熱波のシチリア満喫・・・アクシデントも旅の楽しみ
8月22日(1日目)
KLM航空の空の旅は快適で食事もおいしいし、席ごとにモニターがついているので、
好きな映画を見たりゲームをしているとあっという間にアムステルダムに着いた。
パレルモまで同日接続は可能だが、到着がかなり遅くなるので、アムステルダムで1泊することにした。
アムステルダムはすっかり秋で、シチリアの40度近い熱さだけを想定していた薄着の私は、服を重ね着するはめになった。
空港から中央駅まで4分おきに出ている鉄道は、4.1ユーロ。
ホテルはダム広場のそばにあり駅から徒歩7分。
そこで、第1のアクシデント。
部屋が4階だったが、エレベーターの故障で荷物を持って階段で上がらねばならなかった。
8時くらいまでは明るいし、アンネフランクの家が7時まであいていたので、町並み散策をしながらでかけた。
流石に運河の街は落ち着いていてきれい。
8月23日(2日目)
EU内の飛行機の移動はとても簡単であっという間にパレルモに到着した。
出発前にイタリア人から、シチリアはマフィアの街なので路上でいつマフィアの抗争に出会うかわからないとか、
ひどく吹き込まれていたが、人は見知らぬ世界のことをすぐ大げさに言うものだと思っていた。
ところが、パレルモの上空から見えたはじめてのシチリアの景色は大きな禿山と、かさついた土、見るからに荒涼とした様子で、
いままで何度か訪ねたイタリアの緑豊かな景色とのあまりの違いに驚いた。
空港バスで街へ近づくに連れ、ますます荒廃した町並みが広がる。
青い海と白い家のバカンス気分は一挙に吹っ飛んだが、「ああこれがマフィアの土地か」と、逆に納得した。
中央駅からホテルまで約2キロ。
荷物もあるのでとりあえずタクシーに乗ることにし、1台5ユーロで2台とドライバーに確認してホテルに向かう。
なぜか遠く感じる。
メーターのついてるタクシーだったが、気がつくと20ユーロになっている。
交渉したがドライバーも譲らないので、15ユーロ払って降りた。
一人で割れば5ユーロだから、いい勉強になったとみんなで慰めあったが、
これから気をつけようと話した。
こんな出発だったので少し、懐疑的になっていたかもしれない。
ホテルの周りも治安は良くなさそうだし、近くにレストランテもなかったので、ホテルのレストランで食事をしたが、
ウェイターの案内の仕方もいかがわしく、見ているオーナーっぽい人の人相も悪い。
結果、食べ終わってから、料金でもめた。
私のイタリア語に一番の問題があったとは思うが、ますます気を引き締めて、シチリアの1日目 無事に終了。
8月24日(3日目)
近くのバス停からビザンチン様式のモザイクにあふれる街モンレアーレに向かった。
どこがバス停か、いつバスが来るのか、時刻表そのものがあるのかないのか。
それでも待ってるのは私たちだけではないので、とにかく待つしかない。
バスの番号を確認して乗り込む、1.2ユーロ。 30分で到着。
とにかく暑い。 見学もそこそこに、ジェラード。
水もどんどん補給。
木陰で1袋1ユーロのイチジクを食べる。
イタリアのイチジクは、ほんとにおいしい。
昼食はチェントロ(街)で食べようとバス停に向かうが、バスはいつ来るのやら・・・そこへ1台のタクシー。
私たちに乗れという。
少しジロー・ラモさんに似てやさしそうに見えたし、バスなら2ユーロのところ3ユーロという、まあリーズナブル。
騙されてもこの炎天下でいつ来るかもしれないバスを待つよりましと全員一致で、6人1台に乗ることにした。
チェントロまでならあと1ユーロというので、朝乗ったバス停で降りる。
ここからチェントロまではブラブラ歩きでいける。
とにかくカモられずでよかった。
