《2014年度・報道資料ファイル》 『《大阪・富田林市》移送サービス後押し/11月から社会実験/生活支援団体と連携』(東京交通新聞2014.10.27)
「大阪府富田林市が移動の足を確保しようと、11月から不動ヶ丘地区の住民と連携したユニークな社会実験を開始する。主に高齢者への生活支援を展開する「ほっとらいふ」に、軽自動車1台を無償で貸与。燃料代も市が負担し、団体が手掛ける会員への移送サービスを後押しする。 不動ヶ丘地区は、高齢化が進展。2014年3月末現在、人口638人で高齢化率は43・7%に達している。約40年前に開発された閑静な宅地だが、坂が険しく、独り身の高齢者には外出さえ困難なのが実態だ。 そこで自治会の有志が集い、6月に高齢者や障害者をサポートしようと「ほっとらいふ」を設立した。買い物先や病院への付き添いといった「日常生活困りごと支援」に加え、「西友・ばんばんお買い物ツアー」などのイベントを開催し、憩いの場を提供する。市の「地域公共交通を進めるモデル地区」の指定を受ける一方、社会福祉協議会や医療機関とも協力体制を築いている。 会員制で運営。事前に利用券(1000ポイント1000円)を購入する。利用料は10分100ポイントを目安に設定。活動に従事する「支援会員」への謝礼は利用料の2分の1を1ヵ月月まとめて支給する。 現在、利用会員は42人(平均年齢79・1歳)、支援会員は29人(同69・7歳)と、地域での理解も広がっている。利用会員の募集を経て支援がスタートしたのは7月下旬。梅田寛章代表(64)は「困りごと支援の9割は移送」と話す。ドライバーは5人で、梅田代表もハンドルを握る。 福祉有償運送では利用者が限定されるため、「無償運送」で活動する。謝礼はガソリン代の実費程度とし、1`当たり50ポイントで四捨五入。38`を超えると200ポイント、5`を超えると300ポイントになるという。 ただ「実費程度」をめぐり大阪運輸支局は「実費に」と指導。梅田代表は「ガソリンは、スタンドで価格が変わってしまう。それに燃費も車両によってパラバラ。実費を出すなんて無理だ」と語る。 そうした状況に一石を投じるのが、11月に始まる社会実験だ。市が借り上げた軽自動車を来年3月末まで「ほっとらいふ」に無償で貸与し、燃料代も負担する。市によると、利用者へのアンケートなどを通じ、事業を継続するための知見を得ていく考え。」 『自家用有償旅客運送を市町村敬遠?』(読売新聞2014.10.22)
「◆権限移譲「メリット不明」 過疎地など交通機関の空白地で、自家用の白ナンバー車で料金を取って住民らを運送する自家用有償旅客運送(※メモ)について、国土交通省は来年4月から、希望する自治体に登録や監査事務などの権限を移譲する。狙いは、地域の実情に応じた交通整備を図ること。しかし、県内の市町村は「事務手続きが煩雑になり、移譲によるメリットも不明」などと、現時点で移譲を明確に希望している自治体はない。 ◆書類が膨大 平日の午後3時前。北杜市須玉町藤田の児童福祉施設「キッズステーション」には、ランドセルを抱えた子どもたちが送迎されてくる。同施設で預かるのは、韮崎や甲府、南アルプス市などに住む障害のある子どもたちだ。施設を運営するNPO法人キッズステーションは2006年に福祉有償運送を始め、現在は施設や職員が所有する自家用車19台を使い、職員自らが送迎を行っている。 「車内でどんな行動をとるか分からない子どもたちを、安全に送り届けることが最も大事。タクシーに送迎を頼む訳にはいかない」。河野めり子代表(67)は、福祉有償運送を実施している理由をそう話す。一方で、地元の運営協議会や国交省山梨運輸支局に対し、利用者名簿や送迎時刻、運送距離などを定期的に報告しなければならず、提出書類の量も膨大という。 2015年度以降、希望する自治体に移譲される権限は、実施団体の登録事務のほか、是正措置や業務停止の命令など。同省は「関係者の合意から登録までの期間が短縮されると同時に、市町村の裁量が拡大することで、地域の実情に応じた運送を実現できる」とする。 ◆内容 精査できず だが、県内27市町村のうち、市町村運営有償運送を実施している7市町村の反応は鈍い。住民の生活交通を確保するため、コミュニティーバスを運行する北杜市は「道路運送法などに詳しい職員がおらず、申請内容を精査できない。人の命を預かる事務なので、国のバックアップが必要」とする。町営バスを導入している南部町も「権限移譲によるメリットが不明で、まだ判断できない」と静観する。 障害者らの通院をリフト付きの村営車両で支援している山中湖村の担当者は、「事務手続きが村内だけで完結できるようになるが、利用対象者が増えなければ今のままでも十分」と話す。 同省が昨年、自家用有償旅客運送を行っている全国の1291市区町村を対象にしたアンケート調査でも、「希望しない」が51%、「わからない」が43%となり、「希望する」と回答したのは6%にとどまった。移譲を希望する横浜市は、「運営協議会と運輸支局の二重行政を解消し、権限を一元的に集約することで、実施団体の事務負担が軽減される」と効果に期待する。 福祉有償運送の全国組織・NPO法人「全国移動サービスネットワーク」(東京)は、「移譲を機に、例えばドライバーに年齢制限を設けるなど、地域によって存在する不合理な独自の規制や煩雑な書類作成などが改善され、柔軟な運用につながればいい」としている。 ◇ ◇ ◇
