクシーや無料移送サービスを縮小するケースもある。 全国移動ネットの杉本依子理事長は「国指定の運転者講習が義務付けられるなど、費用負担や時間拘束が厳しくなった。タクシー料金の2分の1という非営利の範囲で認めている福祉有償制度が実は非営利では成り立たない“制度矛盾”が生じている」と話す。実際、採算がとれずに活動を休止する団体も出ているという。 大阪大学の猪井博登助教(交通計画)は「福祉有償運送が機能しなければ、外出の機会を失う“交通弱者”が増える。そうならないために、料金規定を運行形態や地域事情に合ったものに変えることや、自治体の活動団体への補助なども検討する必要があるだろう。最近では、福祉タクシーのチケットを福祉有償運送でも使えるようにした自治体も出てくるなど、行政、登録団体が一体となり、利用者のために運用を柔軟にする努力が求められる」と話す。 『《地域交通支援モデル事業》佐賀県が3件採択』(東京交通新聞2008.8.11)
地域の、地域による、地域のための移動手段づくりを――。佐賀県の古川康知事は5日、地域交通支援モデル事業を公表した。県内交通不便地域の移動手段を確保する事業を公募した結果、11件の応募があり、デマンド貸切バスや福祉施設の遊休車両を活用する無償運送など3件が採択された。会見で、古川知事は「実証実験を経て本格運行につなげたい」と抱負を述べた。 県は今年度、モデル実証実験を助成する制度を創設。実施主体が市町の場合は450万円、市町以外は200万円まで補助する。9月上旬にも、乗合タクシーのモデルが追加採択の方向だ。 古川知事は、地域住民の移動手段の確保をマニフェストに掲げる。@公共交通機関の利用促進、A自動車の共同保有・利用、Bマイカー相乗り促進――をあげ、低炭素社会の実現を目指す。 モデル事業【表参照】の1つ目は川上地区地域交通支援事業。デマンド型貸切バス運行モデルで、住民の予約に応じ地域内の拠点や病院、スーパーなどを結ぷ。 2つ目は「地域の元気! 山から村へ 村から山へ」と銘打った定時定路線型貸切バス運行モデル。伊万里市東山代町で、幹線バス路線や松浦鉄道との結節の利便性を高める。 3つ目は自家用無償旅客運送モデル。玄海町社会福祉協議会が保有する送迎車両などの遊休時間を活用、交通不便地域の住民らを対象に自家用無償運送を行う、同無償運送をめぐっては、県が特区申請し、国土交通省に運用の見直しを求めている。
『《地域公共交通会議》兵庫や滋賀を主体に』(東京交通新聞2008.7.28) 近畿運輸局は管内地方自治体の「生活交通」への取り組み状況をまとめた。2府4県(205市町村)における各種の「協議会」等の設置状況は、改正道路運送法(2006年10月施行)に基づく「地域公共交通会議」が56市町、「福祉有償運送運営協議会」が70件(広域エリア含む)、「過疎地有償運送運営協議会」が11件などとなっている=表参照。 このうち「地域公共交通会議」は兵庫県や滋賀県を主体に多く設置され、運行態様は路線定期の乗合バス、コミュニティバスの再編・拡大、区域運行の乗合タクシーなどさまざま。 コミバスは2府4県205市町村のうち65%に当たる133市町村で運行しているが、07年度は新規運行路線がなかった。府県別内訳は大阪が29(23市5町1村)、京都が21(10市10町1村)、兵庫が22(16市6町)、奈良が28(11市8町9村)、滋賀が18(10市8町)、和歌山が15(6市8町1村)。運行形態は道運法4条許可が97件、78条(旧80条)有償運送が26件(4条と併用形含む)、その他32件(同)という状況。
『《国交省有償運送WG》「上乗せ基準」妥当性判断へ』(東京交通新聞2008.6.30) 国土交通省の自家用車有償運送フォローアップ検討会・ワーキンググループ(WG)が25日開かれ、自治体主宰の運営協議会が国の制度以外に独自に定めている「上乗せ基準」に対し、妥当性を判断していく姿勢で一致した。
