第1期(2004年)
東大阪市外国籍住民施策懇話会意見書

 2004年1月20日第1回東大阪市外国籍住民施策懇話会が開催され、2005年2月28日までで全6回開催された。
 各委員より自身の体験、活動などを通しての数多くの意見が出てきたが、福祉の問題、児童、医療の問題、まだまだ根強い人権問題、日本語教育の問題、行政のかかわりなど「東大阪市外国籍住民施策基本指針」に謳われている全ての内容といっても過言ではない。
 「内なる国際化」は、まだまだ緒についたばかりであり、基本指針をいかに実行していくのかが問われている。
 基本指針の全ての内容について、理念を尊重し施策の実施をするべきであるが、特に次に掲げる4項目については、速やかに着手していただきたい。

1.市政情報の多言語化
 多言語で情報提供がなされていないため、情報を知り得ないことが多く、高齢者福祉、障害者福祉、医療、子育ての支援等々多くの不利益をこうむっている。
 まずは、市政情報の発信として基本となる「市政だより」の多言語化をする必要がある。
@「市政だより」を多言語化し、公共施設に配備する。
A「東大阪市外国籍住民施策基本指針」を多言語化する。

2.日本語教育について
 外国籍住民にとって、日本語を話す、読む、ということが、社会生活を営むうえで最低必要条件である。
@新渡日者が必要とする各地域に、日本語教室を設置し日本語教育を充実する。
A新渡日の外国人児童、生徒への日本語指導の充実。
B緊急時に対応できる、通訳体制の構築。
C民族的アイデンティティを形成するため、母語教育等への支援。

3.外国籍住民施策に関する研修
 東大阪市における外国籍住民施策を総合的、計画的に推進するために2003年3月に「東大阪市外国籍住民施策基本指針」が策定された。
 これにより外国籍住民の人権が尊重され、より充実した多文化共生社会を実現するため、基本指針を踏まえ、行政の政策決定、施策の遂行が行われるべきであるが、2年が経過しようとする今日においても、基本指針の趣旨が特に職員に浸透し理解されているとは言いがたい。
 行政組織として指針に添った行政執行、職員においてはなぜこういうものが必要とされるのか歴史的経過、また時代の変革に伴う現状の正確な認識においてこそ、多民族・多文化共生の社会をめざし、地域社会の国際化を進められるものである。
@全職員を対象として、「東大阪市外国籍住民施策基本指針」の研修計画を2005年度中に立て実施すること。
A外国籍住民施策に密接に係わる韓国・朝鮮籍の人や、中国からの帰国者などを研修の講師とする。

4.外国籍職員について
 東大阪市の職員において採用時に外国籍であった職員が28名いたが、現在本名を使用している職員は半数に満たない。しかもその大半が専門職であるという実態がある。
 この状況から推察するに外国籍職員の自覚もさることながら、市役所庁内においてすら本名使用を躊躇する職場環境が存在すると想像せざるを得ない。
@外国籍職員が、「本名を名乗れる職場環境づくり」のために、2005年度中に研修案を作り各部局に提示し取り組む。
A外国籍職員に、本名を名乗る意義の自覚を促し使用を勧める。B2005年度以降の職員採用試験においては、原則本名使用とする。
C職員採用試験において、国籍条項がないことを広く周知する。


  座長・合田 悟(元東大阪市外国籍住民施策有識者会議副座長)
  副座長・村井 好野(NPO法人 東大阪日本語教室副代表理事)
  岩本 冨紀子(東大阪市外国人教育研究協議会長)
  呉 龍浩(大韓民国籍 公募委員)
  片岡 正信(東大阪市自治協議会)
  金 思順(「朝鮮」籍 公募委員)
  謝 蘇G(中華人民共和国籍 公募委員)
  Dimas Mudiyana(インドネシア共和国籍 公募委員) 
  西尾 禎章(NPO法人 東大阪国際共生ネットワーク理事)
  野間 恵(NPO法人 多文化共生センター副理事長)
  朴 孝穆(大韓民国籍 公募委員) 
  ロメロ キリスティーナ(ペルー共和国籍 公募委員)