【※メモ】自家用有償旅客運送:国土交通省の登録を受けた市町村や社会福祉法人などが自家用車を用いて有償で住民らを運送できる制度。2006年の改正道路運送法で導入され、14年3月末現在、全国で3036団体が登録している。種類は、市町村による「市町村運営有償運送」、NPOや社会福祉法人が実施する「福祉有償運送」「過疎地有償運送」。実施には市町村や運輸局、地域住民、バス・タクシー事業者などで構成する運営協議会や地域公共交通会議の合意が必要。」『《全国移動ネット》大阪で権限移譲セミナー/バス・タク優先に疑問』(東京交通新聞2014.10.20)
「NPO法人 全国移動サービスネットワークは10月10日、大阪市内の大阪外食産業協会会議室で、自家用有償旅客運送の事務・権限移譲に関するセミナーを開催した。自治体職員やNPO関係者ら約70人が集い、権限移譲を取り巻く情勢について理解を深めた。 講演で全国移動サービスネットワークの山本憲司理事は、自身が参加した地方公共団体への権限移譲をテーマとする検討会での議論を踏まえ“地域外からの訪問者に対するサービス”に言及した。 「サービスを提供するに当たり、地域のすべてのバス・タクシー会社にサービスを行うかどうかの意思を確認してもらいたいというのは現実的なのか」と疑問を投げかけ、バス・タクシーを優先して自家用有償運送の活動を制限するべきではないと力説した。 大阪大学大学院工学研究科の猪井博登助教、九州大学大学院法学研究院の嶋田暁文准教授らも講演をした。 パネルディスカッションが行われ、参加者がある地域の運送の対価の決め方がおかしいと指摘。運営協議会での進行や運輸支局の担当者の対応に問題があるのではないかとの批判の声が上がった。」 『《直撃インタビュー》佐賀県知事・古川康氏に聞く/移動の不便解消、自治体の責任』(東京交通新聞2014.8.4) 「2015年4月の自家用有償旅客運送の事務・権限の移譲を見据え、知事と市町長を会員とする「身近な移動手段確保に関する協議会」(会長=古川康知事)を立ち上げた佐賀県。移動手段がないために高齢者などが家に引きこもることがないよう、県内の交通ネットワークを見直すことが目的だが、自家用有償のみがクローズアップされ、利用者を奪われるのではないかとタクシー業界は疑心暗鬼だ。「佐賀県の動きが他県へも飛び火するのではないか」と、戦々恐々の事業者も多い。渦中の古川知事を直撃インタビューし、語り尽くしてもらった。(聞き手=古川渉記者) 移動手段の確保をマニフェストに明記 知事になって県内のいろんな地域に足を運んだが、移動ができなくて困っているという話がすごくあった。バス停まで遠い、便数が少ない、行きたい行き先のバスがないなど。タクシーが便利なのは分かっているが、運賃が高いので簡単には使えない。足がない住民は家に閉じこもりがちになる。 地域包括ケアが始まる ―遊ぶための外出も大事 これから地域包括ケア(※国は2025年をめどに、住まいや医療、介護などの生活支援を一体的に提供するシステムの構築を目指している)が始まる。 人口が減って、人々はこれまで以上に地域との結び付きが強まっていく。通院や買い物だけでなく、遊びに出かけるということも私は大事なことだと思っている。地域包括ケアと言いながら、出かけたいところにも出かけられないようでは、自治体として無責任になる。 自家用有償は数ある交通モードの一つ 移動に不便を感じている住民がいたら、救済するのが知事である私の仕事。そのためにはバスやタクシー、自家用は有償、無償を問わず使える交通モードは、何でも使っていきたい。自家用有償にスポットが当たりがちだが、数ある交通モードの一つに過ぎない。タクシー関係者からはご批判を受けるが、住民からは「よく始めてくれた、ありがとう」と喜ばれている。 こういう事例がある。山中の家から工場まで自家用車で通勤していた人が、障害の関係で免許を持てなくなった。ただし、仕事はできる。工場までの足があれば働くことができるが、バスはないし、タクシーだと採算が合わない。今ある交通モードだけでは答えが見つからない。 そういう時、その集落の誰かの車に乗せてもらうのが一番の解決法だと、私は思っている。私が相談を受けたら、そうアドバイスをする。1人だけでは無理なら、何人かが交代で乗せる仕組みをつくれないか。私はつくれると思う。無償で毎日乗せてもらうと申し訳ないという気持ちが出て、頼みにくくなっても良くない。有償と無償をどんなふうに位置付けたらいいのかというのもテーマだ。 市街地であっても移動に因っている住民がいたら、何とか手立てを講じるのが自治体の仕事だ。 