個別ケースごとに、設定に至った背景や手順をチェックし、合理性がない場合は見直しを働きかける一方、運営協が合意している安全面などの案件には尊重する考え方が示された。次回は来月25日予定。 『《福祉総合配車センター》運営基盤の確立に全力:全福協大阪副支部長・黒田 司郎 氏』(東京交通新聞2008.6.30) 国交省のモデル事業として大阪福祉タクシー総合配車センターが開業し、半年が経過した。福祉配車センターが国のモデル事業に決まった2006年度は地方財政が厳しい事情もあり、なかなか手を挙げる自治体が出なかった。福祉有償運送運営協議会でつながりのあった大阪府、大阪市、堺市の各担当者が、モデル事業に賛同、2007年度に予算化が実現した。国と3自治体の4ヵ所からの助成だ。関係者の努力に応えるためにもセンター運営を軌道に乗せたい。
国の助成措置は初年度のみでシステム機器など設備費用等に限られる。新年度からは運営経費を事業者の会費収入や大タ協、大福協など関係団体からの補助金などで賄う形となる。配車センターのランニングコストは、オペレーターの人件費などで年間約1200万円。現状のままではセンター運営は厳しい。 参画事業者は3月末現在で87社134台(セダン14台含む)。利用登録者は135人で、124人が実際に利用した。最近の配車回数は4月53回、5月54回で推移している。参画事業者を増やすには、配車回数の増加を図ることが先決課題だ。そのために何が必要か。 先頃、開いた会議では「広報」と「営業活動」の強化が重要との認識で一致した。リーフレットやポスターの配布先である病院や福祉施設には、メディカルソーシャルワーカーやケアマネジャーがいて、患者や入居者が外出する際、福祉車両を手配する仕事がある。ナースステーション等で対応するケースもあるが、適切な部署、担当者に直接、広報媒体が目に触れるようにしたい。同時に派遣会社から営業マンを短期間雇用し、ホテルや病院などを対象にピンポイントで集中的に営業をかけることも検討したい。費用対効果を踏まえながら、適切な営業施策を打ち出す必要がある。社会貢献事業に関心のある小口の広告スポンサーを集め運営経費に充てることも考えている。 『《ガソリン価格高騰》福祉有償運送 悲鳴/料金値上げの動きも』(毎日新聞2008.6.14) 「これ以上の値上げはもう限界」―― 。原油高騰に伴うガソリン価格の値上げが、訪間介護やデイサービスなどで車を使う福祉事業者の経営を圧迫している。移動が困難な高齢者や障害者のために、国から「福祉有償運送」の許可を受けて、病院や買い物の送り迎えのサービスを手がけるNPO法人の中には、料金の値上げに踏み切る動きも出てきた。
那須町寺子丙のNPO法人「ゆっくリサロン」の送迎料金は、距離と時間に応じて決まる(5`未満250円〜40`以上2500円)。売り上げのほとんどはガソリン代や車の保険料、整備費に消える。送迎車の運転手、永田欽也さん(67)は「人件費は残らないので、完全なボランティア」と話す。 ゆっくリサロンは7月の登録更新を前に、料金を値上げする方針だ。市町や関東運輸局栃木運輸支局、利用者代表などでつくる運営協議会で承認されれば、正式決定する。利用者の多くは年金暮らしのお年寄りや障害者で、永田さんは「なるべく負担をかけたくないが、ガソリン代がこう高くなってはやっていけない」と訴える。 福祉有償運送を行う団体で構成する「県移送サービス連絡協議会」の事務局は、高根沢町花岡で介護サービスを手掛けるNPO法人「グループたすけあいエプロン」が務める。エプロンの事業エリアは同町のほか宇都宮市、さくら市、那須鳥山市、芳箕町に及び、ヘルパーの走行距離は訪問介護だけで月2万`を超える。ガソリン価格が1g当たりで10円値上がりすると、経費負担は月4万7000円アップするという。 石油情報センターが11日発表したガソリンの小売価格調査(9日現在)によると、県内のレギュラーガソリンの平均価格は1`当たり171.1円。3月末平均価格は150.6円で、20円以上値上がりした。エプロンの菅野忠雄事務局長は「福祉有償運送は赤字が当たり前になっている。これから値上げをする団体も出てくるだろう」と話している。 『《全国移動ネット》全国移動ネットが総会/政策提言チーム設置』(東京交通新聞2008.6.9) NPO法人全国移動サービスネットワーク(=全国移動ネット、176団体・個人)は1日、東京で第2回通常総会を開催、2007年度事業報告・決算を承認。移動の権利を保障する社会づくりに向けた中期ビジョンの策定を柱とする2008年度事業計画・予算を決めた。総会終了後、国土交通省の藤田耕三自交局旅客課長が「移動制約者の足と担い手を確保するために」と題し記念講演した。
