全国で7万2千人と言われている社会的入院者(※注1)の退院をすすめていく
事業として、退院促進支援事業(以下退促)が2004年度から国の事業として始ま
りました。
枚方市では、自立支援協議会の地域移行支援部会に関係機関が集まり、病院から
あげられる対象者の退院に向けての支援や退院後の生活の支援などを話し合ってき
ました。
2010年3月に、地域移行を含めた精神分野の検討の場として枚方市精神障害者
地域生活支援ネットワーク会議(※注2)が設置され、枚方市における精神障害者の
退院促進(地域移行)地域生活定着支援について総合的に検討し具体化してきた。
2012年3月末をもって、退院促進支援事業が廃止され、自立支援促進会議が終了
することとなり、枚方市精神障害者地域生活支援ネットワーク会議は、新たに自立
支援協議会の専門部会の1つ「枚方市精神障害者地域生活支援部会」(※注3)と
して再スタートした。
2012年4月より、自立支援法の一部改正に伴い、これまでの退院促進支援事業は、
「地域移行支援事業/地域定着支援事業」として、個別給付化されることとなった。
※注1「社会的入院者」
全国の精神病院に入院している精神障害者が33万人いるといわれています。その内、病状が安定
しており、入院の必要性が低く、家族や地域の受け入れ体制が整えば退院可能な精神障害者が相当
数います。そのような人を社会的入院者といっています。
※注2「枚方市精神障害者地域生活支援ネットワーク会議」
枚方市障害福祉室、大阪府枚方保健所、枚方市自立支援協議会幹事会、市内3病院、市内精神関係
4団体で構成。会議は、2ヶ月に1回開催している。ネットワーク会議で検討された内容は、枚方市
自立支援協議会及び大阪府自立支援促進会議に報告され、施策化する必要があるものは具体化して
いく。
※注3 「枚方市精神障害者地域生活支援部会」
枚方市精神障害者地域生活支援ネットワーク会議を基に、枚方市障害福祉室・枚方市保健所、枚方
市自立支援協議会幹事会・市内精神科3病院・市内精神科診療所・市内精神関係団体・精神関係相談
支援事業所・地域包括支援センター・枚方市生活福祉室で構成。
障害を持ちながら地域で生活する当事者(ピアサポーター)が、病院へ出向き、
入院中の方に対して、自らの体験談を話したり、病棟へ“地域の風”を送ることは、
入院中の方への退院促進を進める上で非常に有効です。2008年度からは、1つの
事業として事業化されています。
陽だまりの会では、数名のピアサポーターが、この事業で活動しています。
※ピアサポーターの“ピア”とは、仲間・同僚・同輩の意味。
◎ピアサポーターの主な活動
@病院内での茶話会や退院準備段階の小グループ活動などに話題提供者として参加。
A長期入院者への退院支援チームの一員として、カンファレンス等に出席。
Bピアサポーターの立場で、喫茶店や地域の施設等への外出同行等の個別支援。
C入院者に面会に訪れ、一緒に院内を散歩したり、病棟で囲碁・将棋をしたりして過ごす。
D学校や病院、市民向け講演会等での体験談発表や講演活動。
E隣接地域で活動するピアサポーター同士の情報交換や交流会への参加。
※院内茶話会
病棟内のホールでオープンに行われ、長期入院者等20名程度が自由に参加・
見学ができる。月に1回定期的に行われ、ピアサポーターは1〜2名出席している。
毎回、「作業所について」や「薬について」などテーマを設定し、参加したピア
サポーターは、地域で生活している当事者として体験談を話している。
長期の入院者が退院するにあたって、入院中に1人での地域生活を体験することは
退院を促進する上で必要なこととして、大阪府の退院促進支援事業の一環として、
2005年度から事業化されました。2012年3月末をもって、退院促進支援事業が廃止と
なり、2013年度からは、新たに枚方市の事業として、「枚方市精神障害者地域生活
支援事業」の名称で継続されることとなった。
陽だまりの会では、会の運営するケアホームの居室を利用して、この事業を行って
います。また、退院促進支援事業の対象者ばかりでなく、地域で1人暮らしを目指して
いる方も利用できるようにしています。短期の宿泊体験を重ねることで、退院に結び
ついたり、1人暮らしができるようになる方が少しづつ増えてきています。
陽だまりの会では、安心して自立した地域生活をおくれるよう、サポートします。
※枚方市地域移行支援事業
(内容)
本事業は以下の対象者の項目に当てはまるものに対し、単身生活を経験することが
可能な居室を提供することで一人暮らしを体験し、本人の退院や単身生活への意欲や
自信を深めることを目標とし、今後の地域移行における計画に活用することとするため。
(対象者)
@利用時に精神科病院に入院中の患者で、退院後における援護の実施者が枚方市となる者。
A在宅生活中であるが、今後単身生活等を希望する枚方市在住の精神障害者。
Bその他、市長が必要であると認めた者。
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