ヒッチハイクの21世紀版 ―相互扶助するシステムを これは自家用有償の延長の世界になるかもしれないが、これからは乗せてもいいよという人の車に乗せてもらう時代になるんじゃないかと思っている。ヒッチハイクの21世紀版かな。正規の移動手段に答えが見つからない以上、誰かに乗せてもらうというやり方を考えないと。 「うちのお婆ちゃん、今日、街に出るんで、乗せてってよ」といったお互いに助け合う、相互扶助するシステムをつくれないかと思っている。会員組織をつくって、互助会という位置付けで。フェア(運賃)は払えないが、ドネーション(寄付)だったら払えるとか。そういうシステムをつくれば意外に広まるのではないか。 現実の解決策として、そういうことをやらざるを得なくなるのではないか。 タクシー並みの安全担保は無理 自家用有償にタクシーと同じレベルの安全担保を求めるのは無理がある。自家用有償は危険だという人がいるが、友達の車に乗せてもらう時にタクシー並みの安全を要求しますか? きちんとした安全がほしい人はタクシーを選ぶと思うが、そうじゃない人の移動まで制限していいのかという話になってくる。当然、一定の安全確保は必要になるが。 現行法で出来ないなら「特区」で 佐賀県の自家用有償輸送人員は1%未満 佐賀県における自家用有償の輸送人員は、タクシーと比べて1%もない。タクシー関係者は自家用有償が動き出すとどういう影響が出るか心配しているが、裏を返せばそれだけタクシー事業が切羽詰まっていることの現われでもあると思う。 私は、むしろ運転代行こそタクシーの商売敵じゃないかと思うのだが。 路線を維持しただけ自治体も反省が必要 交通事業者は今まで民間だけでやれて、許認可も国だったから自治体とは縁遠かった。監督は運輸支局だから、自治体は関係ないという感じがあった。交通事業者が自治体に相談に来る時は、路線が維持できないとか、困った時だけだった。「路線を廃止する」と言われると、自治体は交通網のことなど何も理解することなく、お金を出してきた。 なぜ存続できないほどお客さんが乗らないのか、自治体は真剣に考えたことがあっただろうか。ただ首長が、自分の在任期間中に路線が潰れたら困るという思いだけで、路線を維持してきただけではなかったか。そういう反省がわれわれにも必要だ。これからは「つぶれそうな路線だけど、どうしますか」という発想ではなく、住民の移動のニーズに応えるためにはどんなふうにしていったらいいかを、もっと立体的に考えていかないといけないというのが、私の意見だ。 自治体と運輸支局 ―住民目線の違い 申し訳ないが、運輸支局とわれわれ自治体は違うと思っている。われわれは住民目線だが、運輸支局はわれわれほど住民を見ていない。住民の移動の責任を負うのは、われわれ自治体しかないと思っている。 自家用有償だけでなく、バスやタクシーの許認可権も、地方でいいと思う。これは奈良県知事の荒井正吾さんの持論でもある。荒井さんは、旧運輸省時代に自動車交通局長を務めた人で、交通のプロだ。運輸行政と地方行政の両方をご存じの人が言っている。 島根県津和野町の第三セクターの話(※タクシーは業務委託が認められていないため、やむなく第三セクターを介してタクシー事業を継続)もおかしいと思う。バスや鉄道はできて、なぜタクシーはできないのか疑問だ。 島根のケースは特区申請をすれぼ良かったと思う。現行法で何が何でも対処しなければいけないということはない。 タクシーも上下分離 ―投資回収の無理がある 鉄道では路線を存続させるため、上下分離(※線路などの下部のインフラ管理と上部の列車運行を分離し、それぞれ会計を独立させる方式)が言われているが、タクシーもUDの車両などを行政が購入し、事業者に貸し与えても良いのではないか。 メンテナンスはタクシー会社の方でやってもらい、頑張ってお客さんをたくさん運んでもらう。無償レンタルでもいいと思う。 輸送人口が減る中、車両などの設備投資をして、投資を回収しながら経営をしていくというのは、無理があるのでは。 特に、郡部のタクシーは鉄道の上下分離のようなものをしないと保たないのではないかと、心配している。 身近な移動手段の確保に関する協議会 「公共交通を守る」から「住民の移動を確保」への転換――というキャッチフレーズは、県庁内でも刺激的ではないかという意見があったが、あえてこれにした。知事と市町長が会員だが、バス・タクシー業界もオブザーバーとして出席でき、意見も言える。これまでは、ほとんど自治体と交通事業者はご縁がなかったので、これを機に意見交換を活発にしたい。対話を通して良いアイデアが生まれると思う。鉄道もバスもタクシーも地域の先行きに不安を持っている。現行の制度で良しとするのではなく、時代に合わせて制度を変えていかなければいけない。 通訳サービスをサービスを行うコールセンタールセンター開設 住民の移動だけでなく、県外から訪れる旅行者やビジネスマンらの移動も充実させたいと思っている。その一環として外国人観光客をサポートするため、通訳サービスを行うコールセンターの試験運用を9月から開始する予定だ。夕クシーも外国人観光客を乗せた時などに利用してもらいたい。