杉本理事長はあいさつで「全国移動ネットが活動を始めて10年になる。移動サービスが制度化されたが、活動をやめる団体も出ている。今年度は変革期ととらえ、中期ビジョンを打ち出し、政策を転換させたい」と強調した。 ビジョン策定を踏まえ、制度改正に向けた政策提言チームを設置するほか、@タクシーなど交通事業者との課題共有化、A登録事業者の普及、B登録を要しない活動の普及、C制度の規制緩和――などを推進する。 3ヵ所から補助金がつき、福祉輸送のニーズ調査(福祉医療機構助成事業)のほか、全国規模の研修会として7月に「研修サミットin東京」(東京生活者ネットワーク助成事業)と10月に「全国研修サミット」(日本財団助成事業)を開催、運転者や運行管理担当者の育成を図る。相談員による「移動よろず電話相談」を定期開催し、利用者支援のための広域運行の相談窓口を香川の「NPO法人 地域教育福祉会花さき山」に設置する。 藤田旅客課長は講演で、有償運送制度の難しい問題として@タクシーとの競合、A安全性の確保、B経済的な負担――の三つをあげ、経済負担の問題について「現在は、タクシーなどの運賃が高いからとNPOを使うことは認められていない。この問題は交通政策だけの問題ではなく、所得配分や福祉政策の問題でもあり、社会全体の合意が必要だ」との見解を示した。 今年1月に福島県で移動サービス団体による新たなネットワーク(7団体)が結成されたことが報告された。 『《ラウンドテーブル》一緒にビジョンづくりを/NPO法人 全国移動ネット理事 鬼塚正徳』(東京交通新聞2008.6.9) NPOによる自家用有償運送が道路運送法に明記されて1年と8ヵ月になります。
これに従って、全国で有償運送運営協議会が開催されていますが、「安全のために運転者の条件を5年間無事故無違反とすべき」「70歳以上の運転者には問題がある」「2・5`ごと800円の料金は利用者に分かりにくく、3`ごとにしたらどうか」など、輸送のプロのタクシー側委員のご意見やら条件追加に、審査される素人のNPOは右往左往したり、悔し涙を流したりで、お客を奪われると考えているタクシー側は大いに留飲を下げているようです。 これに勉強不足の自治体職員が上からの目線で事前規制をやってしまうことや、通達で義務付けられた書類の多さ・煩雑さに閉口して、活動を停止するNPOが続出しています。この状況を皆さんはどのように思われますか? 現在の福祉輸送の利用は通院とデイホーム通所がほとんどです。命を守り安心して暮らすためには、福祉輸送の利用者とその家族にとって、このサービスは不可欠でしょう。しかし、ご存知のように福祉輸送は手間とコストがかかるため、サービス提供の担い手が少なく、現在の日本ではいまだに大半の利用者が気軽に利用できる状況にはありません。 タクシー業界がNPOをいじめる敵役をいつまで続けるつもりなのかわかりませんが、利用者のためのサービス提供のビジョンなしでNPOをいじめるのでは、自分の事しか考えないただの悪者でしかない。そろそろ、タクシー業界から利用者が必要としている内容と利用負担を盛った福祉輸送サービスのビジョンを示してもらう必要があります。行政や我々NPOや利用者と一緒に考えながら、将来に向けたビジョンを創っていきませんか。 『《全福協京都支部総会》福祉共同配車センター/年度内に具体化』(東京交通新聞2008.6.9) 全福協京都支部(兼元秀和支部長)は先月29日、京都市で通常総会を開き、2007年度事業報告・決算、08年度事業計画・予算を承認した。