クワトロカンティを通って、雑誌に載ってる市場近くのトラットリアTOTOで昼食。
イタリアンはボーノ(ホントおいしい!)。 大体15〜20ユーロで大満腹。
食べ過ぎのおなか減らしにホテルまで30分ほどかかって歩いて帰った。
町並みは決してきれいとはいえないが、こども達は物怖じせず声をかけてきて、かわいいし、
ホテル近くの小さな食料品店で水など買ったが、店のおじさんたちは、わけのわからんイタリア語を話す変なアジア人にも丁寧に優しく対応してくれた。
どこにもいい人達はいるもんだ。
近くのピッツェリアはこども達が売り子さんの家族的な(?)、石釜で焼く本格派。
日本のミディアムサイズで、3.5ユーロ。
安いし、何を食べてもおいしいし、ここも住めば都。
8月25日(4日目)
駅までバスで、1.4ユーロ。
ちなみに切符によって違うが、初乗りから2時間何回乗っても有効。
必ず初乗りの時に機械を通さないといけない。
切符は大概タバッキ(タバコ屋さん)で売っているが、しまっていたり、買えずに乗ってしまうと、
後で買っとけよと、そのまま降ろしてくれる。
しかし、タダ乗りを良しとしてはいけない。
時々検察も来る。
中央駅からニューシネマパラダイスの舞台となった、チェファルへ鉄道で約40分、4.6ユーロ。
行楽の家族に混じって中東の人達が、海での遊び道具などを行商しにたくさん乗り込んでいる。
海は結構、人でいっぱい。
甲羅干しだけではなく、泳いでいる人も多い。
浜辺に水シャワーもあるので、使い易いビーチだ。
昼食は豪華に海の見えるレストランで、また食べ過ぎ。
パレルモの中心街を離れると、どの街もきれいだ。
車窓からも農地もたくさん見えた。
8月26日(5日目)
パレルモを後にギリシャ遺跡のアグリジェントへ鉄道で約2時間、7.45ユーロ。
ホテルまではかなりあるとわかっていたので、バスを捜す。
バスは1方向にループで走っている。
駅前のバス停をでて10分もかからず、ギリシャ遺跡群(神殿の谷)が見えてくる。
そこを越えてさらに20分ほどでホテルに着いた。
途中なぜか、私たちにちょっと待ってといって、バスが待機した。
ドライバーは電話したかったのか?何度かこのループのバスに乗ったのだが、その度にドライバーはちょっと待ってと言って、パンを買ってきたりする。
時間待ちなのかな?
このバスがなかなかこない。
聞けば30分に1本ということなのだが、どこからが30分なのかわからない。
バスは遅れるもんだといわれる。
ホテルアクラべッロは、リゾートホテルでプールもあるので、家族連れでイッパイだった。
昼食はホテルレストランでまた食べ過ぎたため、お昼ねをしてから、炎天下をさけて、4時ごろ神殿の谷に出かけた。
回ってるバス(85セント)なので、ホテルから神殿の谷へは早く着く。
考古学博物館と神殿の谷共通入場券で、10ユーロ。
8月27日(6日目)
考古学博物館を見学したあと、14:15発の列車に乗るつもりでバスを待ったが、
バスを1時間待つ羽目になり、列車はあきらめ、15:10のバスに乗ることにした。
これにもぎりぎりになり、必死で切符(11ユーロ)を買いに走り、バスを探したがいない。
バスは行ってしまったのか?聴きにチケット売り場に戻ると、遅れてるんでしょ?と冷たい。
ヤッパリかなり送れてバスは来た。
さっき私は必死で走ったのに・・・まあ乗れてよかった。
3時間後カターニャ空港経由で中央駅に到着。
最後に私達6人が降りた。
私は荷物が小さいのでバスにそのまま持ち込んだのだが、他の人はバスのトランクに入れた。
ガーン!
一つ全然違うバッグが残っている。
ドライバーとイタリア語で問答。
ああ無理!
英語はなせる人を捜して!
日本人は中国語も話せるか?中国人の店ならある。
無理!