目的地や店舗情報などを外国語で検索できるアプリケーションも開発する。利便性を高めるため、タクシー業界には、車両にWi-Fiを導入するよう呼び掛けている。 自家用車を持たない知事 実は私自身は、自家用車を持っていない。移動にはバスやタクシーを使うし、50`以上移動する時は、鉄道に乗る。全国の知事の中では、誰よりも公共交通機関を利用しているという自負があるので、いろいろと注文も付けたくなる(笑)。」 『《近畿圏・夏の特集》岐路に立つ福祉輸送』(東京交通新聞2014.7.28) 「福祉輸送が岐路に立っている。地域の自主性と自立性を高めるための法律・第4次地方分権一括法、通称・地方分権法が今年5月28日に成立、来年4月1日から施行される。自治体に移譲される権限は多岐にわたるが、国土交通省関連のうち、道路運送法の自家用有償旅客運送の登録・監査もその一つだ。自家用有償運送に対しては、青ナンバー事業者から「タクシーの需要を侵食する」との指摘が根強い。“転換期を迎える福祉輸送”をテーマに国、タクシー事業者、NPOの代表に、▽権限移譲の是非、▽運営協議会の役割、▽交通空白地帯の有無、▽福祉運送の課題と展望――など率直に語ってもらった。 タクシー侵食ありえぬ/運営協議会の現状に課題も――関西STS連絡会 伊良原淳也 代表 権限移譲をうんぬん言う前に、福祉有償運送を実施するNPOは増えていない。大阪府の調べによると、2006年に176団体あったのが、12年には164団体に減った。道路運送法の改正で、福祉有償運送が出来て国土交通省が何とかしなければとなった割には、市民運動と運輸行政の狭間でうまくいっていない。 実際の福祉有償運営協議会では、安全性が適正なのかが議論の主眼だ。移動制約者の交通についての議論が展開されているとは言いにくい。ローカルルールなど規制の側面が際立ってしまう。当連絡会は権限の移譲に賛成だ。だがこの話が出始めた当初、制度を理解していない自治体に権限を移譲すればローカルルールの固定化につながるとの懸念もあった。ローカルルールがはびこっているのが、近畿の特徴だから。 大阪の運営協議会の中には、登録や更新で適性診断の提出を求めるところもある。このままでは危ないと思い、運転者の審査ではなく、結果を基に指導助言をするという形に押しとどめた。運転者本人の問題なのに、さも運営協議会がお墓付きを与えないといけない、となりかけていた。 大阪府下には、ブロック開催も合わせて6つの運営協議会があり、幹事の市町村が1年で交代する。「せめて2年くらいにしてくれないか」と市町村に打診しても、「これは大阪府市町村会での合意事項だから」と。やっと解りかけてきたときに、次の市町村に引き継がれる。福祉部局の担当者が何年かに一度担当する業務になっているので、最終的には運輸支局やタクシー事業者の委員の意見が幅を利かす。「安全・安心」の伝家の宝刀を抜けば、その場で思考停止になってしまう。 運営協議会の構成員にしても、本当の意味の利用者は皆無だ。もし参加しても、いまの雰囲気では発言もできない。それだけタクシー会社の一言は重い。NPOの活動家の人たちは大半がまじめ。行政が何か言えば、正当性を吟味する前に「行政の言うことを守らなければ」と思い込んでしまう。 2〜3年前、会員事業者がある運営協議会で、タクシー会社の人からこう言われたと聞いて驚いた。 「5人家族で食事に行くとき、車いす1人に対して2人は付添人という名目で随行してもいいが、他の人はタクシーに乗ってもらわないと困る」と。そんな話を一瞬でも聞けば、「だからタクシーの仕事をNPOが奪っている」と誤解される。 福祉有償運送がタクシーを侵食するなんてあり得ない。移動制約者の数は日増しに増えている。タクシー事業者も誰もが乗れるよう利用環境を整えてほしい。タクシーと福祉有償運送では事業規模が全然違う。移動制約者の中にも、タクシーに乗りたい人がいっぱいいる。だけど、乗れる車両がないといった理由で乗れないだけ。富裕層に属している高齢者もいるはず。世の中のタクシーが5%でもユニバーサルデザイン車両になれば変わっていく。 ともかく一般のタクシーはもちろん、介護保険適用のタクシーにも頑張ってもらいたい。僕らの活動だけで移動制約者の人のニーズに応えられるわけではない。それはもう、間違いのないことだから。」 『地方分権、次へ手探り/第4次一括法で一区切り/自治体主導は未知数』(日本経済新聞2014.7.14) 「2006年に始まった第2次地方分権改革の「集大成」とされる第4次一括法が、先の通常国会で成立した。国主導の規制緩和や権限移譲は、一段落した格好だ。国は次の舞台に向け、分権の具体策を自治体に提案してもらう手法などを導入したが、税源移譲や道州制などを含んだ全体像は見えないまま。新たな改革は当面、手探りになりそうだ。 第4次一括法で完了した第2次分権改革は、政府の地方分権改革推進委員会が地方への移譲を検討すべき事項などを指摘した勧告に基づいて進んできた。