兼元支部長は、5月京都市議会で「京都あんしんタクシー」事業費として約900万円の補正予算が計上されたと報告。同事業は「福祉共同配車センター」などの整備助成に使われる。年度内の配車センター設置が具体化してきた。同支部長は「新市長の就任により風向きが変わったと思う。設立の目途は立ったが、事業者負担分をどうするかが課題。すでに3社にシステム開発費用の見積もりを依頼している」と語っている 京都運輸支局では「京都市の予算は“子育て支援”が含まれており、国交省の助成とは性格が異なる。予算の案分について協議し、設立に向け協議していきたい」と話している。 『《参議院》国土交通委員会で有償運送質疑』(東京交通新聞2008.5.26) 22日の参議院国土交通委員会で福祉・過疎地の自家用車有償運送制度をめぐる質疑があり、「手続きが煩雑、硬直的で取り組みにくい」との批判が各地のNPOボランティアから出ていることについて、冬柴鉄三国交相は「実態をしっかりフォローし、制度の周知を徹底していく。重要なことは運営協議会で十分話し合うことになっている」と述べた。西田実仁氏(公明、埼玉)に答えた。
西田氏は「道路運送法登録制による書類の手続きは簡素化すべき。運送の対象が介護保険の要介護者・要支援者に限定されていると理解され、無理に認定を受ける人もいる。介護保険制度をゆがめるのでは。過疎地の範囲も限られているとボランティア側はとらえている」などと主張、配慮を求めた。 『《全国移動ネット》福祉有償運送の実態調査/利用増も運転者減る』(東京交通新聞2008.5.19) 利用者は増えたが、運転者は減少している――NPO法人 全国移動サービスネットワーク(=全国移動ネット、杉本依子理事長)がこのほどまとめた福祉有償運送実態調査結果で明らかになった。
2007年9月時点の登録2300団体のうち460団体から行った制度化後初の大規模調査。2007年10月11日〜同11月16日に実施した。回答率約2割。 NPOボランティア団体の登録前と登録後の比較では、利用者数は11.3%増加したが、運転者数は2.8%減少、収支が悪化している。 利用者数は制度化で認知が高まり増えているが、運営協議会や自治体判断で利用対象から1519人が外されている。理由は要支援認定、経済的に困難な高齢者、他の自治体に居住する障害者など。 今後の団体活動の意向について、「有償運送のみ」活動するとの回答が66%と、登録団体の34%が有償運送登録の範囲だけでは現在の移動ニーズに対応する活動ができないと考えている。「登録を取り下げる」「活動をやめたい」「分からない」を合わせると17%あり、問題点の多くに、登録に伴う事務作業量、人員や経費の捻出があがっている。 全国移動ネットでは今回の調査結果を踏まえ、@登録要件の緩和、A登録不要の態様の整理、B運営協議会の本来目的での適性運営、C第三者による不服申し立て機関設置――を提起している。 『《有償運送の要件緩和》地方分権委に国交省回答』(東京交通新聞2008.4.14) 政府の地方分権改革推進委員会(委員長=丹羽宇一郎・伊藤忠商事会長)が8日開かれ、昨年11月の「中間とりまとめ」に対する所管省庁の回答が提示された。交通・観光分野の見直し対象として自家用車有償運送登録要件の緩和が揚げられ、国土交通省は「より実務的に検証し、ニーズの把握、運営協議会のあり方などを検討する」と回答した。
同省は「有償運送フォローアップ検討会」ワーキンググループ(WG)の初会合を先月開催し、移動サービスの拡大に向け検証結果を制度改正につなげる考え方をすでに示している。分権委側に対しても、WGの設置や予算調査事業の計画を伝えた。 この問題について分権委は「地域交通の確保のためNPOが運送を行いたいと考えても、バス・タクシー事業者が参加する運営協議会の合意が円滑に得られないとの声が聞かれる。登録要件の緩和を検討すべき」と要請していた。 この日の会合では他に、一連の国の出先機関ヒアリング調査として、地方整備局(道路・河川関係)の権限移譲の是非が論議された。 『《現場から2008年:福祉移送サービス「制度化」1年半》京のボランティアなど各団体/事務量増大、収入減に苦慮/申請や登録、報告義務 料金、タクシーの半額以下……/運行継続へ』(京都新聞2008.3.24) ボランティアによる福祉移送サービスが道路運送法で「制度化」されて1年半。京都市内の各団体は、制度化に伴う事務量の増大や収入の減少に苦慮している。全国的にも同様の傾向で、各団体とも何とかやりくりしている状況だ。市内の現状を追った。(中村幸恵)