何とか片言の英語スピーキングの人と話し合う。
人間のチケットは売ったが、荷物のチケットは売ってない。それは客自身が管理するものだ。
たぶん空港で降りた人が間違えたのだから、空港の遺出物係へ行け。
なんでやねん。
とりあえずあんたらに責任は無いにしろ、
バスでなくなったのだから、空港へはバス会社で連絡をとってみて!それから規則もちゃんと調べといて!と、その場を後にホテルへと向かった。
またこのホテルが遠い。
街の中心部にあると書いてあったのに・・・
それでもバスに乗って、ドライバーにホテル名を言うと、ホテルのまん前で降ろしてくれた。
やさしい。
カバンの無くなった人は手持ちのショルダーバックに貴重品があるだけ。
洗面用具も着替えもなくなってしまった。
明日の結果で買いに行こうと、気を取り直し、近くのレストランテへ。
シチリアはさすがどこに行っても海産物がおいしい。
エビ、ムール貝などなど、やっぱり大満腹。
8月28日(7日目)
街の中心部に向かうバスにのり、適当に降りるとベッリーニ広場だった。
シチリア第2の都市だか、小さな街なのでグルッとみてまわった。
街のどこからも遠くに3000メートルを越す活火山のエトナ山がみえ、
ローマ時代の円形闘技場あり、バロック様式の教会あり、大聖堂の近くの市場は大きく、物にあふれ、50セントの服も山積みだ。
ドゥオモ近くの海鮮リストランテで昼食としたが、並んでいる魚介類を選んで調理法も自分で決める。
イカスミパスタや、生のいわしやら、でまた大満腹。
昼食後、昨日のバスのチケット売り場へ行くと、昨日の英語を話せる人が今日はいないという。
昨日「明日来い」といったじゃないか!彼は明日来るからまた明日来いという。
明日は私たちはシチリアを離れるから無理!とにかく英語を話せる人を捜して!と、やっと見つけた英語を話せる人も「へえ、そうなん大変」というだけ、何の役にも立ってくれない。
仕方が無いので、そのイタリア語のおばちゃんに、
英語とイタリア語ちゃんぽんで、とにかくこのバスで荷物が無くなったと書いてと、サインしてもらいあきらめることにした。
あきらめてはいたが、気落ちしながらも、それでも最後のお土産を買いにスーパーマーケット行こうということになった。
どこにスーパーマーケットがあるかわからないので、バスのドライバーに、このバスにのって近いスーパーマーケットで降ろしてと頼むと、
しばらく走って、降ろしてくれた。
みんな優しい。
買物は終わったが、今度はここがどこかわからないので、
スーパーマーケットの店員さんに地図をみせて私はどこにいるの?どうやったら帰れるの?と聞くと、彼女はイタリア語でめちゃくちゃイッパイ説明してくれた。
最後までじっくりきいて、グラ−チェとお礼をいい、とにかくあっちらしいわ、ぐらいの理解力で歩いていると、知ってる番号のバスが通った。
ラッキー!切符は90分有効大丈夫。
そうこうしながら無事にホテルに戻った。
夕食はホテルの部屋で1リットル1ユーロのワインやら買ってきたもので大宴会。
最後のシチリアの夜は終わった。
8月29日(8日目)
あっという間にシチリアをあとにし、またアムステルダムに。
ドリアホテルは来る時と同じなので、十分視察済み。
今回はエレベーターもつかえて、ほっとした。
夕暮れ時に食事に出かけた。
雑誌に載っているお店に行くと、やっぱり日本人がいた。
シチリアではほとんど日本人にあわなかった。
オランダの家庭料理の店もやっぱりおいしかった。
またも大満腹。
この10日間毎日毎日、その地で有名なイタリア料理やお菓子など、食べに食べたグルメ旅行だった。
満足。
8月30日(9日目)
朝、途中にレンブラント公園を通って、9時から開く花市場にでかけた。
思わずチューリップの球根を買った。
「日本にもって帰るならこっち」と3ユーロ高いのを買わされた。
植物検疫のためだ。
ホテルから徒歩約30分でゴッホ美術館。
大好きな「ひまわり」を見れてよかった。時間があれば、グレーラー・ミューラー美術館にも行きたかったが、これは次回の楽しみに取っておこう。
さて、最後のアクシデント。
アムステルダム空港に着いた。
もともと私たちのチケットはEチケットだったのだが、自動チェックイン機でするようにいわれた。
どうもうまくいかずチェックインカウンターへいくと、なんと2名分がオーバーブッキングになっていて、搭乗券がでない。
嗚呼〜、この2人をおいて帰れるか?
地上職員がとにかく搭乗券の無いままゲートまで行き、スタンドバイするしかない。
これはKLMのせいだから、乗れなければホテルの手配もこちらでするが明日の飛行機に乗るしかないという。
しかたなく、ゲートへ向かう。
途中出国ブースでイケメン係官が「ハウアーユー」と声をかけてくれた。
私はよっぽど落ち込んだ顔をしていたのだろう。「最悪!」と事情を話すと、「大丈夫だよ。絶対ノーショウのひと(乗らない人)いるから」と慰めてくれた。
結局、他にも同じような人が何人もいたようだったが、あっという間に席を確保できて、日本人で満員の飛行機に乗り、あっという間に関空についた。
今回の旅行はイタリア語が不十分であったことを含め、アクシデントがイッパイあった。
でもこれぞ旅の醍醐味といえるだろう。
そして、年齢を越えた6人のステキな旅仲間が助け合って、支えあって、すてきな旅になった。
ほんとにみなさんありがとう。
それにしてもシチリアはすごい。
ここがイタリアになったのは19世紀半ばのこと。
ギリシャ、ローマ、イスラム、ビザンチン、フェニキア・・・歴史に翻弄されながら、様々の文化が交じり合い、人がたくましく生きた島。
シチリアはイタリアではなくシチリアなんだということを、肌で感じる10日間だった。
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