規制緩和は勧告事項の74%にあたる975件、国から地方への事務・権限の移譲は69%の66件、都道府県から市町村への移譲は67%の113件の見直しが実現した。 中央省庁が地方への移譲に強く抵抗している事項など、積み残しもある。地方からは第4次一括法を評価しつつも、「農地転用やハローワーク(の移管)など、地方の要望の強い分野を中心に移譲の方向で検討を求める」(全国知事会)、「移譲で生じる財政需要に見合った、財源措置を確実に講じること」(全国市長会)といった注文がついた。 国が自治体主導の分権の有力な手法として新たに設けたのが「提案募集方式」と「手挙げ方式」。提案募集方式は、全国で実施できる規制緩和などの具体策を自治体に求めるもので、7月15日を期限に第1弾を募集している。内閣府には300件を超す事前相談が寄せられたという。国は提案への対応を、年内に決めるスケジュールを描く。 手挙げ方式は、希望する自治体だけに権限を移譲する仕組み。まず高齢者らを自家用車で送迎する事業(自家用有償旅客運送)で導入した。第4次一括法で事業の登録権限を国から地方に移すことを可能にした事業だが、手挙げ方式にした背景には、国土交通省の昨秋の調査で、移譲を希望する自治体が全体の約6%にとどまったことがある。タクシー業者などとの調整も難しく、希望しない自治体は「専門的な人材を確保できない」などの理由をあげた。 6月28日にNPO法人が都内で開いた同事業の公開シンポでは、佐賀県の古川康知事が「やる気のない自治体に権限を渡さないようにしたのは、全国一律にやるより良かった」と前向きにとらえた。NPO側は「移譲が進むかどうかは、自治体のやる気次第」とみる。 新方式には、提案の審査などで国の強い関与が残ったり、自治体間の格差を広げたりする可能性もある。全国知事会の山田啓二会長(京都府知事)は「地方が選ぶ分権ではなく、(国に)地方が選ばれるような状況が生まれたら、主体的な分権にはならない」と国側にクギを刺す。 参院総務委員会調査室の小島功平調査員は、「能力のある自治体がより多くの権限をもつことになれば、市町村ごとに担う事務が異なるようになる。それが住民の生括に影響しないようにすることが課題になる」と話す。 【第4次一括法】:国から地方への事務・権限移譲や規制後和などに向け、改正が必要な63法律をまとめたもの。5月28日に成立し、一部を除き来年4月に施行される。看護師などの養成施設の指定や、高齢者らを自家用車で送迎する事業の登録などの権限を国から自治体に移した。第2次地方分権改革は第1次一括法が成立した11年から段階的に法整備が進められてきた。」 『「生活支援サービス」対応/全国移動ネット総会』(東京交通新聞2014.7.7) 「特定非営利活動法人・全国移動サービスネットワーク(全国移動ネット、中根裕理事長、183団体個人)は6月28日、港区・日本財団で第8回通常総会・理事会を開き、地方自治体への有償運送の権限移譲や改正介護保険法による生活支援サービスの制度化などを踏まえた事業計画・予算を決めた。 権限移譲対策では、この日の東京のシンポジウムを皮切りに大阪(10月10日)、佐賀(11月26日)、仙台、岡山、横浜の6ヵ所でキャラバンセミナーを開催する。 「被災地における障がい者、移動制約者への移動送迎支援活動基金」が7月1日からスタートすることが、災害支援の会の柿久保浩次代表(関西STS連絡会)から報告。基金の目標規模は1000万円。被災地での移動を、基金を活用して支援する。」 『《自家用有償運送・権限移譲》佐賀県、横浜市が名乗り/「先進事例として環境づくり」』(東京交通新聞2014.7.7) 「来年4月から実施される自家用有償旅客運送の事務・権限の地方自治体への移譲について、佐賀県と横浜市が主体的に権限を担うことを表明した。6月28日に特定非営利活動法人 全国移動サービスネットワーク(=全国移動ネット、183会員)が行った公開シンポジウムで、古川康・佐賀県知事、柏崎誠・横浜副市長が「真っ先に手を挙げ、先進事例として全国の自治体が権限移譲しやすくなる環境をつくっていく」と述べた。 有償運送の権限移譲は希望する自治体が手上げ方式で担うが、現在、大半の自治体は様子見状態。今回、佐賀県と横浜市という地方都市と大都市の2つの自治体が、あらためて旗幟(きし)鮮明にした。 古川知事は「地域の移動で言いたいことは、自治体に言う癖をつけてほしい。移動手段はいっぱいあるが、有償運送は公共交通に入っていなかった。タクシーができること、有償運送ができること、それぞれあり、住民が移動しやすいネットワークをつくる」と述べた。柏崎副市長は「市で登録や監査業務を行うことになるが、関係団体の意見を聞いて横浜に合った施策を展開する。バス、タクシー、NPO、社会福祉法人とが補完し合い、バランスのとれた交通体系をつくっていく」とした。 討論には、九州大学大学院の嶋田暁文准教授、国土交通省の瓦林康人自動車局旅客課長、全国移動ネットの山本憲司理事が出席。同ネットの中根裕理事長が司会した。 