土曜の夜、市役所前で、西京区のNPO法人 京都J&Mの会代表の谷純三さん(62)は、映画鑑賞から戻ってきた熊川貴也さん(28)の車いすをワゴン車に乗せた。動かないようにバンドで固定し、熊川さんが入院する右京区の国立病院機構宇多野病院へ出発した。 熊川さんは筋ジストロフィー症で、2ヵ月に1度ほど谷さんの運転で外出する。「谷さんのような人がいないと外に出られない。サービスがもっと広がってほしい」と訴える。 しかし現実は逆行しつつある。同会は制度化以前、1日6〜7回移送していたのが月10〜12回程度にまで減少。事務処理の増加と、金銭面から谷さんがアルバイトを始めたためだ。 福祉移送はボランティア活動として黙認されていたが2006年、道路運送法の規制対象になった。移送事業を行う団体(事業者)はタクシー事業者や利用者代表などでつくる各自治体の「運営協議会」の合意を得て運輸支局に登録することが義務化された。 同時に事業者には、毎年の実績報告書の提出や、運転手の変更や苦情、事故などをその都度報告する義務も発生。2年ごとの登録更新時には約20種類の資料を運営協議会に提出することも必要になった。 J&Mのメンバーは運転手3人。事務作業の負担は大きい。「移送回数を増やすためには事務員が必要だが、現実には難しい」と谷さんは明かす。 谷さんらは運行回数を減らすため、利用者に福祉タクシーを紹介した。しかし、難病の人たちは慣れ親しんだ谷さんらの運行を望む人が多い。「わたしたちがしなければ外出をやめるという人が多い」という。 活動を初めて約10年。利用者が自身でヘルパーを手配できない場合、ヘルパー資格を持つ運転手がボランティアで助けるなど柔軟に対応している。熊川さんも「谷さんの人柄がいい」と顔の見える関係を望む。 影響は金銭面にも現れている。移送の料金はタクシー料金の半額以下とされたためだ。J&Mは1時間2600円。ガソリン代の高騰で「弁当代も出ない」という。中断していた年会費の増収の検討を始めた。 車4台。運転手27人が活動するNPO法人 京都運転ボランティア友の会(南区)も、「走るだけ赤字になる」という。代表理事の吉田嘉久さん(69)は「寄付で何とかしのいでいる」と話す。 全国移動サービスネットワーク(東京)が昨年、全国の移送団体に実施したアンケート調査では、4分の1以上の団体が「申請や登録などの事務量で困っている」と回答。収支は全体的に悪化していた。同ネットワークの伊藤みどり事務局長(33)は「運営協議会で利用者の制限を受ける傾向もある。トイレに行くタイミングや上着の着脱など、慣れた人でないと分からないことも多い。制約が増えるとボランティアが減ってしまう」と危ぐする。 長年移送サービスを続けるボランティアだからこそできることがある。こうした団体が継続して活動できるよう、要件の緩和などの対応が必要ではないだろうか。 『《国交省》有償運送制度/一部緩和を検討』(東京交通新聞2008.3.24) 国土交通省は構造改革特区提案を受け、警察の講習の容認など福祉・過疎地自家用車有償運送制度の登録要件を一部緩和する方向で検討することをこのほど決めた。市町村やNPOボランティアなどに限っている運行主体に新たに「地縁団体」を加えるほか、過疎地有償運転者の講習制度について、大臣認定講習の受講・修了を都道府県警察の交通安全講習に代替する。 来年度中に結論を出す。 『《国交省・阿部企画官講演》運営協反対に“喝”/全乗連ケア輸送委で苦言』(東京交通新聞2008.3.24)
「福祉有償運送運営協議会の議論は地域の福祉輸送をどう支援するかの切り口で」――17日、東京市ヶ谷でケア輸送委員会(関淳一会長)が開催、国土交通省の阿部竜矢・自交局旅客課地域交通政策企画官は自家用有償運送のフォローアップとタクシー事業に関し講演、「政府部内も一般マスコミもボランティア有償運送を好意的に受けとめ拡大するよう求めている。タクシー業界が運営協で反対ばかりしていると既得権益を侵されないようにやっているととられる。運営協でのやみくもな反対はやめるよう注意してほしい」とした上で、「タクシー会社ではこういうことをやっていると、できることを積極的に言って、それでもNPOが必要なのかと議論してほしい」と注文した。