嶋田准教授は「有償運送がタクシー事業をつぶすことにつながるとの意見があるが、データをみればありえず、誤った情報を一般化せずに正確な現状を把握し、無用の空中戦を避けるべきだ」と述べた。 山本理事は「権限移譲された自治体が、地域が取り組みやすいよう自主解釈できるよう促す。ローカルルールの勝手な自主解釈が最悪のパターン。そうならないよう佐賀県と横浜市に“佐賀版自主解釈”と“横浜版自主解釈”の策定を促していく」とした。」 『《地方分権改革一括法成立》有償運送・運転代行/来年4月に移譲へ』(東京交通新聞2014.6.2) 「自家用車有償旅客運送と自動車運転代行業の規制権限・事務を国から自治体に移す「地方分権改革一括法案」(道路運送法、運転代行業適正化法などの一部改正案)が5月28日の参院本会議で、賛成多数で可決、成立した。施行は来年4月1日。有償運送は原則、「希望する市町村」に、運転代行は全国一律・一斉に都道府県に移譲される。27日の参院総務委員会で新藤義孝総務相は「個性を生かし、自立した地方をつくる。多様性や発意を求めたい」と、分権を継続する意向を表明した。 参院総務委の採決では共産党を除き各党が賛成。付帯決議は5項目。確実な財源措置を講じ、マニュアルの整備や職員派遣などを支援する、▽地域の自主性・自立性に配慮し、国の関与を必要最小限に、▽自治体間で制度が異なることで住民に不利益が生じないよう留意、実現する――など。 同委の最終審議で有償運送をめぐり質疑があり、国土交通省の若林陽介自動車局審議官は、昨年の調査で希望する市町村の数が全体の6%にとどまっていることに「十分な周知、検討がされていないのが背景」とし、「将来的に市町村の事務・権限として定着させるため、移譲の内容・メリットを丁寧に説明し、安全の確保など国の知見・ノウハウを継承し、専門的な人材の育成を支援する」と述べた。社民党の又市征治議員に答えた。 又市氏は「旅客の範囲の拡大などで、バス・タクシーとの競合は避けるベき。生命線の安心・安全が分権によっておろそかにならないか」と指摘。若林氏は「有償運送がバス・タクシーの補完という位置付けは維持し、自治体、バス・タクシー、住民が入った運営協議会が合意する要件は変わらない。安全などを担保する基準の設定は、引き続き国交省が担う」とした。 さらに「バス・タクシーと競合しないことが明らかな場合に限って、旅客範囲などの緩和措置を講じる。バス・タクシーを中心として、必要なときに有償運送を活用できるベストミックス(最適な組み合わせ)が実現できるよう、自治体と密接に連携したい」との姿勢を示した。」 『《国交省自家用有償運送検最終まとめ》旅客範囲・運送団体拡大/自治会・町内会の送迎可』(東京交通新聞2014.5.12) 「国土交通省は、自家用有償旅客運送の改革案を盛り込んだ「有償運送事務・権限の地地方移譲あり方検討会」(座長=後藤春彦・早稲田大学創造理工学部長)の最終取りまとめをこのほど出した。旅客の範囲と運送団体の拡大が柱で、地域内のバス・タクシー全社の同意を条件に地域外の訪問者の送迎を可能とし、自治会、町内会などの「権利能力なき社団」を、安全が確保できる組織的基盤があれば運送の主体として認める方針を掲げた。 今回の制度の見直しは、国から地方へ「希望する市町村」を対象とした来年4月開始予定の地方分権と、全国一律の登録要件の緩和・弾力化。道路運送法改正案を含む「地方分権改革一括法案」が、今国会で審議中。旅客範囲の拡大などは道運法施行規則(省令)や通達が改められる。 最終まとめで、地域住民ではない人を自家用車で有料で運べるケースとして、バス・タクシーによる運送が困難なことについて、地域内に営業所があるすべてのバス・タクシー事業者の同意を市町村長が得ている場合とした。バス・タクシーの営業所がない離島では、全面的に認める。市町村長の判断をベースに、障がい者に限らず観光客らの移動手段の確保につなげる。県外から訪れ、雪下ろしなど住民の日常生活に必要な用務を反復継続する「生活支援ボランティア」の送迎も明確化する。 有償運送団体の資格は現在、NPOボランティア、社会福祉協議会をはじめ、省令に規定する法人格がある団体(一般社団法人、認可地縁団体、農協、商工会など)に限られている。権利能力なき社団に運送を任せるかどうか、非営利性や安全性を前提に市町村長が判断する。 自治体が主宰する運営協議会の改善では、有償運送の必要性の協議に際し、ケアマネージャーや保健師らの参画を促す。一部の地域で懸案となっている不合理な「ローカルルール」(地域独自の上乗せ基準)の是正に向け、毎年度、見直しの進ちょくを集計するなど徹底させる。事務手続きを簡素化する。 自家用有償旅客運送制度の改正の方向(国土交通省検討会最終取りまとめ・概要) 【地力分権】 ○「希望する市町村」に国の事務・権限を移譲 →「地方分権改革一括法案」(道路運送法改正案)が今国会で審議中 →国交相が移譲先を指定・解除 →国交省の調査で移譲希望の市町村は6% 【登録要件の緩和】 ○「権利能力なき社団」も運送の主体に →法人格がない自治会、町内会など ○旅客の範囲を、@「生活支援ボランティア」、A障がいを持たない社会参加が困難な人、B地域外からの妨問者――に拡大 →地域外訪問者の場合、バス・タクシー全社の同意が必要 【運営協議会の改善】 ○まちづくり・福祉・教育分野と一体的に議論 ○運送の必要性の協議にはケアマネージャーや保健師らも参画 ○地域公共交通のエキスパートを活用 ○不合理な「ローカルルール」の是正に向け、毎年度見直しの進ちょくを集計 ○事務手続きの簡素化 【その他】 ○過疎地有償運送の名称変更」 ■「参考C:ローカルルールの検証について」(国土交通省2014.3.20…第4回 移譲等のあり方に関する検討会「資料4 運用ルールの緩和・運用方法の改善について」より) 「「自家用有償旅客運送制度の着実な取組みに向けての対応について」における対応 ○運輸支局は、運営協議会ごとのローカルルールについて改めて検証を行い、当該検証に基づき、合理的な理由に基づいて定められていないと判定されたローカルルールについては、運営協議会を主宰する市町村に対し、ローカルルールの見直しを積極的に働きかけることにより、運営協議会の場において当該ローカルルールの適切な見直しを推進。 ○各運輸支局におけるローカルルールの検証結果、及び進捗状況について、毎年3月末現在における検証の推進状況を報告。
○ 不合理とされたものの具体例 ※ 設定の経緯、理由等が明らかでないものや、長期間見直しが行われていないものも含む。 ・国の基準(告示)を上回る限度額の対人・対物保険への加入 ・国の基準(省令)を上回る運転者資格の設定 ・利用者を要介護3以上等に限定 ・福祉車両以外を使用してはならない ・迎車回送料金を設定してはならない ・短期間毎(3ヵ月毎、6ヵ月毎等)の実績報告 等 ○2011年度の改善事項 ・運転者の第二種運転免許保有の義務付け(1件) ・定期的(3ヵ月毎)な実績報告(9件) ○2012年度の改善事項 ・二種免許なしの場合の過去5年間の無事故・無違反要件(1件) ・免許取得から5年以上経過した者で70歳以下の者(1件) ・運送者の欠格事由として福祉関係法令・NPO法等の根拠法令違反を設定(1件) ・福祉車両以外の車両の使用禁止(5件) ・迎車回送料金の設定禁止(6件) ・利用対象者の住居範囲を限定(1件) ・短期間の実績報告(1件) ・講習実施機関の限定(1件)」 『《不動ヶ丘町ボランティア移送》自治会有志が団体設立/大阪』(東京交通新聞2014.4.21) 「富田林市の不動ヶ丘自治会の有志メンバーが4月に設立した高齢者や障がいを持つ人へ生活支援を提供する「ほっとらいふ」。病院への付き添いといった日常の困りごとを手がける一方、地区でボランティアの移送支援を実施する計画だ。現在は任意団体だが、将来的にはNPO法人を立ち上げ、他地区とも連携したサービスを展開する構想を抱く。 「ほっとらいふ」の梅田寛章(63)代表代行は「昭和40年代後半から50年代前半にかけ造成された住宅地。35歳で住みはじめた人も75歳に。坂を歩いて往復するのはしんどい」と説明する。 自治会が昨年7月に実施し、65歳以上の人がいる135世帯216人から回答を得たアンケートは、ショッキングな内容だった。「今でも移動手段がむずかしい」が27人も。「あと5年もたてば100人以上が移動困難になるという結果だった」と梅田さんは力説する。 支援は移送に特化しない。日曜大工や部屋の模様替えなど「奥さん一人ではできない」(梅田さん)ことへの手助けはもちろん、花見や買い物のツアーと幅広いジャンルを手がけ、高齢者の生活を下支えする方針だ。社会福祉協議会、医療機関とも協力体制を築きたい考え。 「ほっとらいふ」では、まず不動ヶ丘のエリアで支接をスタート。「利用会員」「支援会員」「賛助会員」を募っていく。案段階だが、利用会員には1000ポイント1000円の利用券を購入してもらうという。移送支援が2`までなら100ポイント、生活支援10分で100ポイントと謝礼の目安を設定する。 実際に活動する支援会員には、利用料の2分の1を支給したい意向。資金を寄付する個人や団体を賛助会員として位置づける。各会員の募集時期は今後、決定する。不動ヶ丘自治会の取り組みは、市の地域交通モデル地区に指定されており、梅田さんは「市のモデル地区として、しっかりとルールを決めて実施していきたい」と述べる。代表を補佐する播戸嘉明(72)さんは「今から何からの形で移動手段の準備をしなければ」。同じく浅井博之(71)さんは「『ほっとらいふ』が認知症の人にも優しくかかわっていけたらいい」と話す。」 『「旧赤バス」運行終了/大阪平野区 利用者少なく』(東京交通新聞2014.4.21) 「ふれ愛交通が、旧赤バスの代替交通手段として大阪市平野区から受託した「ひらちゃん号」の運行が、3月末で終了した。敬老パス保持者らを対象に、事前予約のデマンドで実施。道運法21条2項の暫定連行ではなく、道野降社長が「法的には4条でやっていた」と話すように、継続もあり得た。ただ同区は「続けていくだけの利用者数がなかった」「市バスの路線が見直されカバーできる」と、打ち切りの背景を指摘する。 