同企画官は「世の中でタクシー業界が悪者の構図を改めたい。地域の福祉輸送をどうするかという視点で運営協に臨んでほしい。NPOとタクシーがどう共存していくかを考えてほしい。本来、運営協ではそうしたことをやるべきだ。(国交省の)フォローアップ委員会で提起していく」と述べた。 質疑応答で四元永生(長崎)、清田明徳(埼玉)、青木良浩(愛知)各委員らが質問。四元氏は「福祉輸送は費用がかかり患者さんなどの負担増になる。経費負担をどうするか、国が関与し方向性を出してほしい」と財源問題をただしたが、阿部企画官は「問題の本質に触れるが、負担問題は一行政の管轄範囲を超える。社会福祉行政として弱者負担をどうするかという問題になる。税金を取るには国民の合意がいる。国交省だけでは解決できないが、提案として受けとめる」と答えた。 佐藤雅一委員が「有償運送について国交省フォローアップ委のワーキングに意見具申する」として、業界に意見提出を求めた。川村泰利委員がユニバーサルタクシーの開発促進について、水田誠副委員長がケア輸送をめぐる最近の情勢について報告。 タクシー点字表示の全国統一について、日本盲人会連合の調査をもとに、点字内容を@会社名A車両番号B会社の電話番号――の三つとし、表示場所は三角窓に統一する方向にあると報告された。 『高齢者らの有償送迎サービス/法制化も普及に課題―運行地域や車両などに制約』(日本経済新聞2008.3.3) 交通空白地に住む高齢者や障害者らを自動車で送り迎えする有償運送。2006年に法制化され、地域の新たな足として期待が高まっている。だが法改正から1年半を経て、運行区域や利用者要件の厳しさなど利用勝手の悪さが浮上。運営主体からは制度見直しを求める声が強まっている。
都心から特急電車で1時間ほどの埼玉県鳩山町のニュータウン。新井正子さん(77)は、自宅前で「福祉有償運送車両」と書かれた車に乗り込んだ。向かう先は約4`離れた埼玉医大病院。「脊髄(せきずい)の手術をして歩くのが難しくなった。仕事で忙しい娘には送迎を頼めない」と週1度ほど利用する。 住民らで組織するNPO法人「21世紀まちづくりの会」は昨年10月に有償運送を始めた。住民1万6千人の2割が70歳以上。「この町では車なしの生活はできず、高齢者の移動問題は深刻」(星合達郎・副理事長)と準備に一年をかけ、開始にこぎ着けた。 《2006年に法改正》 こうした福祉移送サービスは1970年ごろに障害者の外出支援として始まった。自家用自動車による有償運送は道路運送法違反だったが、移動制約者には不可欠として黙認されていた。2006年10月の道路運送法改正でようやく正式に認められるようになった。 国土交通省によると、2007年3月末の認可団体は要介護者や障害者を対象にした「福祉有償運送」が2300、公共交通空白地の住人を対象にした「過疎地有償運送」が56。社会福祉法人やNPO法人、介護事業者などが運営を担う。 順調に広がっているようにも見えるが、移送サービス団体などが加盟するNPO法人全国移動サービスネットワーク(東京・世田谷)が昨年秋、全国の登録団体を対象に実施した調査では、各団体が運行に苦慮する実態も浮かび上がった。以前からサービスを続けていた団体は、法人格の取得や運転協力者の有料講習、膨大な書類作成など、制度で義務付けられた条件の対応に戸惑う。活動を中止したい、今後は分からないという団体も17%あった。 ドライバーに当たる運転協力者の確保もハードルの一つ。移送サービスの運転手はタクシードライバーなどと同等の二種運転免許が求められる。さもなければ国土交通大臣認定の事業所で特別講習を受けなければならない。だが同調査では「運転者の要件が厳しい」「講習(時間や場所、日程)の負担が重い」と回答した団体が6割に上った。 「21世紀まちづくりの会」も、運転協力者の確保が今後の課題だ。