ひらちゃん号は事前登録した敬老パス保持者や身障者、要支擾・要介護認定者といった人が無料で利用できた。区役所や地下鉄の平野駅、南巽駅、平野区老人福祉センターなど18ヵ所を乗降場所とした。運行は平日の年前8時半〜午後5時半まで。8人が乗車できた。委託費は約1000万円。 年度を通じての事前登録者数が累計518人で、利用者数は115人。リピート者数(3回以上利用)は80人となり、1日当たりの平均乗車人数は8・46人だった。道野社長は「『なくなれば困る』という反応も乗務員に寄せられた」と話す。「区の財政的な負担問題があるが、4月以降も継続したい」との意向だった。 一方で、道野社長は「区役所任せ」とした大阪市を批判。代替運行を手掛けた多くのケースが21条2項に基づく期間限定だった点などを踏まえ、市が「この1年で何も判断してこなかった」と述べ、市が地域公共交通会議を開かず“赤パス後”のあり方を検討してこなかった姿勢を問題視する。むしろ「平野区は、真面目に高齢者や障害者の輸送に取り組もうとした」とし、行政と関わった経験も有意義だったという。「このままでは、各区で住民から不満の声が上がるだろう」と道野社長。タクシー業界として、どういった形で市に関与していくのかも課題と強調する。」 『災害時の障害者・高齢者移動送迎支援を考える/30日天王寺区で集会』(毎日新聞2014.3.28) 「被災地で障害者や高齢者は身動きがとれなくなり、病院へも行けずに時には生命の危機にさらされる──。この間題を考える集会が30日午後1時半から大阪市天王寺区東高津町の「たかつガーデン」で開かれる。阪神大震災を機に設立された被災障害者支援のNPO法人「ゆめ風基金」などが主催。 集会は「2014被災地の移動送迎支援活動セミナー」として開催される。被災地の混乱の中、障害者や高齢者は移動が難しくなり、病院や作業所へ行くだけでなく、買い物に出ることさえ困難となる。集会ではまず、吉田樹・福島大准教授が東日本大震災の被災地での実態と必要な支援について報告する。 続いて、「災筆陣の移動支援の現状と3年になっての取り組みと課題」をテーマにパネル討論。「移動支援レラ」(宮城県石巻市)の村島弘子代表ら、東北で活動するNPO法人の3人が問題を掘り下げる。 最後に、関西を中心に地域での移動支援活動に携わる「関西STS連絡会」事務局の柿久保浩次さん(58)が「行動提起」をする予定。災害時の移動支援拠点を速やかに作るための基金設立を呼びかける。柿久保さんは「被災地での移動手段の確保は、障害者や高齢者にとって死活問題だ。東日本大震災をきっかけに支援の仕組みを確立したい」と述べた。【戸田栄】」【▲がれきの街を障害者を乗せて走るNPO法人の福祉車両=宮城県石巻市で2011年4月(NPO法人「移動支援レラ」提供)】 ※「被災地における障がい者、移動制約者への移動送迎支援活動基金設立提案書」「被災地における障がい者、移動制約者への移動送迎支援活動基金・実施要項」参照。 『《国交省が制度改正案》自家用有償運送の旅客範囲拡大/地域外訪問者の送迎も』(東京交通新聞2014.3.24) 「国土交通省は「希望する市町村」を対象とした来年4月予定の自家用車有償旅客運送の地方分権に合わせ、旅客の範囲や運送主体などの規制を全国で緩和・弾力化する制度改正案の概要をまとめ、20日の「自家用有償運送の事務・権限移譲あり方検討会」(座長:後藤春彦・早稲田大学創造理工学部長)の第4回会合に提示した。旅客の範囲の見直しでは、地域内のバス・タクシー全社の同意があれば地域外の訪問者の送迎を可能とした。道路運送法施行規則(省令)や通達の登録要件を改める。 その際、バス・タクシーの同意を運営協議会に報告し、利用者に対してあらかじめバス・タクシー事業者でないことを明示する。市長村長の判断により、障害者に限らず観光客らの移動手段の確保につなげる。雪下ろしなど県外から訪れる「生活支援ボランティア」の送迎は、昨年12月の通達で、住民の日常生活に必要な用務を反復継続しているなどを条件に、新たな対象に追加した。 運送主体に関しては、メーンのNPOボランティア、社会福祉協議会などに加え、自治会、町内会などの「権利能力なき社団」を、安全が確保できる組織的基盤があれば認める方向とした。非営利性を前提に市長村長が適切と認めた団体で、運営協に報告する。現行ではNPOなどのほか、省令に規定する法人格がある団体(一般社団法人、認可地縁団体、農協、商工会など)に限っている。 検討会では、14日閣議決定された有償運送の事務・権限を国から自治体に移す道運法一部改正案(地方分権改革一括法案)の説明があった。施行は原則、来年4月1日の予定で、自治体側の体制整備を踏まえながら、分権が開始される。検討会はこの日が最終回となり、一連の改革案を盛り込んだ「最終取りまとめ」が文言の調整を経て出される。」 福祉有償運送の現状(国土交通省統計)
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