現在は7人の講習修了者のうち、常時、協力できるのは3〜4人。同会の場合、講習受講費は一万円を超え、どれだけ協力者を集められるか未知数だ。 運行区域の制限も利用者の使い勝手を悪くしている。例えば高齢者が隣接市町村の医療機関に通院するために有償運送を使いたいと思っても、それが認可地域外だと送迎できないケースがあるのだ。 1994年から福祉移送サービスを実施しているNPO法人「さわやか高知」(高知市)。認可を受けたときに「発着は高知市内」と規定され、隣接市の会員は有償運送ができなくなった。隣接市には有償移送団体がなく、長年移送サービスを利用してきた高齢者や家族から「何とかできないか」と懇願され、無料送迎で対応している。 《あえて無料送迎》 利用者の利便性を優先して無料移送サービスを実施する団体も出てきた。利用者から報酬をもらわなければ道路運送法に基づく認可を取る必要がないことを利用した苦肉の策だ。 今年1月に浜松市渋川地区を拠点に移送サービスを始めたNPO法人「大好き渋川」(浜松市)もその一つ。同地区はJR浜松駅から車で1時間半、800人の人口は高齢化率が45%を超える。過疎地有償運送の認定を目指して準備を進めてきた。 運行区域を「せめて隣町の病院まで」というNPO法人側の主張に対し、市側の答えは「最寄りのバス停まで」。折り合いが付かず、認可取得を断念。住民有志の会費を原資に無料送迎を始めた。同法人理事長の伊藤茂男さんは「バスは1時間に1本ほど。通院には乗り換えも必要。市側の条件では高齢者は不便なままだ」と訴える。 認可を取るための数々の条件は運行の安全を確保し、地元のタクシー会社などの経営を圧迫しないために不可欠な規制もある。ただ過疎地からの公共交通機関の撤退や高齢者人口の増加を受け、高齢者や障害者らの交通手段の確保も、また重要だ。法制化から1年半、利用者の視点に立った制度見直しも必要だ。 《多数の自治体、運営協議会なし》 NPO法人や社会福祉法人などが有償運送を行う場合、各市町村が主宰し、行政関係者やタクシー事業者などで構成する運営協議会の協議で承認されることが条件だ。協議会ではこのほか、使用車両や利用対象者、移送地域なども協議する。 ただ、この協議会すら設置されず、認可を受けられない団体も少なくない。国土交通省によると、運営協議会は2007年9月末で543。広域自治体での設置もあるとはいえ、全国的1800の自治体の約3分の1にとどまる。「タクシーや市民バスがあり、移動手段は補充できているため運営協議会を設置する予定はない」(千葉県の自治体)などと、設置要求を受け入れないケースが目立つ。 協議会の設置要求を続けてきた福岡県のNPO団体関係者は「法的認可がない以上、送迎サービスはやめざるを得ない。このままでは移動制約者がますます、外出できなくなってしまう」と話している。 『《有償運送運営協》登録制1年で50地域増える』(東京交通新聞2008.2.18) 自家用車ボランティア有償運送の新制度(道路運送法79条登録制)移行1年間で、全国に新設された運営協議会の数は、福祉・過疎地合わせ50地域近く増えたことが、国土交通省がこのほどまとめた集計でわかった。登録要件の緩和を求める声がある一方、主宰する自治体側の関心やタクシー業界の問題意識も高まり、設置数は旧制度期(80条限定許可)に続く増加基調をたどった。 集計は昨年9月末時点。改正道運法・有償運送登録制の開始は2006年10月。福祉運営協の設置数は543地域で、前年同月比46地域増えた。中核市では北海道小樽市や滋賀県大津市で発足。佐賀県唐津市・玄海町など広域運営協もみられる。NPOなど登録団体の数は2300、同164増。車両数は1万3543台、うちセダン型は半数超の7393台。 構造改革特区として認められた最初期の03年度(04年3月末)に10地域、セダン特区に衣替えされた04年度は32地域、05年度437地域、06年度520地域と推移している。過疎地運営協の設置は49地域で、静岡県浜松市など3地域が名乗りを上げたが、福祉ほどの伸びはみられない状況だ。 自家用車有償運送運営協議会の設置状況(国交省調べ、07年9月末現在) 【福 祉】 ◆運営協 543地域(497) 4〜9月新設=小樽市、東川町、清水町(北海道)、三条市(新潟)、長和町・青木村、千曲市、岡谷市、飯綱町(長野)、中津川市(岐阜)、扶桑町(愛知)、大津市(滋賀)、湯梨浜町(鳥取)、光市(山口)、福津市(福岡)、唐津市・玄海町(佐賀)、小国町(熊本)、西之表市、喜界町、龍郷町、瀬戸内町、大和村、宇検村、阿久根市(鹿児島) ◆運行登録 2,300団体(2,136) ◆車両合計 13,543台(12,671) ◆セダン型 7,393台(6,932) 【過疎地】 ◆運営協 49地域(46) 4〜9月新設=妙高市(新潟)、浜松市(静岡) ◆運行登録 56団体(40) ◆車両合計 392台(355) ☆カッコ内は前年同月。運行登録は道運法登録制届け 『《国土審》国土形成計画を了承/過疎地有償運送など推奨』(東京交通新聞2008.2.18) 向こう10年間の国土・地域づくりの指針となる「国土形成計画」が13日、国土審議会(国土交通相の諮問機関)で了承された。年度内に閣議決定される。新たな国土像として旧来の量的拡大・開発基調を改め「成熟社会型」を目指すとともに、国主導から「分権型の計画づくり」(国・地方の二層体系)への転換を打ち出した。自動車分野ではボランティア自家用車過疎地有償運送や「道の駅」拠点のバスなどを推奨する。 同計画は前身の全国総合開発計画を抜本的に改めるもので、国土形成計画法に基づく。今回了承されたのは「全国計画」で、来年度中に8広域地方圏(東北・首都・北陸・中部・近畿・中国・四国・九州)の協議会がそれぞれ「広域地方計画」を策定する。北海道と沖縄は独自の振興政策が採られているため除かれた。 戦略目標として▽東アジアとの円滑な交流・連携▽持続可能な地域の形成▽災害に強いしなやかな国土の形成▽美しい国土の管理と継承▽「新たな公」(住民・NPO・行政・団体・企業の協働)を基軸とする地域づくり――の5項目が掲げられた。 過疎地有償運送は「公と私の中間的な領域を新たに担う活動」の一つとして位置づけられた。この日、岡村正・国土審会長(東芝会長)が冬柴鉄三国交相に答申を手渡した。 『《再生・地域公共交通》まちづくり〜住民による住民のための輸送』(東京交通新聞2008.2.11) ■住民の手で過疎有償運送 自家用車過疎有償運送の先駆け、徳島県上勝町。構造改革特区で国の制度に風穴を開けた。人口2000人余、政府の地方再生戦略では限界集落に分類される。特区ツールを駆使し、観光客送迎や車両共同名義などアイデアを繰り出す。今は道路運送法登録要件を一部緩和する「運転者講習簡素化特区」を提案中だ。 町役場の山田三郎産業課長補佐は「移動したい人が多いのに、バスは本数が少なく、タクシーは町内にない。規制によってドライバーが不足し、住民サービスに生かしきれない。山村は走行範囲が限られ、近場の警察署の交通安全講習を代用すれば足りる」と訴える。 会員登録利用者318人に運転者16人、車両21台(福祉仕様1台)。1`100円。年間延べ2000人超が乗る。特区案は月内に採否が決定するが、国交省は前向きな姿勢。福祉車両などを増強させる政策目標が背景だ。住民の手による住民のための輸送スタイルが形づくられつつある。 ■LRT軸の環境都市構造 LRT(次世代軽量路面電車)を軸とした環境都市構造、周辺エリアにバスもつなげる公共交通ネット。富山市は次のステップにLRT延伸計画を進める。 第三セクター・富山ライトレールが開業して2年。延伸・環状部分は富山地方鉄道が乗り出す。音頭を取る市の高森長仁・都市整備部路面電車推進室主幹は「マイカーに頼らず、公共交通を核に回遊できるコンパクトシティが高い目標」と意欲的だ。現プランにタクシーは関わっていないが「住民生活の活性化には福祉タクシーの活用が大事」と重視する。 国も法制面でサポート。自治体が路盤や停留所を設置・管理し、運行は民間が担う「上下分離方式」を近く認め、疲弊する交通事業者の負担を軽くする。バリアフリー低床車両を採用、環境配慮志向のまちづくりと一体化。低炭素型都市に向け進化が続く。 |